使用者:JuneAugust/日本多用途水壩列表
日本多用途水壩列表是現在日本で完成または建設が進められている多目的ダムについて、一覧としたものである。また、47日本行政區劃における多目的ダム事業の歴史についても解説する。
有關多用途水壩的本意以及術語、分類等的解釋,請參考條目多用途水壩。
目錄
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登載對象
編輯本列表所登載的對象是水利工程(洪水調節、不特定利水)以及以利水(灌溉、自來水・工業用水道供給、水力發電、消流雪用水、重建)為目的的水壩和堰。洪水調節と不特定利水の二つを目的とするダムは治水ダムであるため対象外。ただし複數の利水目的を有するダムについては掲載する。ダムの基準は1964年施行の河川法及び1976年施行の河川管理施設等構造令に基づき高度15.0米以上のものを「ダム」とし、それ以外は「堰」とする。従って砂防法に基づき建設される砂防ダムは、河川法上のダムとは見なされないので、複數の目的を有していても対象からは除外する。
查表方法
編輯查表方法按如下標籤在五十音順下排列檢索。複數の所在地にまたがるダムについては基金會日本ダム協會『ダム便覧』および建設省河川局監修・財団法人ダム技術センター編『日本の多目的ダム』に準じ、河川の源流點から河口・合流點を見た場合におけるダム左岸の所在都道府県に掲載する[1]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
水壩 |
種別 |
用途 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | A川 | A川 | Aダム | 特定 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 150.0 | 100,000 | 國土交通省 | 2000 | 水特法指定 |
二級 | B川 | B川 | Bダム | 補助 | F・N・W | アーチ | 100.0 | 10,000 | B県 | 2015 | 工事中 |
一級 | C川 | C川 | Cダム | 利水 | A・W・I・P | ロックフィル | 50.0 | 1,000 | C県 | 2020 | 事業見直し |
- 河川等級
- 河川法に基づく等級。「一級」為一級水系、「二級」為二級河川。
- 水系
- ダムが建設されている河流が屬する水系。
- 河川
- ダムが建設されている河川。「河道外」は河川以外の谷間などに建設されているダムを指す。
- 種別
- 多目的ダムの河川関連法規における種別。
- 無印は河川法第17條に基づく「兼用工作物」に指定された多目的ダム、地方自治體が事業者である土地改良事業の一環として建設された農地防災と灌溉を目的としたダム(目的欄にF・Aと記される)などが該當する。
- 用途
- 考慮到便於閱讀,用縮寫來標記
- 「F」洪水調節、「N」不特定利水、「A」灌漑、「W」上水道供給、「I」工業用水道供給、「P」水力發電、「S」消流雪用水、「R」レクリェーション。
- 型式
- 水壩的型式。有關詳細信息,請參閱各個條目。
- 高度
- 水壩的高度。單位為米。
- 總貯水容量
- 由水壩所形成的人造湖的總貯水容量。單位為1000立方米。
- 事業者
- ダムを管理、施工する事業者。ただし北海道開発局と內閣府沖縄総合事務局が管理する多目的ダムについては、その事業を所管する主務省庁(開発建設部:國土交通省、農業水産部:農林水產省)で記す。
- 建成年份
- 水壩的建成年份。
- 備註
- 記錄其他應當注意的事項。
列表
編輯北海道
編輯北海道最早的多用途水壩是石狩川水系雨龍川上1953年(昭和28年)建成的「鷹泊水壩」[2]。舊農林省(農林水產省)による國営農業水利事業(灌溉)と北海道営の水力發電事業の共同事業として建設され、利水専用の多目的ダムであった。1961年(昭和36年)には農業用ダムとしては日本屈指の規模を持つ大夕張ダムが夕張川に建設された。一方北海道開発庁設置に伴う北海道総合開発計畫の一環として、道內最大の河川である石狩川の河川総合開発事業が計畫され、その第一弾として三笠市で石狩川に合流する分流 (水文學)・幾春別川に桂沢ダムが1957年(昭和32年)に完成。水利工程目的を有する多目的ダムの第一號となった。その後は舊建設省(國土交通省)の直轄事業として石狩川本流のほか空知川・豐平川・漁川・小樽內川・忠別川に特定多目的ダムが、道営事業として美唄ダム(美唄川)が1982年(昭和57年)に最初に完成[3]したほか、愛別川流域・夕張川流域・徳富川流域・當別川に補助多目的ダムが完成・施工されている。
北海道第二の大河・天鹽川水系では天塩川本流に岩尾內ダムが、第三の大河・十勝川には十勝川本流に十勝ダム、支流札內川に札內川ダムが、鄂霍次克海に注ぐ河川唯一の多目的ダムとして常呂川に鹿ノ子ダムが、日高支庁では沙流川に二風谷ダムが、留萌支庁では留萌ダム(チバベリ川)が、渡島半島では後志利別川に美利河ダムがそれぞれ建設省により完成。一方北海道営では二級河川である靜內川・庶路川・小平蘂川などの河川に多目的ダムを完成させた。利水専用としては十勝川に屈足ダムが電源開発と北海道の共同事業で完成している。現在、完成した多目的ダムの中で最大の規模を有するのは靜內川に1983年(昭和58年)完成した高見ダムであり、施工中のものを含めると夕張川に國土交通省が建設を進めている夕張シューパロダムがある。高見ダムは補助多目的ダムとしては日本最大であり、夕張シューパロダムは完成すれば人造湖規模が日本屈指となる。
現在施工中のダムはダム再開発事業としての夕張シューパロ、新桂沢(幾春別川)のほかサンル(サンル川)、平取(額平川)が國直轄事業、徳富(徳富川)、當別(當別川)、厚幌(厚真川)が道営事業として存在するが新桂沢・サンル・平取・厚幌ダムについては2009年(平成21年)前原誠司國土交通大臣によりダム事業見直しが決定されたが、このうち厚幌ダムについては事業者の北海道が事業継続を決定している[4]。自1961年,赤岩水壩(鵡川)因占冠村的反對而終止建造起[5],松倉(松倉川)、白老(白老川)、苫鵡(八戶澤川)・嶮淵(嶮淵川)・安平(勇拂川)的各個水壩項目紛紛被取消。
河川等級 |
水系 |
河川 |
水壩 |
種別 |
用途 |
型式 |
壩高 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 石狩川 | 狩布川 | 愛別水壩 | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 39.0 | 9,500 | 北海道 | 1986 | 水特法指定 |
二級 | 朝里川 | 朝里川 | 朝里水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 73.9 | 8,800 | 北海道 | 1993 | |
一級 | 石狩川 | 蘆別川 | 蘆別水壩 | A・W・P | 重力 | 22.8 | 1,598 | 國土交通省 | 1957 | ||
二級 | 厚真川 | 厚真川 | 厚幌水壩 | 補助 | F・N・A・W | 台形CSG | 47.2 | 47,400 | 北海道 | 2016 | 工事中 |
一級 | 石狩川 | 漁川 | 漁川水壩 | 特定 | F・N・W | ロックフィル | 45.5 | 15,300 | 國土交通省 | 1980 | |
一級 | 天鹽川 | 天鹽川 | 岩尾內水壩 | 特定 | F・A・W・I・P | 重力 | 58.0 | 107,700 | 國土交通省 | 1970 | |
二級 | 大椴子川 | 大椴子川 | 大椴水壩 | F・A | アース | 34.0 | 1,729 | 北海道 | 2003 | ||
二級 | 大野川 | 中二股沢川 | 大野水壩 | 利水 | A・W | 重力 | 47.5 | 1,600 | 北海道 | 2002 | |
一級 | 石狩川 | 夕張川 | 大夕張水壩 | 利水 | A・P | 重力 | 67.5 | 87,200 | 農林水產省 | 1962 | 再開発中 |
二級 | 小平蘂川 | 小平蘂川 | 小平水壩 | 補助 | F・N・A・W | 重力 | 42.4 | 33,400 | 北海道 | 1992 | |
一級 | 石狩川 | 幾春別川 | 桂澤水壩 | F・A・W・P | 重力 | 63.6 | 92,700 | 國土交通省 | 1957 | 再開発中 | |
一級 | 石狩川 | 空知川 | 金山水壩 | 特定 | F・A・W・P | 中空重力 | 57.3 | 150,450 | 國土交通省 | 1967 | |
一級 | 常呂川 | 常呂川 | 鹿之子水壩 | 特定 | F・N・A・W | 重力 | 55.5 | 39,800 | 國土交通省 | 1983 | |
二級 | 天野川 | 目名川 | 上之國水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 51.3 | 3,730 | 北海道 | 2002 | |
一級 | 石狩川 | 夕張川 | 川端水壩 | 利水 | A・P | 重力 | 21.4 | 6,479 | 農林水産省 | 1962 | |
一級 | 十勝川 | 十勝川 | 屈足水壩 | 利水 | A・P | ロックフィル | 27.5 | 3,130 | 北海道 電源開発 |
1988 | |
一級 | 石狩川 | ポンウエンベツ川 | 栗山水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 31.9 | 3,200 | 北海道 | 1994 | |
一級 | 十勝川 | 札內川 | 札內川水壩 | 特定 | F・N・A・W・P | 重力 | 114.0 | 54,000 | 國土交通省 | 1990 | 日高山脈襟裳國定公園 |
一級 | 天鹽川 | サンル川 | サンル水壩 | 特定 | F・N・W・P | 台形CSG | 46.0 | 57,200 | 國土交通省 | 2013 | 事業見直し |
一級 | 石狩川 | 夕張川 | 清水澤水壩 | 利水 | A・P | 重力 | 27.1 | 5,576 | 北海道 | 1940 | 1994年再開発 |
一級 | 石狩川 | 小樽內川 | 定山溪水壩 | 特定 | F・W・P | 重力 | 117.5 | 82,300 | 國土交通省 | 1989 | |
二級 | 庶路川 | 庶路川 | 庶路水壩 | 補助 | F・N・I | 重力 | 48.9 | 36,500 | 北海道 | 2004 | |
一級 | 石狩川 | 幾春別川 | 新桂澤水壩 | 特定 | F・N・W・I・P | 重力 | 75.5 | 147,300 | 國土交通省 | 未定 | 事業見直し |
二級 | 龜田川 | 龜田川 | 新中野水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 74.9 | 3,300 | 北海道 | 1984 | |
一級 | 石狩川 | 石狩川 | 大雪水壩 | 特定 | F・N・A・W・P | ロックフィル | 86.5 | 66,000 | 國土交通省 | 1975 | |
一級 | 石狩川 | 雨龍川 | 鷹泊水壩 | 利水 | A・P | 重力 | 35.0 | 21,518 | 農林水産省 北海道 |
1953 | |
二級 | 靜內川 | 靜內川 | 高見水壩 | 補助 | F・P | 重力 | 120.0 | 229,000 | 北海道 | 1983 | 補助ダム日本一 |
一級 | 石狩川 | 空知川 | 瀧里水壩 | 特定 | F・N・A・W・P | 重力 | 50.0 | 108,000 | 國土交通省 | 1990 | 水特法9條指定 |
一級 | 石狩川 | 忠別川 | 忠別水壩 | 特定 | F・N・A・W・P | 複合 | 86.0 | 93,000 | 國土交通省 | 2006 | 水特法指定 |
一級 | 石狩川 | 當別川 | 當別水壩 | 補助 | F・N・A・W | 台形CSG | 52.4 | 72,500 | 北海道 | 2012 | 工事中 水特法9條指定 |
一級 | 十勝川 | 十勝川 | 十勝水壩 | 特定 | F・P | ロックフィル | 84.3 | 112,000 | 國土交通省 | 1984 | |
一級 | 石狩川 | 德富川 | 德富水壩 | 補助 | F・N・A・W | 重力 | 78.4 | 36,000 | 北海道 | 2013 | 工事中 |
一級 | 沙流川 | 沙流川 | 二風谷水壩 | 特定 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 32.0 | 31,500 | 國土交通省 | 1997 | 水特法指定 |
一級 | 石狩川 | 美唄川 | 美唄水壩 | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 34.5 | 1,500 | 北海道 | 1982 | |
一級 | 沙流川 | 額平川 | 平取水壩 | 特定 | F・N・W | 重力 | 56.5 | 44,800 | 國土交通省 | 2016 | 水特法指定 事業見直し |
一級 | 後志利別川 | 後志利別川 | 美利河水壩 | 特定 | F・N・A・P | 複合 | 40.0 | 18,000 | 國土交通省 | 1991 | 水特法指定 |
一級 | 石狩川 | 豐平川 | 豐平峽水壩 | 特定 | F・W・P | アーチ | 102.5 | 47,100 | 國土交通省 | 1972 | |
一級 | 石狩川 | 夕張川 | 夕張シューパロダム | F・N・A・W・P | 重力 | 110.6 | 427,000 | 國土交通省 農林水産省 北海道 |
2012 | 工事中 水特法9條指定 | |
一級 | 留萌川 | チバベリ川 | 留萌水壩 | 特定 | F・N・W | ロックフィル | 41.2 | 23,300 | 國土交通省 | 2009 |
東北地方
編輯青森縣
編輯青森縣是日本最早着手開發河川綜合開發事業(河川総合開発事業)的地方自治體之一。岩木川水系淺瀨石川(あせいしがわ)に1933年(昭和8年)より着手された沖浦ダムは、日本で最初に着手された多目的ダムである[6]。沖浦ダムは1945年(昭和20年)に完成したが、その後1950年(昭和25年)の國土総合開発法施行に伴い岩木川水系は十和田岩木川特定地域総合開発計畫の対象地域に指定されたことから、岩木川水系の総合開発が計畫され1959年(昭和34年)岩木川本流に目屋ダムが建設省によって完成した[7]。以降岩木川支流の各河川に県営の多目的ダムが完成するが[8][9]、弘前市・黑石市など流域の人口増加に伴い治水安全度が低下したことから沖浦ダム直下に建設省が淺瀬石川ダムを1988年(昭和63年)に完成させた。これにより沖浦ダムは水沒し現存しない。一方太平洋側に注ぐ河川では新井田川に世増(よまさり)ダムが2004年(平成16年)に完成する。農林水産省による國営かんがい排水事業に青森県が治水、八戶市などが自來水事業者として參入したものであるが、反対運動が激しく計畫発表から完成まで35年を費やしている[10]。
青森県で最大の規模を持つ多目的ダムは高度・総貯水容量共に淺瀬石川ダムであるが、現在岩木川に建設中の津軽ダムが完成すると同ダムが最大になる。津軽ダムは目屋ダム再開発事業であり、ダム直下に現在建設されている。このため完成すれば目屋ダムは沖浦ダム同様水沒する。この他駒込ダム(駒込川)が県営事業として施工中であるが、ダム事業見直しにより奧戸(おこっぺ)川に計畫されていた奧戸ダムは事業中止が決定している[4]。また小川原湖を多目的ダム化する小川原湖総合開発事業(高瀬川)[11]と中村ダム(中村川)[12]、磯崎ダム(磯崎川)[13]が建設中止になっている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
水壩 |
種別 |
用途 |
型式 |
壩高 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備註 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 岩木川 | 淺瀨石川 | 淺瀨石川水壩 | 特定 | F・N・W・P | 重力 | 91.0 | 53,100 | 國土交通省 | 1988 | 水特法9條指定 |
一級 | 岩木川 | 飯詰川 | 飯詰水壩 | 補助 | F・N・W | アース | 38.0 | 2,380 | 青森県 | 1973 | |
二級 | 小泊川 | 小泊川 | 小泊水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 33.5 | 400 | 青森縣 | 1996 | |
二級 | 堤川 | 駒込川 | 駒込水壩 | 補助 | F・N・P | 重力 | 84.5 | 7,800 | 青森縣 | 2018 | 建造中 |
二級 | 堤川 | 堤川 | 下湯水壩 | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 70.0 | 12,600 | 青森縣 | 1988 | |
一級 | 岩木川 | 作沢川 | 相馬水壩 | F・A | ロックフィル | 52.4 | 6,560 | 青森縣 | 2003 | ||
一級 | 岩木川 | 岩木川 | 津輕水壩 | 特定 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 97.2 | 140,900 | 國土交通省 | 2016 | 建造中 水特法9條指定 |
一級 | 岩木川 | 津刈川 | 久吉水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 57.0 | 6,730 | 青森縣 | 1995 | |
一級 | 岩木川 | 岩木川 | 目屋水壩 | F・N・P | 重力 | 58.0 | 39,000 | 青森縣 | 1958 | 建設省施工 再開発中 | |
二級 | 新井田川 | 新井田川 | 世增水壩 | 補助 | F・A・W | 重力 | 52.0 | 36,500 | 青森縣 | 2003 | 水特法指定 |
岩手縣
編輯岩手縣は南北を東北隨一の大河・北上川が貫流する。戦前より內務省が北上川水系の河川開発を実施しこの時に北上川五大ダム計畫が登場する[14]。戦後カスリーン・アイオンの両颱風が北上川流域に深刻な被害を與えたこと、また戦後の食糧・電力不足を解消させるため北上川は隣接する鳴瀬川水系を包括した地域開発計畫である北上特定地域総合開発計畫が策定され、五大ダム計畫は強力に推進される。1953年(昭和28年)完成の石淵ダム(膽沢川)を皮切りに田瀬(猿石川)、湯田(和賀川)、四十四田(北上川本流)の各ダムが建設され、1981年(昭和56年)の御所ダム(雫石川)完成により五大ダム事業は完結する。一方岩手県営のものとしては北上川水系では農林省の國営農業水利事業に電気事業者として參畫した岩洞ダム(丹藤川)のほか早池峰ダム(稗貫川)、入畑ダム(夏油川)、綱取ダム(中津川)、太平洋側の二級河川である久慈川水系、盛川水系、綾里川水系などに多目的ダムを建設している。
岩手縣最大的多用途水壩,は高度では湯田水壩、総貯水容量では田瀨水壩であるが、膽沢川に國土交通省が建設中の膽沢ダム(膽沢川)が完成すると高度では同ダムが最大となる。膽沢ダムは石淵ダムの再開発事業であり、完成すれば日本で最初に着手されたロックフィルダム[15]である石淵ダムは水沒する。県営では簗川ダム(簗川)が施工中でありダム事業の見直し対象となったものの、事業者の岩手県が事業継続を決定している[4]。また北本內ダム(北本內川)[16]など幾つかのダム事業が中止されている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
水壩 |
種別 |
目的 |
型式 |
壩高 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備註 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 北上川 | 膽澤川 | 膽澤水壩 | 特定 | F・N・A・W・P | ロックフィル | 132.0 | 143,000 | 國土交通省 | 2013 | 工事中 水特法指定 |
一級 | 北上川 | 膽澤川 | 石淵水壩 | F・A・P | ロックフィル | 53.0 | 16,150 | 國土交通省 | 1953 | 再開発中 | |
一級 | 北上川 | 夏油川 | 入畑水壩 | 補助 | F・N・W・I・P | 重力 | 80.0 | 15,400 | 岩手縣 | 1990 | |
一級 | 北上川 | 丹藤川 | 岩洞水壩 | 利水 | A・P | ロックフィル | 40.0 | 65,600 | 岩手縣 | 1960 | 農林省施工 |
一級 | 北上川 | 岩崎川 | 煙山水壩 | F・A | アース | 21.8 | 1,410 | 岩手縣 | 1967 | 農林省施工 | |
一級 | 北上川 | 雫石川 | 御所水壩 | 特定 | F・N・W・P | 複合 | 52.5 | 65,000 | 國土交通省 | 1981 | 水特法9條指定 |
一級 | 北上川 | 北上川 | 四十四田水壩 | 特定 | F・P | 複合 | 50.0 | 47,100 | 國土交通省 | 1968 | |
二級 | 久慈川 | 長內川 | 瀧水壩 | 補助 | F・N・P | 重力 | 70.0 | 7,600 | 岩手縣 | 1982 | |
二級 | 盛川 | 鷹生川 | 鷹生水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 77.0 | 9,680 | 岩手縣 | 2006 | |
一級 | 北上川 | 猿石川 | 田瀨水壩 | F・A・P | 重力 | 81.5 | 146,500 | 國土交通省 | 1954 | 直轄ダム第一號 | |
一級 | 北上川 | 中津川 | 綱取水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 59.0 | 15,000 | 岩手縣 | 1982 | |
一級 | 北上川 | 稗貫川 | 早池峰水壩 | 補助 | F・N・W・I・P | 重力 | 73.5 | 17,250 | 岩手縣 | 2000 | |
一級 | 北上川 | 簗川 | 簗川水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 77.2 | 19,100 | 岩手縣 | 未定 | 水特法指定 工事中 |
二級 | 新井田川 | 雪谷川 | 雪谷川水壩 | F・A | 重力 | 28.4 | 2,662 | 岩手縣 | 1977 | ||
一級 | 北上川 | 和賀川 | 湯田水壩 | 特定 | F・A・P | 重力アーチ | 89.5 | 114,160 | 國土交通省 | 1964 | |
二級 | 綾里川 | 綾里川 | 綾里川水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 43.0 | 486 | 岩手縣 | 2000 |
宮城縣
編輯北上川下流に位置する宮城縣は古くは伊達政宗以來北上川の改修が続けられてきた。しかしカスリーン・アイオン両台風による深刻な被害を機に北上川全體の総合開発が求められ北上特定地域総合開発計畫が策定。北上川支流の江合川と迫川が対象となり鳴子ダム(江合川)や花山ダム(迫川)などの多目的ダム群が建設された。また東北最大の都市である仙台市の人口増加や鹽竈市など沿岸工業地帯拡充による水道供給も課題となり、名取川水系を開発する仙塩特定地域総合開発計畫が策定され[17]大倉ダム(大倉川)や釜房ダム(碁石川)が完成、その後阿武隈川水系に七ヶ宿ダム(白石川)、七北田川に七北田(ななきた)ダムが建設されて仙台市の水がめとなった。鳴瀬川水系では北上川の総合開発と包括して開発が行われ、本流に內野ダム[18]が建設省によって計畫され、その後県営のダム事業となり1980年(昭和55年)に漆沢ダムとして完成する。また洪水被害が頻発する支流の吉田川流域の総合開発が行われ、南川(南川)、宮床(宮床川)の両ダムが建設された。
宮城県最大の多目的ダムは高度では鳴子ダム、総貯水容量では仙台市など宮城県大半の水がめとして利用されている七ヶ宿ダムである。ただし高度では建設中の筒砂子ダム(筒砂子川)が完成すると県內一になる。建設中のものとしては筒砂子ダムのほか払川ダム(伊里前川)、自然の湖沼である長沼をダム化する長沼ダムがあるが、長沼ダムには日本で三箇所のダムしか有しないレクリェーション目的がある。宮城県漕艇場が長沼に設置されているため、賽艇の水位維持を目的とする[19]。この他田川ダム(田川)と筒砂子ダム(筒砂子川)が鳴瀬川水系に建設中であるが、ダム事業の見直しの波にさらされている。事業中止のダムとしては田川第二ダム(田川)[20]、新月ダム(大川)[21]などがある。
なお大倉ダムは建設省により特定多目的ダムとして施工されたが、完成後は宮城県に管理が移管されている。また釜房ダムの人造湖である釜房湖は湖沼水質保全特別措置法(湖沼法)に人造湖では唯一指定されており、厳重な水質管理が行われている。荒砥沢ダム(二迫川)は岩手宮城內陸地震でダム湖畔が大規模な山腹崩壊を起こし湖に大量の土砂が流入。現在対策が講じられている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 北上川 | 二迫川 | 荒砥澤水壩 | 補助 | F・A | ロックフィル | 74.4 | 14,130 | 宮城県 | 1998 | 農林水産省施工 |
一級 | 鳴瀨川 | 鳴瀨川 | 漆澤水壩 | 補助 | F・N・W・I・P | ロックフィル | 80.0 | 18,000 | 宮城県 | 1980 | |
一級 | 名取川 | 大倉川 | 大倉水壩 | 特定 | F・N・A・W・I・P | 多連式アーチ | 82.0 | 28,000 | 宮城縣 | 1961 | 建設省施工 |
一級 | 名取川 | 碁石川 | 釜房水壩 | 特定 | F・N・W・I・P | 重力 | 45.5 | 45,300 | 國土交通省 | 1970 | 湖沼法指定 |
一級 | 北上川 | 上大澤川 | 上大澤水壩 | 補助 | F・W | アース | 19.0 | 410 | 宮城県 | 2003 | |
一級 | 北上川 | 北上川 | 北上大堰 | N・A・W・I | 堰 | - | - | 國土交通省 | 1980 | ||
一級 | 北上川 | 三迫川 | 栗駒水壩 | F・A・P | 重力 | 57.0 | 13,715 | 宮城県 | 1962 | ||
一級 | 北上川 | 長崎川 | 小田水壩 | 補助 | F・A | ロックフィル | 43.5 | 9,720 | 宮城県 | 2005 | 農林水産省施工 |
一級 | 阿武隈川 | 白石川 | 七ヶ宿ダム | 特定 | F・N・A・W・I | ロックフィル | 90.0 | 109,000 | 國土交通省 | 1991 | 水特法9條指定 |
二級 | 勿來川 | 砂押川 | 惣の関水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 23.5 | 1,100 | 宮城縣 | 1999 | |
一級 | 鳴瀬川 | 田川 | 田川水壩 | 特定 | 未定 | ロックフィル | 85.0 | 14,700 | 國土交通省 | 未定 | 事業見直し |
一級 | 名取川 | 増田川 | 樽水水壩 | 補助 | F・W | ロックフィル | 43.0 | 4,700 | 宮城縣 | 1976 | |
一級 | 鳴瀬川 | 筒砂子川 | 筒砂子水壩 | 補助 | F・N・A | 台形CSG | 98.0 | 30,900 | 宮城県 | 2033 | 事業見直し |
一級 | 北上川 | 長沼 | 長沼水壩 | 補助 | F・N・R | アース | 15.3 | 31,800 | 宮城県 | 2012 | 工事中 水特法9條指定 |
二級 | 七北田川 | 七北田川 | 七北田水壩 | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 74.0 | 9,200 | 宮城縣 | 1984 | |
一級 | 北上川 | 江合川 | 鳴子水壩 | 特定 | F・N・P | アーチ | 94.5 | 50,000 | 國土交通省 | 1958 | |
一級 | 北上川 | 迫川 | 花山水壩 | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 48.5 | 36,600 | 宮城県 | 1957 | 2004年再開発 |
二級 | 伊里前川 | 伊里前川 | 拂川水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 38.9 | 950 | 宮城県 | 2012 | 工事中 |
一級 | 鳴瀬川 | 南川 | 南川水壩 | 補助 | F・N・W | 重力 | 46.0 | 10,000 | 宮城県 | 1987 | 水特法指定 |
一級 | 鳴瀨川 | 宮床川 | 堰 | 補助 | F・N・W | 重力 | 48.0 | 5,000 | 宮城県 | 1998 |
秋田縣
編輯日本における多目的ダム事業の発案者である物部長穂(內務省土木試験所長・東京大學教授)の出身地である秋田縣では、戦前より水力発電と玉川毒水解消を目的とした玉川河水統制事業が1938年(昭和13年)より実施されていたが、治水を中心とした河川総合開発事業は終戦後雄物川水系と米代川水系で行われた。1950年の國土総合開発法制定以降、東北地方の他県と同様に秋田県においても両水系を一括した阿仁田沢特定地域総合開発計畫が発足する。雄物川・米代川とも本流にダム建設可能な地點がないことから、主要な支流に多目的ダムを建設して治水と灌漑、水力発電を行う方針とした。雄物川水系では建設省が中心となり玉川のほか役內川、皆瀬川と支流の成瀬川に四箇所のダム[22]を、米代川水系では最大の支流である阿仁川流域に二箇所のダム[23]を建設する計畫を立てた。この計畫により完成したダムとして鎧畑ダム(玉川)、皆瀬ダム(皆瀬川)、森吉ダム(小又川)、萩形(はぎなり)ダム(小阿仁川)がある。その後県によって雄物川・米代川水系の各支流に多目的ダムが建設される[24][25]が、秋田市などの人口増加に伴い上水道需要と治水安全度を確保するため建設省は鎧畑ダムの上流に玉川ダム(玉川)を1990年(平成2年)に完成させた。玉川ダムの完成により雄物川水系の治水・利水が向上したほか、長年の懸案であった玉川毒水がほぼ解消するに至った[26]。さらに米代川水系最大のダムとして森吉山ダム(小又川)が2012年に完成した。
秋田縣最大的多目途水壩玉川ダムであり、その規模は奧只見・田子倉(只見川)の両ダムに次ぐ貯水容量を誇り東北屈指である。しかし施工中の成瀬ダム(成瀬川)が完成すると高度では県內一になる。施工中のダムとしては成瀬ダムのほか、総合開発事業が行われていなかった子吉川水系でも本流に鳥海ダムが計畫されている。しかし両ダムとも2009年のダム事業見直し対象になっている。また中止したダム事業としては役內川の川井ダム・成瀬川の肴沢ダム[27]、玉川支流斉內川の真木ダムなどがある[28]。
なお皆瀬川の皆瀬ダムは、建設省により特定多目的ダムとして施工されたが、完成後は秋田県に管理が移管されている。東北電力が管理する神代ダム(玉川)は発電専用ダムであるが、田沢疏水の水源として灌漑にも目的外利用されている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 雄物川 | 皆瀬川 | 板戸ダム | 補助 | N・P | 重力 | 28.7 | 1,598 | 秋田県 | 1984 | |
一級 | 雄物川 | 三內川 | 岩見ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 66.5 | 19,300 | 秋田県 | 1978 | |
一級 | 子吉川 | 畑川 | 大內ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 27.5 | 724 | 秋田県 | 2007 | |
一級 | 雄物川 | 松川 | 大松川ダム | 補助 | F・N・A・W・P | 重力 | 65.0 | 12,150 | 秋田県 | 1998 | 水特法指定 |
一級 | 雄物川 | 淀川 | 協和ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 49.3 | 7,800 | 秋田県 | 1997 | |
一級 | 米代川 | 砂子沢川 | 砂子沢ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 78.5 | 8,650 | 秋田県 | 2010 | |
一級 | 米代川 | 粕毛川 | 素波里ダム | 補助 | F・N・A・P | 重力 | 72.0 | 42,500 | 秋田県 | 1970 | |
一級 | 雄物川 | 玉川 | 玉川ダム | 特定 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 100.0 | 254,000 | 國土交通省 | 1990 | 水特法指定 |
一級 | 子吉川 | 子吉川 | 鳥海ダム | 特定 | 未定 | 台形CSG | 82.2 | 44,100 | 國土交通省 | 未定 | 事業見直し |
一級 | 雄物川 | 成瀬川 | 成瀬ダム | 特定 | F・N・A・W・P | ロックフィル | 113.5 | 78,700 | 國土交通省 | 2017 | 秋田県より移管 水特法指定 事業見直し |
一級 | 雄物川 | 西の又川 | 南外ダム | F・A | アース | 21.4 | 1,724 | 秋田県 | 1978 | ||
一級 | 米代川 | 小阿仁川 | 萩形ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 61.0 | 14,950 | 秋田県 | 1966 | |
一級 | 米代川 | 早口川 | 早口ダム | 補助 | F・P | 重力 | 61.0 | 6,550 | 秋田県 | 1976 | |
二級 | 水沢川 | 水沢川 | 水沢ダム | F・A | ロックフィル | 46.5 | 3,001 | 秋田県 | 1994 | ||
一級 | 雄物川 | 皆瀬川 | 皆瀬ダム | 特定 | F・N・A・P | ロックフィル | 66.5 | 31,600 | 秋田県 | 1963 | 建設省施工 |
一級 | 米代川 | 小又川 | 森吉ダム | F・P | 重力 | 62.0 | 37,200 | 秋田県 | 1952 | 三菱金屬鉱業と 共同施工 | |
一級 | 米代川 | 小又川 | 森吉山ダム | 特定 | F・N・A・W・P | ロックフィル | 89.9 | 78,100 | 國土交通省 | 2012 | 水特法9條指定 |
一級 | 米代川 | 岩瀬川 | 山瀬ダム | 補助 | F・N・W・I・P | ロックフィル | 62.0 | 12,900 | 秋田県 | 1991 | |
一級 | 雄物川 | 玉川 | 鎧畑ダム | F・P | 重力 | 58.5 | 51,000 | 秋田県 | 1957 | 建設省施工 |
関東地方
編輯茨城県
編輯茨城縣における多目的ダム事業は1966年(昭和41年)に完成した水沼ダム(花園川)が最初であり、他の日本行政區劃に比べ着手時期は遅い。水沼ダム完成以降主に県北部の二級河川で開発が行われたが、その目的は治水のほか日立市などへの利水が主となっている。日立市周辺は日立の一大生産拠點となっており、工場進出に伴う工業用水道や人口増加に伴う上水道需要の増大が主な理由である[29]。県北部では花貫(花貫川)、十王(十王川)、小山(大北川)といったダムが二級河川に建設されたほか、久慈川水系唯一のダムとして竜神ダム(竜神川)が建設され、日立市、高萩市、北茨城市、常陸太田市に水道用水を供給している。一方水戶市を中心とする那珂川水系では1978年(昭和53年)に藤井川ダム(藤井川)が治水ダムを多目的化する形で完成している[30]。その後1990年には支流涸沼川に合流する飯田川に飯田ダムが完成し、県都水戸市とその周辺の治水と利水を司っている。県南地域では利根川・荒川水資源開発基本計畫に基づき日本第二の大湖沼・霞浦の総合開発が行われ、首都圈の水がめとして利用されている。霞ヶ浦は天然の湖であるが水資源開発促進法に拠る「湖沼水位調節施設」に位置づけられ、多目的ダムとしての扱いも受ける[31]。
茨城県最大の多目的ダムは高度では2005年完成の小山ダム、総貯水容量では霞ヶ浦を除けば利根川河口堰(利根川)である。現在新規のダム事業はないが、水質汚濁の進む霞ヶ浦の浄化と首都圏への新規利水を目的とした霞ヶ浦導水事業が國土交通省により施工中である。これは那珂川と霞ヶ浦を全長44千米の隧道で連結し、那珂川の河水を霞ヶ浦に導水する計畫であるが那珂川の漁業環境悪化を恐れる茨城・栃木両県の那珂川漁業協同組合が猛反対しており、事業は進捗していない。中止したダム事業としては32年間の反対運動の末に中止となった緒川ダム(緒川)[32]と、藤井川ダム上流に建設予定であった大谷原川ダム(大谷原川)[33]、そして遊水池である稲戸井調節池を掘削して多目的ダム化する稲戸井調節池総合開発事業(利根川)[34]がある。なお茨城県には國土交通省直轄ダムは存在せず、水力発電を目的とする多目的ダムも存在しない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 那珂川 | 飯田川 | 飯田ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 33.0 | 2,440 | 茨城県 | 1991 | |
一級 | 利根川 | 霞浦 | 霞浦 | 水機構法 | F・A・W・I | - | 1,253,000 | 水資源機構 | 1995 | 天然湖沼開発 水特法9條指定 | |
二級 | 大北川 | 大北川 | 小山ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 65.0 | 16,600 | 茨城県 | 2005 | |
二級 | 十王川 | 十王川 | 十王ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 48.6 | 2,860 | 茨城県 | 1993 | |
一級 | 利根川 | 利根川 | 利根川河口堰 | 水機構法 | F・A・W・I | 堰 | 7.0 | 90,000 | 水資源機構 | 1970 | |
二級 | 花貫川 | 花貫川 | 花貫ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 45.3 | 2,880 | 茨城県 | 1972 | |
一級 | 那珂川 | 藤井川 | 藤井川ダム | 補助 | F・N・A・W | 重力 | 37.5 | 4,462 | 茨城県 | 1977 | 2009年再開発 |
二級 | 大北川 | 花園川 | 水沼ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 33.7 | 2,230 | 茨城県 | 1966 | |
一級 | 久慈川 | 竜神川 | 竜神ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 45.0 | 3,000 | 茨城県 | 1978 |
栃木県
編輯栃木縣は那珂川、鬼怒川、渡良瀬川といった大河川を流域に持つが、最初に開発が行われたのは鬼怒川である。1926年(大正15年)に當時の內務省によって鬼怒川支流の男鹿川に多目的ダムを建設する構想が持たれ、1941年(昭和16年)に着手された。これが五十里(いかり)ダムであり、基礎地盤の不具合で建設地點を移動し1957年(昭和32年)に完成した[35]。続いて鬼怒川本流に川俁ダムと川治ダムが建設省の手でそれぞれ完成し、治水および県都宇都宮市、千葉県と茨城県南部の水がめとして機能している。那珂川水系では舊農林省による國営那須野ヶ原開拓建設事業の一環として那珂川本流に計畫された深山ダムが、栃木県の上水道事業と電源開発による抽水蓄能電站の下部調整池としても利用され利水専用の多目的ダムとして1973年(昭和48年)完成する[36]。その後は県営事業として支流の箒川、荒川に多目的ダムが建設されている。渡良瀬川では足尾鉱毒事件を契機に建設された渡良瀬遊水地の中に貯水池を建設して首都圏の水がめとする渡良瀬貯水池(谷中湖)が2002年(平成14年)完成し利根川上流ダム群の一つとなっている。このほか支流の松田川に松田川ダムが利根川・荒川水系水資源開発基本計畫の一環として県営事業として完成している[37][38]。
県內最大の多目的ダムは高度では川治ダム、総貯水容量では川俁ダムがそれぞれ最大である。施工中のものとしては湯西川ダムが國土交通省により、南摩ダム(南摩川)が水資源機構に よって建設中であるが民主黨政権によるダム事業見直しにより計畫から40年以上未着工の南摩ダムは凍結された。しかし鬼怒川上流ダム群の一環として本體工 事に着手した湯西川ダムについては、ダム事業見直しの対象からは外され建設が進められている。中止したダム事業としては南摩ダムと連攜して行われる思川開 発の一環として建設される予定であった行川(なめがわ)ダム(行川)[39]や那珂川支流の大室川に建設が予定されていた大室川ダム[40]などがある。
なお日光の観光地である中禪寺湖は出口に中禪寺ダム(大谷川)が建設されており、治水、水力発電と華嚴瀑布の年間流量安定確保を目的としている[41]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 利根川 | 男鹿川 | 五十里ダム | F・N・P | 重力 | 112.0 | 55,000 | 國土交通省 | 1956 | ||
一級 | 利根川 | 鬼怒川 | 岡本頭首工 | 利水 | A・W・I | 堰 | - | - | 土地改良區 | 1981 | [42] |
一級 | 利根川 | 鬼怒川 | 川治ダム | 特定 | F・N・A・W・I | アーチ | 140.0 | 83,000 | 國土交通省 | 1983 | 水特法9條指定 |
一級 | 利根川 | 鬼怒川 | 川俁ダム | 特定 | F・N・P | アーチ | 117.0 | 87,600 | 國土交通省 | 1966 | |
一級 | 利根川 | 鬼怒川 | 佐貫頭首工 | 利水 | A・P | 堰 | - | - | 土地改良區 | 1966 | |
一級 | 那珂川 | 箒川 | 千米 | 補助 | F・N・A | 重力 | 60.0 | 8,760 | 栃木県 | 1978 | |
一級 | 利根川 | 大谷川 | 中禪寺ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 6.4 | 25,100 | 栃木県 | 1956 | 1998年再開発 |
一級 | 那珂川 | 宮川 | 寺山ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 62.2 | 2,550 | 栃木県 | 1984 | |
一級 | 利根川 | 南摩川 | 南摩ダム | 水機構法 | F・N・W | ロックフィル | 86.5 | 51,000 | 水資源機構 | 未定 | 水特法9條指定 事業見直し |
一級 | 那珂川 | 荒川 | 東荒川ダム | 補助 | F・N・A・W・P | 重力 | 70.0 | 6,100 | 栃木県 | 1990 | |
一級 | 利根川 | 松田川 | 松田川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 56.0 | 1,900 | 栃木県 | 1995 | |
一級 | 利根川 | 三河沢川 | 三河沢ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 48.5 | 899 | 栃木県 | 2003 | |
一級 | 那珂川 | 那珂川 | 深山ダム | 利水 | A・W・P | ロックフィル | 75.5 | 25,800 | 栃木県 | 1973 | 農林省施工 |
一級 | 利根川 | 湯西川 | 湯西川ダム | 特定 | F・N・A・W・I | 重力 | 119.0 | 75,000 | 國土交通省 | 2011 | 工事中 水特法9條指定 |
一級 | 利根川 | 渡良瀬川 | 渡良瀬貯水池 | 特定 | F・N・W | 堰 | 8.5 | 26,400 | 國土交通省 | 2002 |
群馬県
編輯利根川上流部を流域に持つ群馬縣では、カスリーン台風による利根川の大水害を契機に経済安定本部と建設省が利根川水系に多數の多目的ダムを建設して洪水調節を行う利根川改訂改修計畫が立案され、利根川本流のほか支流の烏川、吾妻川、片品川、赤谷川などにダムが計畫された[43]。さらに1951年の國土総合開発法による利根特定地域総合開発計畫、1963年の水資源開発促進法による利根川・荒川水系水資源開発基本計畫により事業が拡充され、矢木沢・藤原(利根川)、相俁(赤谷川)、薗原(片品川)、下久保(神流川)、草木(渡良瀬川)、奈良俁(楢俁川)の各ダムが建設された。これら利根川上流ダム群の水は利根大堰を経由して荒川に送水され、東京都を始めとする上水道の水源となっている。また四萬川、桐生川など利根川の二次支流については群馬県によって中小規模の多目的ダムが建設され、県內の治水・利水を司っている。
県內最大の多目的ダムは高度では奈良俁ダム、総貯水容量では矢木沢ダムがそれぞれ最大であり矢木沢ダムの人造湖・奧利根湖は関東地方最大の貯水容量を有する。施工中のダムでは八ッ場(やんば)ダム(吾妻川)、萬座ダム(萬座川)などの吾妻川上流総合開発、倉渕ダム(烏川)、増田川ダム(増田川)があるがダム事業見直しの対象となった。特に計畫発表から57年が経過している八ッ場ダムは民主黨政権が宣言で中止を明言し、前原誠司國土交通大臣も中止の方針を表明したが水沒予定地の長野原町を始め神奈川県を除く関東6都県の知事などが一斉に反発、事態は二転三転し混迷した。最終的に野田內閣において事業再開が決斷されたが、一方で吾妻川上流総合開発事業は中止されている[4]。中止したダム事業としては「日本最大の多目的ダム事業」であった沼田ダム(利根川)[44]を始め戸倉ダム(片品川)[45]など多數存在する。なお、吾妻川支流の湯川に建設された品木ダムは、當時河水酸度の平均がPH值4.0であった酸性河川・吾妻川の中和を主目的として建設され、付隨して水力発電を行う目的を有している。ダムの完成により吾妻川の酸性度は改善され、魚類も棲息するようになった[46]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 利根川 | 赤谷川 | 相俁ダム | F・N・P | 重力 | 67.0 | 25,000 | 國土交通省 | 1959 | 群馬県より移管 | |
一級 | 利根川 | 大仁田川 | 大仁田ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 54.4 | 437 | 群馬県 | 2001 | |
一級 | 利根川 | 桐生川 | 桐生川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 60.5 | 12,200 | 群馬県 | 1982 | 水特法指定 |
一級 | 利根川 | 渡良瀬川 | 草木ダム | 水機構法 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 140.0 | 60,500 | 水資源機構 | 1976 | 建設省より移管 |
一級 | 利根川 | 烏川 | 倉渕ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 85.6 | 11,600 | 群馬県 | 未定 | 事業見直し |
一級 | 利根川 | 塩沢川 | 塩沢ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 38.0 | 303 | 群馬県 | 1995 | |
一級 | 利根川 | 湯川 | 品木ダム | 補助 | N・P | 重力 | 43.5 | 1,668 | 國土交通省 | 1965 | 群馬県より移管 |
一級 | 利根川 | 四萬川 | 四萬川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 89.5 | 9,200 | 群馬県 | 1999 | |
一級 | 利根川 | 神流川 | 下久保ダム | 水機構法 | F・N・W・I・P | 重力 | 129.0 | 130,000 | 水資源機構 | 1968 | 建設省より移管 |
一級 | 利根川 | 片品川 | 薗原ダム | 特定 | F・N・P | 重力 | 76.5 | 20,310 | 國土交通省 | 1965 | |
一級 | 利根川 | 道平川 | 道平川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 70.0 | 5,100 | 群馬県 | 1992 | |
一級 | 利根川 | 利根川 | 利根大堰 | 水機構法 | A・W・I | 堰 | - | - | 水資源機構 | 1968 | |
一級 | 利根川 | 楢俁川 | 奈良俁ダム | 水機構法 | F・N・A・W・I・P | ロックフィル | 158.0 | 90,000 | 水資源機構 | 1990 | |
一級 | 利根川 | 利根川 | 藤原ダム | F・N・P | 重力 | 95.0 | 52,490 | 國土交通省 | 1958 | ||
一級 | 利根川 | 増田川 | 増田川ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 76.3 | 5,800 | 群馬県 | 2013 | 事業見直し |
一級 | 利根川 | 利根川 | 矢木沢ダム | 水機構法 | F・N・A・W・P | アーチ | 131.0 | 204,300 | 水資源機構 | 1967 | 建設省より移管 |
一級 | 利根川 | 吾妻川 | 埼玉市 | 特定 | F・N・W・I・P | 重力 | 116.0 | 107,500 | 國土交通省 | 2015 | 水特法9條指定 工事中 |
埼玉県
編輯埼玉縣では県內最大の河川である荒川が総合開発の対象となった。古くより水害を繰り返す荒川の治水を主目的に県內最初の多目的ダムとして1961年荒川本流に二瀬ダムが完成する。その後首都圏の人口増加による上水道需要のひっ迫に対処するため、荒川水系は1974年に利根川水系と連攜する形で水資源開発促進法に基づく開発水系に指定された[47]。この利根川・荒川水資源開発基本計畫に基づき建設されたのが浦山ダム(浦山川)と滝沢ダム(中津川)である。さらに遊水地である荒川第一調節池を多目的ダム化する荒川調節池総合開発事業が行われ、彩湖として1996年完成している。一方県営事業としては利水専用多目的ダムとして荒川本流に玉淀ダムが完成したほか、荒川支流の入間川流域と赤平川流域に多目的ダムが計畫され、それぞれ有間ダム(有間川)、合角ダム(吉田川)が完成している。また流域のほとんどを平地で占める中川の治水と利水を目的に、「平地ダム」として権現堂調節池が完成している。
埼玉県內で最大の多目的ダムは高度では浦山ダム、総貯水容量では滝沢ダムである。新規のダム事業は現在存在しないが二瀬・滝沢・浦山の荒川上流ダム群運用を治水面でより合理化するための荒川上流ダム再開発事業が計畫されている[48]。中止したダム事業としては二つ目の彩湖を埼玉市に建設する荒川第二調節池総合開発事業[49]、赤平川支流の小森川に建設を予定していた小森川ダム、都幾川上流に計畫された大野ダムがある。また滝沢、浦山、合角の三ダムについてはダム建設に対する反対運動が強く、完成までに滝沢ダムでは40年を費やすなど日本の長期化ダム事業に名を連ねている。
なお、滝沢ダムについてはダム本體は2008年に完成したが試験湛水中に山腹に亀裂が発生し、現在対策を行っているため本格的な運用には至っていない。また玉淀ダムについては環境保護団體が撤去を求めて活動している[50]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 荒川 | 荒川 | 荒川調節池 | 特定 | F・W | 調整池 | - | 11,100 | 國土交通省 | 1996 | |
一級 | 荒川 | 有間川 | 有間ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 83.5 | 7,600 | 埼玉県 | 1985 | |
一級 | 荒川 | 浦山川 | 浦山ダム | 水機構法 | F・N・W・P | 重力 | 156.0 | 58,000 | 水資源機構 | 1999 | 水特法指定 |
一級 | 荒川 | 吉田川 | 合角ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 60.9 | 10,250 | 埼玉県 | 2001 | 水特法指定 |
一級 | 利根川 | 権現堂川 | 権現堂調節池 | 補助 | F・N・W・I | 堰 | 14.5 | 4,113 | 埼玉県 | 1991 | |
一級 | 荒川 | 中津川 | 滝沢ダム | 水機構法 | F・N・W・P | 重力 | 132.0 | 63,000 | 水資源機構 | 2008 | 水特法指定 |
一級 | 荒川 | 荒川 | 玉淀ダム | 利水 | A・P | 重力 | 32.0 | 3,501 | 埼玉県 | 1964 | |
一級 | 荒川 | 荒川 | 二瀬ダム | 特定 | F・N・P | 重力アーチ | 95.0 | 26,900 | 國土交通省 | 1961 |
千葉県
編輯千葉縣の多目的ダム事業は47都道府県では最も遅い部類に入るが、これは水源の多くを利根川水系に求めているためで、利水受益者として利根川水系にある多數の多目的ダム事業に參加しており、県都・千葉市や成田國際機場を抱える成田市など千葉県北部・中部の主要都市は利根川上流ダム群、鬼怒川上流ダム群が主な水源となっている。一方で県內を流れる主要な二級河川である小櫃川と養老川は曲流を繰り返す河川で水害が頻発していた。このため補助多目的ダムを建設して治水と東京灣沿岸地域への上水道供給を図ることを計畫。小櫃川本流に亀山ダムが県內初の多目的ダムとして完成したほか支流笹川に片倉ダム、養老川本流に高滝ダムを建設する。南房総では上水道、または灌漑単獨のダムが多數建設されているが、利水専用の多目的ダムとして保台ダムが待崎川に完成している。
千葉県最大のダムは高度では片倉ダム、総貯水容量では亀山ダムがそれぞれ最大である。現在千葉県で新規施工中の多目的ダムは存在しない。中止したダム事業としては國直轄事業では印旛沼を掘削・拡張して多目的ダム化する印旛沼総合開発事業[51]と行徳可動堰・江戸川水閘門改築による貯水容量増大を目的とした江戶川総合開発事業[52]が、県営事業としては亀山ダム上流の小櫃川に計畫していた追原ダム[53]と夷隅川水系西部田川に建設が予定されていた大多喜ダム[54]が中止となっている。なお千葉県內には治水と利水を目的とした河流(流況調整河川)として北千葉導水路と野田導水路が存在する。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 小櫃川 | 笹川 | 片倉ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 42.7 | 8,410 | 千葉県 | 2000 | |
二級 | 小櫃川 | 小櫃川 | 亀山ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 34.5 | 14,750 | 千葉県 | 1980 | 水特法指定 |
二級 | 養老川 | 養老川 | 高滝ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 24.5 | 14,300 | 千葉県 | 1990 | 水特法指定 |
二級 | 待崎川 | 待崎川 | 保台ダム | 利水 | A・W | 重力 | 41.0 | 2,740 | 千葉県 | 1998 |
東京都
編輯首都・東京都にある多目的ダムは多摩川の小河內ダムが唯一である。主目的は上水道の供給であるが、副次的に水力発電も行う。ダム直下にある多摩川第一発電所で発電された電力は下流にある白丸ダムを経て多摩川第三発電所に送電され、ここで発電された電力は東京電力に売電される。ダムに関連する水力発電所群は何れも東京都交通局が管理している[55]。
小河內ダムは戦前より計畫され、戦爭による中斷を挾んで完成したが、ダムの建設により舊小河內村全村が水沒。水沒世帯數945世帯と日本のダムにおける最大の水沒世帯數となった。このことは完成後行幸した昭和天皇が水沒に伴い移転した住民の生活がどのようになっているのか事業者である東京都水道局に下問するなど當時の関心事にもなっており、ダム補償における一つの代表例である[56]。また水利権を巡り神奈川県の二ヶ領用水組合との間で紛爭が起こり[57]、このことも水沒住民を悩ませている。
な お東京都の水源として利用されている多目的ダムには利根川水系の矢木沢・下久保・奈良俁・草木・渡良瀬貯水池、荒川水系の浦山・滝沢・荒川調節池といった ダム群があり、物議を醸している八ッ場ダムにも治水・水道受益者として參加している。都內で計畫されているダム事業は存在しない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 多摩川 | 多摩川 | 小河內ダム | 利水 | W・P | 重力 | 149.0 | 189,100 | 東京都水道局 | 1957 |
神奈川県
編輯県都橫濱市を始め川崎市、橫須賀市といった大都市を抱える神奈川縣は明治時代以降人口が増加し、上水道の供給と整備が課題となっていた。1938年(昭和13年)神奈川県議會は県下最大の河川である相模川の河川開発による上水道・工業用水道・電力需要の補給を議決[58]。県営事業として初の多目的ダムである沼本ダムを1937年より、相模ダムを1941年より建設する。橫須賀海軍工廠への電力供給も視野に入れていたこともあり、建設に反対する住民に対し陸軍と海軍が合同閲兵式を水沒予定地で行って圧力を掛ける[59]など半ば強引な手法で建設が進み1944年(昭和19年)完成する。戦後神奈川県の人口は爆発的に増大し相模ダムでは到底賄えず、相模ダム下流に1964年(昭和39年)城山ダムが完成する。だがそれでもなお神奈川県の人口増加は進行し、相模川だけではなく県西部を流れる酒匂川水系も利用することになり支流の河內川に1978年三保ダムが完成する。相模・城山・三保の各ダムはダム・人造湖の規模としては比較的巨大な部類に入るが、神奈川県の人口は1980年には700萬人に迫る勢いであり三ダムの供給量を以ってしても不足が生じていた[60]。このため建設が急がれたのが相模川支流中津川の宮ヶ瀬ダムである。完成まで31年を費やしたこのダムの完成により相模、城山、道志(道志川)各ダムとの間に建設された導水路を通じ水を相互融通して神奈川県全域の水需要と相模川の治水に貢獻している。
神奈川県最大の多目的ダムは宮ヶ瀬ダムである。宮ヶ瀬ダムは2003年の國土交通省調査により國土交通省直轄ダムにおいて年間訪問者數が日本一[61]となり、年間延べ120萬人が訪れる一大観光地に成長している。新規のダム事業は存在しておらず、ダム事業の見直しの影響も受けていない。しかし相模川上流ダム群の建設に伴う湘南海岸の沙洲後退が問題となっている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 相模川 | 相模川 | 相模ダム | W・I・P | 重力 | 58.4 | 63,200 | 神奈川県 | 1947 | ||
一級 | 相模川 | 相模川 | 寒川取水堰 | 利水 | W・I | 堰 | 6.0 | - | 神奈川県 | 1971 | |
一級 | 相模川 | 相模川 | 城山ダム | 補助 | F・W・I・P | 重力 | 75.0 | 62,300 | 神奈川県 | 1964 | |
一級 | 相模川 | 相模川 | 沼本ダム | 利水 | W・I・P | 重力 | 34.5 | 2,330 | 神奈川県 | 1943 | |
二級 | 酒匂川 | 河內川 | 三保ダム | 補助 | F・W・P | ロックフィル | 95.0 | 64,900 | 神奈川県 | 1978 | |
一級 | 相模川 | 中津川 | 宮ヶ瀬ダム | 特定 | F・N・W・P | 重力 | 156.0 | 193,000 | 國土交通省 | 2001 | 水特法9條指定 |
一級 | 相模川 | 中津川 | 宮ヶ瀬副ダム | 特定 | F・N・W・P | 重力 | 34.5 | 557 | 國土交通省 | 2000 | 通稱石小屋ダム |
中部地方
編輯新潟県
編輯新潟縣における多目的ダムの建設は、村上市を流れる三面(みおもて)川水系が最初であり、1952年に三面ダムが完成する。しかし1967年(昭和42年)の羽越豪雨による新潟県下越地方の壊滅的な被害を機に荒川、胎內川、加治川などの治水計畫が改訂され、大石ダム(大石川)、內の倉ダム(內の倉川)、奧三面ダム(三面川)が建設された。一方信濃川水系では支流の五十嵐川で開発が始まり、笠堀ダム(笠堀川)が1964年に完成したが1969年(昭和44年)の集中豪雨で五十嵐川や刈谷田川、魚野川流域が被害を受け、また關越自動車道・上越新幹線建設による人口の増加が見込まれたことで信濃川水系の河川総合開発が見直され、魚野川流域に三國川(さぐりがわ)ダム(三國川)、破間川(あぶるまがわ)ダム(破間川)が、五十嵐川流域では笠堀ダム改良[62]のほか本流に大谷ダムが完成。刈谷田川には刈谷田川ダムが完成した。関川水系では農林省が土地改良事業の一環として本流に笹ヶ峰ダムを建設、完成後新潟県へ管理を移行させている。中越地方・上越地方を流れるその他の二級河川にも多目的ダムが建設され、佐渡地方でも羽越豪雨を機に國府川水系、久知川水系で多目的ダムが完成している。
新潟県最大の多目的ダムは高度では三國川ダム、総貯水容量では奧三面ダムが最大である。現在建設が行われているダムは奧胎內ダム(胎內川)と新保川ダム再開発(新保川)があるが、ダム事業見直し対象で再検証された結果事業は継続となった。中止したダム事業としては清津峽に建設予定であった新潟県最大規模の清津川ダム(清津川)[63]、電源開発が湯之谷揚水発電計畫を斷念したことで中止となった佐梨川ダム(佐梨川)[64]、赤芝発電所との水利権調整が付かず中止となった荒川第一ダム・荒川第二ダム(荒川)[65]など幾つかのダム計畫が存在する。
なお、新發田市にある內の倉ダムは北陸地方唯一の中空重力式コンクリートダムである。また妙見堰は國土交通省北陸地方整備局と東日本旅客鐵道が共同管理する珍しい形態をとっている。笹ヶ峰ダムは治水目的を持たない利水専用多目的ダムである。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 信濃川 | 破間川 | 破間川ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 93.5 | 15,800 | 新潟県 | 1986 | |
二級 | 桑谷川 | 綱子川 | 後谷ダム | 利水 | W・P | 重力 | 20.3 | 86 | 新潟県 | 1968 | |
二級 | 加治川 | 內の倉川 | 內の倉ダム | 補助 | F・A・W・P | 中空重力 | 82.5 | 24,800 | 新潟県 | 1972 | 農林省施工 |
一級 | 荒川 | 大石川 | 大石ダム | 特定 | F・P | 重力 | 87.0 | 22,800 | 國土交通省 | 1978 | |
一級 | 信濃川 | 五十嵐川 | 大谷ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 75.5 | 21,100 | 新潟県 | 1993 | |
二級 | 國府川 | 大野川 | 大野川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 47.0 | 1,390 | 新潟県 | 1979 | |
二級 | 胎內川 | 胎內川 | 奧胎內ダム | 補助 | F・P | 重力 | 82.0 | 10,000 | 新潟県 | 2013 | 工事中 |
二級 | 三面川 | 三面川 | 奧三面ダム | 補助 | F・N・P | アーチ | 116.0 | 125,500 | 新潟県 | 2001 | |
二級 | 柿崎川 | 柿崎川 | 柿崎川ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 54.0 | 5,000 | 新潟県 | 2003 | |
一級 | 信濃川 | 笠堀川 | 笠堀ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 74.5 | 15,400 | 新潟県 | 1964 | |
一級 | 信濃川 | 刈谷田川 | 刈谷田川ダム | 補助 | F・W・I・P | 重力 | 83.5 | 4,450 | 新潟県 | 1980 | |
二級 | 久知川 | 久知川 | 久知川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 51.0 | 1,660 | 新潟県 | 1985 | |
一級 | 信濃川 | 三國川 | 三國川ダム | 特定 | F・N・W・P | ロックフィル | 119.5 | 27,500 | 國土交通省 | 1993 | |
一級 | 関川 | 関川 | 笹ヶ峰ダム | 利水 | A・P | ロックフィル | 48.6 | 10,600 | 新潟県 | 1983 | 農林省施工 |
一級 | 関川 | 正善寺川 | 正善寺ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 47.0 | 4,600 | 新潟県 | 1984 | |
一級 | 信濃川 | 城川 | 城川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 21.7 | 297 | 新潟県 | 1996 | |
二級 | 國府川 | 新保川 | 新保川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 38.0 | 1,150 | 新潟県 | 未定 | 再開発中 |
一級 | 信濃川 | 曽根川 | 長福寺ダム | F・A | アース | 27.2 | 193 | 新潟県 | 1999 | ||
一級 | 阿賀野川 | 早出川 | 早出川ダム | 補助 | F・A・P | 重力 | 82.5 | 14,900 | 新潟県 | 1979 | |
一級 | 信濃川 | 和田川 | 広神ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 80.5 | 12,400 | 新潟県 | 2010 | |
一級 | 信濃川 | 小海川 | 松葉沢ダム | F・A | アース | 24.5 | 171 | 新潟県 | 2007 | ||
二級 | 三面川 | 三面川 | 三面ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 82.5 | 47,800 | 新潟県 | 1953 | |
一級 | 信濃川 | 信濃川 | 妙見堰 | N・W・P・ 國道17號の交通交通堵塞緩和 |
堰 | - | - | 國土交通省 東日本旅客鐵道 |
1990 |
富山県
編輯富山縣の河川開発は大正より淺野総一郎や高峰讓吉らによる水力発電事業が主であり、治水事業は常願寺川の砂防事業が行われていた程度であった。多目的ダム建設は富山県によって神通川支流の井田川に室牧ダムが1961年完成したのが最初であり、その後は神通川、莊川、小矢部川といった一級河川では支流に、上市川、白岩川、小川といった二級河川には本流に多目的ダムを建設している。富山県內の県営多目的ダムのほとんどは富山県土木局が管理[66]する補助多目的ダムであるが、刀利ダム(小矢部川)と支流の臼中ダム(打尾川)については富山県農業水産部耕地課が管理しており[67]、補助多目的ダムではない。一方建設省による特定多目的ダム事業は1969年8月の集中豪雨災害を契機に、黑部水壩を筆頭とした水力発電事業が著名でありながら治水事業が遅れていた黒部川に対して行われ、県內で最も新しいダムとして宇奈月ダムが宇奈月溫泉街の直上流に2000年完成している。富山県內の補助多目的ダムの幾つかは目的の一つに道路などの積雪を溶かすための用水を供給する消流雪用水目的を有している。
県內最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に境川ダム(境川)である。建設中のダムとしては國土交通省が利賀ダム(利賀川)を、富山県が舟川ダム(舟川)をそれぞれ施工しているが利賀ダムは民主黨政権のダム事業見直しにより事業進捗が流動化している。また日本初の恆久堆砂対策として關西電力管理の出し平ダムと宇奈月ダムで実施している連攜排砂について、下流の黒部川・富山灣漁業関係者との間で行政訴訟(黒部川ダム排砂被害訴訟)が現在係爭中である。中止したダム事業としては片貝川ダム(片貝川)[68]、湯道丸ダム(湯道丸川)[69]、黒川ダム(黒川)[70]などがある。なお莊川合口ダム(莊川)は國の登録有形文化財に登録されている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 小川 | 小川 | 朝日小川ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 84.0 | 5,280 | 富山県 | 1990 | |
一級 | 小矢部川 | 打尾川 | 臼中ダム | F・A | ロックフィル | 68.9 | 6,950 | 富山県 | 1993 | ||
一級 | 黒部川 | 黒部川 | 宇奈月ダム | 特定 | F・W・P | 重力 | 97.0 | 24,700 | 國土交通省 | 2000 | |
一級 | 黒部川 | 大谷川 | 大谷ダム | 補助 | F・N・S | ロックフィル | 29.5 | 325 | 富山県 | 1998 | |
二級 | 上市川 | 上市川 | 上市川ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 64.0 | 4,850 | 富山県 | 1964 | |
二級 | 上市川 | 上市川 | 上市川第二ダム | 補助 | F・N・P | ロックフィル | 67.0 | 7,800 | 富山県 | 1985 | |
一級 | 神通川 | 久婦須川 | 久婦須川ダム | 補助 | F・N・P・S | 重力 | 95.0 | 10,000 | 富山県 | 2002 | |
一級 | 神通川 | 熊野川 | 熊野川ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 89.0 | 9,100 | 富山県 | 1984 | |
一級 | 小矢部川 | 子撫川 | 子撫川ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 45.0 | 6,600 | 富山県 | 1978 | |
一級 | 莊川 | 境川 | 境川ダム | 補助 | F・A・W・I・P・S | 重力 | 115.0 | 59,900 | 富山県 | 1993 | |
一級 | 莊川 | 莊川 | 莊川合口ダム | 利水 | A・W・P | 重力 | 18.5 | 625 | 富山県 關西電力 |
1939 | 登録有形文化財 |
一級 | 小矢部川 | 山田川 | 城端ダム | 補助 | F・N・S | 重力 | 59.0 | 3,000 | 富山県 | 1992 | |
二級 | 白岩川 | 白岩川 | 白岩川ダム | 補助 | F・N・W | 複合 | 50.0 | 2,200 | 富山県 | 1974 | |
一級 | 小矢部川 | 小矢部川 | 刀利ダム | F・A・P | アーチ | 101.0 | 31,400 | 富山県 | 1966 | 農林省施工 | |
一級 | 莊川 | 利賀川 | 利賀ダム | 特定 | F・N・I | 重力 | 110.0 | 31,100 | 國土交通省 | 未定 | 事業見直し |
一級 | 莊川 | 利賀川 | 利賀川ダム | 補助 | F・P | 重力 | 37.0 | 2,700 | 富山県 | 1974 | |
二級 | 片貝川 | 布施川 | 布施川ダム | 補助 | F・N・S | ロックフィル | 58.5 | 1,350 | 富山県 | 1992 | |
二級 | 小川 | 舟川 | 舟川ダム | 補助 | F・N・S | 重力 | 49.8 | 600 | 富山県 | 2012 | 工事中 |
一級 | 神通川 | 井田川 | 室牧ダム | 補助 | F・N・P | アーチ | 80.5 | 17,000 | 富山県 | 1961 | |
一級 | 莊川 | 和田川 | 和田川ダム | 補助 | F・A・W・I・P | 重力 | 21.0 | 3,070 | 富山県 | 1967 |
石川県
編輯石川縣の多目的ダム事業は県営事業として推進され、県南部を流れる大聖寺川に建設された我谷ダムが最初である。続いて県都・金澤市を流れる犀川水系の総合開発が実施された。金沢市內には犀川と淺野川が流れているが水害が頻発し対策が迫られ、また人口増加に伴う上水道・電力需要が増大したことにより総合開発が企図されたが淺野川はダムを建設することが地質的に不可能であったことから犀川と支流の內川にダムを建設することになり、犀川ダム(犀川)、內川ダム・新內川ダム(內川)が建設された。この他能登半島を流れる小河川にも治水と上水道を目的に多目的ダムが建設されている。一方県內最大の手取川については石川県と電源開発、北陸電力が本流上流部にダム建設を計畫していたが、手取川が1966年に一級河川に指定されたのを契機に建設省が多目的ダムの建設を計畫。電源開発・石川県との共同事業として1979年県內唯一の國直轄ダム・手取川ダムを完成させた。
県內最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に手取川ダムであり、日本屈指の規模を有するダムの一つでもある。建設中の多目的ダムはない。中止したダム事業としては能登半島を流れる河川群に計畫されていた河內ダム(熊木川)[71]、伊久留川ダム(伊久留川)[72]、所司原ダム(子浦川)[73]があり、當初多目的ダムとして計畫されていた辰巳ダム(犀川)は穴あきタイプの治水専用ダムとして計畫変更されている。2006年(平成18年)に完成した九穀ダム(大聖寺川)は強い反対運動により完成まで36年を費やしており、日本の長期化ダム事業の一つに名を連ねている。
なお、手取川ダムは河川法第17條に基づく「兼用工作物」として國土交通省・電源開発・石川県が共同管理しているため、特定多目的ダムではない(詳細は多目的ダムの項目を參照のこと)。また大日川ダム(大日川)は県営の多目的ダムではあるが農業水産部が管理しており[74]、補助多目的ダムではない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 大野川 | 森下川 | 醫王ダム | F・A | ロックフィル | 58.8 | 3,188 | 石川県 | 2001 | ||
二級 | 金川 | 岩坂川 | 岩坂ダム | F・A | アース | 31.7 | 850 | 石川県 | 1984 | ||
二級 | 犀川 | 內川 | 內川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 81.0 | 9,500 | 石川県 | 1974 | |
二級 | 鵜飼川 | 鵜飼川 | 小屋ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 56.5 | 3,050 | 石川県 | 1992 | |
二級 | 町野川 | 町野川 | 北河內ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 47.0 | 2,860 | 石川県 | 2010 | |
二級 | 大聖寺川 | 大聖寺川 | 九穀ダム | 補助 | F・W・P | 重力 | 75.8 | 24,900 | 石川県 | 2005 | 水特法指定 |
二級 | 犀川 | 犀川 | 犀川ダム | 補助 | F・N・W・I・P | 重力 | 72.0 | 14,300 | 石川県 | 1965 | |
二級 | 犀川 | 內川 | 新內川ダム | 補助 | N・P | 重力 | 18.9 | 61 | 石川県 | 1984 | |
一級 | 手取川 | 大日川 | 大日川ダム | F・A・P | 重力 | 59.9 | 27,200 | 石川県 | 1967 | 農林省施工 | |
一級 | 手取川 | 手取川 | 手取川ダム | F・W・I・P | ロックフィル | 153.0 | 231,000 | 國土交通省 電源開発 石川県 |
1979 | 水特法9條指定 | |
二級 | 寺田川 | 寺田川 | 寺田川ダム | 利水 | A・W | ロックフィル | 26.7 | 460 | 石川県 | 2007 | |
二級 | 八ヶ川 | 八ヶ川 | 八ヶ川ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 52.0 | 3,130 | 石川県 | 1994 | |
二級 | 諸橋川 | 諸橋川 | 諸橋ダム | F・A | ロックフィル | 35.2 | 1,725 | 石川県 | 1986 | ||
二級 | 大聖寺川 | 大聖寺川 | 我谷ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 56.6 | 10,100 | 石川県 | 1964 |
福井県
編輯福井県の多目的ダム事業は、県內最大の河川である九頭竜川水系を中心に実施されている。その端緒となったのが支流・真名川に1957年完成した笹生川ダムである。続いて九頭竜川本流に開発の対象は移され、當初電源開発と北陸電力が競願していた奧越電源開発計畫の中心事業として計畫されていた九頭竜ダム(九頭竜川)が1959年の颱風薇拉 (1959年)と1961年の颱風南施 (1961年)による九頭竜川の水害を機に建設省による直轄事業として事業が拡大、1968年に完成した。しかし1965年(昭和40年)9月の奧越豪雨で笹生川ダムでは計畫高水流量を三倍近く上回る洪水を記録、ダムは治水機能を喪失し決壊の危機に瀕し直下流の西谷村中島集落は壊滅した[75]。この奧越豪雨を機に笹生川ダム再開発事業が実施され、ダム右岸にトンネル式洪水吐きが増設されたほか、建設省により笹生川ダム下流に真名川ダムが建設された。さらに老朽化した鳴鹿堰が洪水流下を阻害することが判明したことで新たに可動堰が計畫され、2003年に九頭竜川鳴鹿大堰(九頭竜川)として完成している。福井県でも支流の日野川に広野ダム(日野川)や桝谷ダム(桝谷川)を建設したのを始め、竹田川、浄土寺川、永平寺川などに多目的ダムを建設して治水対策を強化した。
2004年に発生した平成16年7月福井豪雨では福井市內が足羽川の氾濫によって死者を出す大水害を被ったが、真名川については真名川ダムと笹生川ダムの洪水調節機能によって浸水被害がほぼ皆無となり、ダムのない足羽川との浸水被害の差が顕著に現れている[76]。
県內最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に九頭竜ダムであり、日本屈指の規模を誇る。施工中のダムとしては九頭竜川に次ぐ一級河川である北川水系で河內川ダム(河內川)がある。河內川ダムはダム事業見直し対象となったものの事業者の福井県は事業継続を決定している[4]。中止した多目的ダム事業は存在しないが、足羽川ダム(部子川)については1983年(昭 和58年)の計畫當時は足羽川本流に計畫された多目的ダムであったが、反対運動の激化で1997年に一旦凍結された。しかし福井豪雨の甚大な被害を契機に 福井県・福井市・被害住民の要望もあって現在は穴あきタイプの治水専用ダムとして計畫されている。なお九頭竜ダムについては手取川ダム同様、河川法第17 條に基づく「兼用工作物」として國土交通省と電源開発が共同管理しており、特定多目的ダムには該當しない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 九頭竜川 | 永平寺川 | 永平寺ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 55.0 | 770 | 福井県 | 2001 | |
二級 | 佐分利川 | 大津呂川 | 大津呂ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 40.6 | 485 | 福井県 | 2012[77] | |
一級 | 九頭竜川 | 九頭竜川 | 九頭竜ダム | F・P | ロックフィル | 128.0 | 353,000 | 國土交通省 電源開発 |
1968 | ||
一級 | 九頭竜川 | 九頭竜川 | 九頭竜川鳴鹿大堰 | 特定 | F・N・W | 堰 | 5.7 | 667 | 國土交通省 | 2003 | |
一級 | 北川 | 河內川 | 河內川ダム | 補助 | F・N・A・W・I | 重力 | 77.5 | 8,800 | 福井県 | 2019[78] | 工事中 |
一級 | 九頭竜川 | 真名川 | 笹生川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 76.0 | 58,806 | 福井県 | 1957 | 1977年再開発 |
一級 | 九頭竜川 | 浄土寺川 | 浄土寺川ダム | 補助 | F・N・W・S | 重力 | 72.0 | 2,160 | 福井県 | 2008 | |
一級 | 九頭竜川 | 日野川 | 広野ダム | 補助 | F・N・I・P | 重力 | 63.0 | 11,300 | 福井県 | 1976 | |
一級 | 九頭竜川 | 日野川 | 二ッ屋分水堰 | F・N・A・W・I | 重力 | 24.7 | - | 福井県 | 2005 | 農林水産省施工 | |
一級 | 九頭竜川 | 桝谷川 | 桝谷ダム | F・A・W・I | ロックフィル | 100.4 | 25,000 | 福井県 | 2005 | 農林水産省施工 | |
一級 | 九頭竜川 | 真名川 | 真名川ダム | 特定 | F・N・P | アーチ | 127.5 | 115,000 | 國土交通省 | 1977 | |
一級 | 九頭竜川 | 竹田川 | 龍ヶ鼻ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 79.5 | 10,200 | 福井県 | 1988 |
山梨県
編輯山梨縣では甲府盆地の東西を笛吹川・釜無川の二大河川が流れ、盆地南部で合流して富士川となり、有史以來水害が多発していた。
山梨県では明治期に山林荒廃が起こり明治40年の大水害に代表される大規模な水害が多発しており、戦前から河川改修が課題となっていた。戦後の八岳山麓開拓や首都圏の臥城として人口が増加し上水道需要も急増し、こうした観點から戦後県政においては主に富士川水系での河川総合開発が検討され、1974年(昭和49年)富士川水系の主要な支流の一つである笛吹川に広瀬ダムが完成した。その後も笛吹川流域や塩川流域に多目的ダムが多數建設されている。一方県東部の相模川[79]流域では大月市を中心に人口が増加し治水安全度低下・上水道需要急増という狀況になったことから、支流の葛野川を開発することになり深城ダムが県內同水系では唯一の多目的ダムとして完成する。
県內最大の多目的ダムは高度では荒川ダム(荒川)、総貯水容量では広瀬ダムがそれぞれ最大となる。建設中の多目的ダムは存在しない。中止したダム事業としては富士川水系では早川の角瀬ダムが1955年に費用対効果が乏しいことを理由に中止した[80]のを皮切りに、塩川本流に計畫されていたアーチダムである大渡ダム[81]、笛吹川支流蘆川に計畫されていた蘆川ダム[82]が、相模川水系では笹子ダム(奧野沢川)[83]がある。なお、山梨県內には國土交通省直轄ダムは存在しない[84]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 富士川 | 荒川 | 荒川ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 88.0 | 10,800 | 山梨県 | 1985 | 水特法指定 |
一級 | 富士川 | 琴川 | 琴川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 64.0 | 5,150 | 山梨県 | 2007 | |
一級 | 富士川 | 塩川 | 塩川ダム | 補助 | F・N・A・W | 重力 | 79.0 | 11,500 | 山梨県 | 1997 | 水特法指定 |
一級 | 富士川 | 大門川 | 大門ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 65.5 | 3,660 | 山梨県 | 1987 | |
一級 | 富士川 | 笛吹川 | 広瀬ダム | 補助 | F・A・W・P | ロックフィル | 75.0 | 14,300 | 山梨県 | 1974 | |
一級 | 相模川 | 葛野川 | 深城ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 87.0 | 6,440 | 山梨県 | 2004 |
長野県
編輯北に信濃川(千曲川)水系、南に天龍川水系、西に木曾川水系を抱える長野縣では、天竜川支流の三峰川において最初の多目的ダム事業が行われた。1941年(昭和16年)より河水統制事業としてダム計畫は立てられたが、戦後當時の長野県省長であった林虎雄は1949年、キティ台風による水害後TVAにならい河川総合開発を実施するため長野県庁に総合開発局を設置。三峰川に二箇所の多目的ダムを計畫した[85]。これが美和ダムと高遠ダムであるが美和ダムは建設省に事業が移管され、1959年に特定多目的ダム法適用第一號として完成する。しかし天竜川は1961年の昭和36年6月梅雨前線豪雨により飯田市など流域が致命的被害を受けたことから、水害の最大要因に挙げられた小渋川の河川総合開発が計畫され、1969年に小渋ダムが完成する。長野県も松川、片桐松川、沢川に補助多目的ダムを建設し伊那盆地の治水と利水に充てた。一方信濃川水系では本流にダム建設の適地がなく、長野県內最大の支流である犀川も上流から下流まで発電専用ダムが連綿と建設されていたことから、主にその他の信濃川支流及び犀川の二次支流に多目的ダムが建設された。最初に開発されたのが県都・長野市を流れる裾花川で、治水と上水道、そして不安定な電力供給解消を目的に1969年裾花ダムが完成。以後奈良井川、內村川、神川などに多目的ダムが多數建設された。また1969年8月豪雨災害を機に建設省は1974年信濃川水系工事実施基本計畫を改定し、高瀬川に大町ダムを建設する。木曽川水系では木曽川水系水資源開発基本計畫の一環として水資源機構[86]が本流源流部に味噌川ダムを、支流王滝川に牧尾ダムを建設。愛知用水の水源の一つとして名古屋市の水がめになっている。
長野県最大の多目的ダムは高度では味噌川ダム、総貯水容量では牧尾ダムがそれぞれ最大である。長野県のダム事業では當時の田中康夫知事が在任中に発表した脫ダム宣言による下諏訪ダム(砥川)など県営7ダム事業の中止が有名で、日本のダム事業の在り方に多大な影響を與えたが2006年の1941年で長野県內が被害を受け、直後の知事選で落選。後任の村井仁知事が脫ダム宣言を撤回し角間(角間川)、黒沢(黒沢川)、駒沢(駒沢川)のダム計畫を一旦復活させたが2009年ダム事業の見直し対象にされ、最終的に中止となった。この他大仏ダム(薄川)[87]の中止がある。國直轄では信濃川本流に1982年より計畫されていた千曲川上流ダムがあり、高度80メートル、総貯水容量8,000萬立方メートルと完成すれば長野県最大の多目的ダムになる計畫であったが、水沒予定地の南牧村と川上村の反対で2002年に中止された[88]。また戸草ダム(三峰川)も一旦中止となったが、このダムでは伊那市など流域市町村が中止方針に反発[89]し中止は撤回されたものの、再度見直し対象になっている。
なお深刻な堆砂が問題になっている美和ダムと小渋ダム、松川ダム(松川)については堆砂防除を目的としたダム再開発事業が行われており、ダム湖上流よりバイパストンネルによる下流への排砂事業が実施・施工されている[90][91][92]。また牧尾ダムでは1984年の長野県西部地震で大量に流入した土砂除去を目的とした再開発事業が行われた[93]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 信濃川 | 內村川 | 內村ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 51.3 | 2,000 | 長野県 | 1985 | |
一級 | 信濃川 | 宮川 | 大沼ダム | 利水 | A・W | アース | 17.0 | 80 | 長野県 | 1964 | |
一級 | 信濃川 | 高瀬川 | 大町ダム | 特定 | F・N・W・P | 重力 | 107.0 | 33,900 | 國土交通省 | 1985 | |
一級 | 信濃川 | 裾花川 | 奧裾花ダム | 補助 | F・W・P | 重力 | 59.0 | 5,400 | 長野県 | 1979 | |
一級 | 信濃川 | 小仁熊川 | 小仁熊ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 36.5 | 1,930 | 長野県 | 2003 | |
一級 | 天龍川 | 片桐松川 | 片桐ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 59.2 | 1,840 | 長野県 | 1989 | |
一級 | 信濃川 | 金原川 | 金原ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 36.5 | 388 | 長野県 | 1999 | |
一級 | 信濃川 | 宮川 | 北山ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 43.0 | 213 | 長野県 | 1999 | |
一級 | 天竜川 | 小渋川 | 小渋ダム | 特定 | F・N・A・P | アーチ | 105.0 | 58,000 | 國土交通省 | 1969 | 再開発中 |
一級 | 信濃川 | 産川 | 沢山池 | F・A | アース | 25.5 | 1,082 | 土地改良區 | 1936 | ||
一級 | 信濃川 | 神川 | 菅平ダム | 利水 | A・W・P | 重力 | 41.8 | 3,451 | 長野県 | 1961 | |
一級 | 信濃川 | 裾花川 | 裾花ダム | 補助 | F・W・P | アーチ | 83.0 | 15,000 | 長野県 | 1969 | |
一級 | 天竜川 | 三峰川 | 高遠ダム | 利水 | A・P | 重力 | 30.9 | 2,310 | 長野県 | 1958 | |
一級 | 天竜川 | 三峰川 | 戸草ダム | 特定 | F・N・I・P | 重力 | 140.0 | 61,000 | 國土交通省 | 未定 | 事業見直し |
一級 | 信濃川 | 灰野川 | 豊丘ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 81.0 | 2,580 | 長野県 | 1994 | |
一級 | 信濃川 | 奈良井川 | 奈良井ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 60.0 | 8,000 | 長野県 | 1982 | |
一級 | 木曾川 | 王滝川 | 牧尾ダム | 水機構法 | A・W・I・P | ロックフィル | 105.0 | 75,000 | 水資源機構 | 1961 | 2006年再開発 |
一級 | 天竜川 | 松川 | 松川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 84.3 | 7,400 | 長野県 | 1974 | 再開発中 |
一級 | 信濃川 | 水上沢川 | 水上ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 38.0 | 276 | 長野県 | 2000 | |
一級 | 木曽川 | 木曽川 | 味噌川ダム | 水機構法 | F・N・W・I・P | ロックフィル | 140.0 | 61,000 | 水資源機構 | 1996 | |
一級 | 天竜川 | 沢川 | 箕輪ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 72.0 | 9,500 | 長野県 | 1992 | |
一級 | 天竜川 | 三峰川 | 美和ダム | 特定 | F・N・I・P | 重力 | 69.1 | 34,300 | 國土交通省 | 1959 | 2005年再開発 |
一級 | 信濃川 | 裾花川 | 湯の瀬ダム | 利水 | W・P | 重力 | 18.0 | 330 | 長野県 | 1969 | |
一級 | 信濃川 | 餘地川 | 餘地ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 42.0 | 523 | 長野県 | 2003 |
岐阜県
編輯木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)を抱える岐阜縣では、輪中や寶暦治水など度重なる治水事業が実施されたが洪水被害は減ることがなかった。他方豊富な水量は福澤桃介や松永安左エ門らにより水力発電事業として開発され、大井ダム(木曽川)など多くの水力発電所・発電用ダムが建設されたが河川総合開発は戦後になって実施された。1951年の國土総合開発法により木曽川水系は木曽特定地域総合開発計畫の対象地域に指定され、木曽川、揖斐川、長良川、飛騨川などに多目的ダムを建設する計畫が立てられた[94]。その中で最初に着手されたのが丸山ダム(木曽川)であり、日本発送電が施工していた発電用ダムに洪水調節目的を付加し1955年に完成、揖斐川本流にも橫山ダムが1964年完成した。しかし1959年の伊勢灣台風で流域は大きな被害を受け、さらに名古屋市を中心とした中京圈は中京工業地帶の拡大、東海道新幹線・東名高速公路・名神高速公路の完成で人口が急増。治水安全度低下と上水道需要のひっ迫を招いた。これに対し木曽川水系水資源開発基本計畫が立てられ、徳山ダム(揖斐川)、岩屋ダム(馬瀬川)、阿木川ダム(阿木川)などが建設されて愛知用水や木曽川用水の水源として中京圏の水需要に貢獻している。一方莊內川水系では本流にダム建設の適地が存在しないため、瑞浪市で莊內川に合流する小里川に同水系唯一の多目的ダムである小里川ダムが2003年完成する。県営事業としては木曽川水系の小河川のほか、発電用ダムが多數建設されているため多目的ダムが建設されていない飛驒國の河川に多目的ダムを建設している。
県內最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に徳山ダムであり、多目的ダムとしては日本最大であるが建設に伴い舊徳山村全村が水沒。強固な反対運動が長年続いた。建設中のダムとしては日本最大のダムかさ上げ事業となる新丸山ダム(木 曽川)が國土交通省によって進められており、完成すれば丸山ダムは水沒する。このほか水無瀬ダム(水無瀬川)が県営事業として施工中であるが、ダム事業見 直しにより事業進捗が不透明になっている。中止したダム事業では犬山ダム(木曽川)・久田見ダム(飛騨川)・洞戸及び板取ダム(板取川)・黒津ダム(根尾川)・一之瀬ダム(牧田川)など木曽特定地域総合開発計畫で計畫されたダム群[95]のほか、矢作川水系上村川に計畫されていた上矢作ダムがある[96]。
なお木曽川本流の兼山ダムと落合ダムは関西電力が管理する発電用ダムだが、それぞれ愛知用水と東濃用水の取水元として利用され、取水された水は名古屋市、多治見市などの上水道に利用されている。また、御母衣水壩(莊川)も発電用ダムであるが建設省河川局長通達・建河発第一七八號に基づく第一類ダムとして洪水調節機能を有している。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 木曽川 | 阿木川 | 阿木川ダム | 水機構法 | F・N・W・I | ロックフィル | 101.5 | 48,000 | 水資源機構 | 1990 | 建設省より移管 水特法指定 |
一級 | 木曽川 | 岩村川 | 岩村ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 35.8 | 180 | 岐阜県 | 1997 | |
一級 | 木曽川 | 馬瀬川 | 岩屋ダム | 水機構法 | F・A・W・I・P | ロックフィル | 127.5 | 173,500 | 水資源機構 | 1976 | 建設省より移管 |
一級 | 木曽川 | 東谷川 | 打上調整池 | 水機構法 | A・W・I | アース | 29.7 | 2,260 | 水資源機構 | 1987 | |
一級 | 木曽川 | 大ヶ洞川 | 大ヶ洞ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 42.5 | 450 | 岐阜県 | 1998 | |
一級 | 莊內川 | 小里川 | 小里川ダム | 特定 | F・N・P | 重力 | 114.0 | 15,100 | 國土交通省 | 2003 | |
一級 | 木曽川 | 木曽川用水 | 上飯田調整池 | 水機構法 | A・W | アース | 16.1 | 70 | 水資源機構 | 1975 | |
一級 | 木曽川 | 木曽川 | 新丸山ダム | 特定 | F・N・P | 重力 | 122.5 | 146,350 | 國土交通省 | 未定 | 水特法指定 事業見直し |
一級 | 木曽川 | 揖斐川 | 徳山ダム | 水機構法 | F・N・W・I・P | ロックフィル | 161.0 | 660,000 | 水資源機構 | 2008 | 日本最大 建設省より移管 水特法9條指定 |
一級 | 木曽川 | 中野方川 | 中野方ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 41.7 | 411 | 岐阜県 | 2005 | |
一級 | 神通川 | 荒城川 | 丹生川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 69.5 | 6,200 | 岐阜県 | 2012 | |
一級 | 木曽川 | 可児川 | 松野ダム | 水機構法 | F・A | アース | 26.7 | 3,313 | 水資源機構 岐阜県 |
1961 | |
一級 | 木曽川 | 木曽川 | 丸山ダム | F・P | 重力 | 98.2 | 79,520 | 國土交通省 関西電力 |
1955 | 再開発中 | |
一級 | 木曽川 | 水無瀬川 | 水無瀬ダム | 補助 | F・W | 重力 | 43.5 | 1,042 | 岐阜県 | 2017 | 事業見直し |
一級 | 木曽川 | 揖斐川 | 橫山ダム | 特定 | F・P | 中空重力 | 80.8 | 43,000 | 國土交通省 | 1964 | 2010年再開発 |
靜岡県
編輯靜岡縣には東から狩野川、富士川、安倍川、大井川、菊川、天竜川と6本の一級河川が流れる。河川開発は大井川と天竜川の水力発電事業が先行し、戦後大井川用水の建設などが進められたが基本的には水力発電事業が継続されていた。河川総合開発が開始されたのは1951年、國土総合開発法施行に伴い天竜川流域が天竜奧三河特定地域総合開発計畫の指定を受けたことに始まる。水力発電と共に三方原台地など遠州南部の台地灌漑、及び豊川用水建設に伴う水資源開発に天竜川を利用する計畫が立てられ[97]、電源開発が建設したUser:JuneAugust/佐久間水壩・秋葉ダム・船明ダム(天竜川)が水源として[98]濱松市などの上水道・工業用水道・灌漑用水に利用された。一方大井川では1972年の七夕豪雨を機に治水を主目的とした多目的ダムの建設が計畫され、榛原郡本川根町[99]に長島ダムが大井川唯一の多目的ダムとして建設省の手で完成する。一方県內の二級河川では颱風艾達 (1958年)で甚大な被害を受けた伊東市を流れる伊東大川に奧野ダムが伊豆半島初のダムとして完成し、続いて南伊豆町の鈴野川に青野大師ダムが完成。県中央部を流れる太田川には太田川ダムが建設され、2009年に県內最新のダムとして完成。県西部には都田川ダム(都田川)が建設されている。
県內最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に長島ダムで ある。建設中のダムは県営の布沢川ダム(布沢川)のみであるが、ダム事業見直しで今後の狀況は不透明である。佐久間ダムについては発電専用ではあるものの 天竜川の治水の要として建設省河川局長通達・建河発第一七八號により第一類ダムに指定され、治水にも責務を持つほか豊川用水の水源にも利用され事実上多目 的ダムとして機能しているが、2004年より洪水調節目的の追加と堆砂防除に伴う遠州灘沿岸の海岸侵食防止を目的とした再開発事業が國土交通省中部地方整備局により計畫され[100]、多目的ダム化される予定である。この事業は前原誠司國土交通大臣によるダム事業見直し対象からも除外されている。
なお大井川に建設されている畑薙第一ダムや井川ダムは発電専用であるが、建設省河川局長通達により第一類ダムに指定され治水の責務を有するほか、県都・靜岡市などの水源として重要な役割を擔っている。殘る一級河川である安倍川、狩野川、菊川には多目的ダムが本流・支流の何れにも全く建設されていない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 青野川 | 鈴野川 | 青野大師ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 39.5 | 295 | 靜岡県 | 2005 | |
一級 | 天竜川 | 天竜川 | 秋葉ダム | 利水 | A・W・I・P | 重力 | 89.0 | 39,703 | 電源開発 | 1958 | |
二級 | 太田川 | 太田川 | 太田川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 70.0 | 11,600 | 靜岡県 | 2009 | |
二級 | 伊東大川 | 伊東大川 | 奧野ダム | 補助 | F・N・W | ロックフィル | 63.0 | 5,100 | 靜岡県 | 1989 | |
一級 | 天竜川 | 天竜川 | User:JuneAugust/佐久間水壩 | F・P | 重力 | 155.5 | 326,848 | 電源開発 國土交通省 |
1956 | 再開発中 | |
一級 | 大井川 | 大井川 | 長島ダム | 特定 | F・N・A・W | 重力 | 109.0 | 78,000 | 國土交通省 | 2001 | 水特法指定 |
二級 | 興津川 | 布沢川 | 布沢川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 59.5 | 816 | 靜岡県 | 2017 | 事業見直し |
一級 | 天竜川 | 天竜川 | 船明ダム | 利水 | A・W・I・P | 重力 | 24.5 | 14,578 | 電源開発 | 1976 | |
二級 | 都田川 | 都田川 | 都田川ダム | F・A・W | ロックフィル | 55.0 | 12,020 | 靜岡県 | 1984 |
愛知県
編輯愛知縣の多目的ダム建設は主に県東部、三河地方の河川で実施されている。端緒は天竜奧三河特定地域総合開発計畫の主要事業として豊川用水が建設されたことに始まる。天竜川の佐久間ダムより導水した水を豊川水系を経て豐橋市や渥美半島へ送水する豊川用水の水源として宇連ダム(宇連川)が県內最初の多目的ダムとして建設されたのを皮切りに大野頭首工(宇連川)、大島ダム(大島川)などが建設された。続く矢作川水系では昭和36年6月梅雨前線豪雨による水害や豐田汽車などの工場建設、それに伴う豐田市など流域人口の増加により河川総合開発が建設省により計畫され、最上流部に矢作ダムが建設されたほか支流にも小規模な多目的ダムが県営事業として建設された。天竜川水系では電源開発が発電用として計畫していた新豊根ダムが、愛知県による治水事業を加えた多目的ダムとして規模が拡大され、さらに建設省に事業移管されて1972年完成した。一方愛知用水関連では愛知池(前川)が調整池として建設されたほか、1633年に建設された入鹿池が治水機能を追加する再開発事業が行われた。
愛知県最大のダムは高度では新豊根ダム、総貯水容量では矢作ダムがそれぞれ最大であるが、現在國土交通省が施工中の設楽ダムが完成すると総貯水容量では同ダムが最大となる。しかし設楽ダムは民主黨政権によるダム事業見直しの対象となり、今後の狀況は不透明である[101]。中止したダム事業としては矢作川河口に建設が予定されていた矢作川河口堰[102]がある。なお新豊根ダムは當初愛知県と電源開発の共同事業であり、特定多目的ダム法の適用を受けていないため、國土交通省管理ではあるが特定多目的ダムではない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 境川 | 前川 | 愛知池 | 水機構法 | A・W・I・P | アース | 31.0 | 9,000 | 水資源機構 | 1961 | |
一級 | 矢作川 | 雨山川 | 雨山ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 21.5 | 251 | 愛知県 | 1995 | |
一級 | 莊內川 | 五條川 | 入鹿池 | F・A | ロックフィル | 25.7 | 18,523 | 愛知県 | 1633 | 1991年再開発 | |
一級 | 豊川 | 宇連川 | 宇連ダム | 水機構法 | A・W・I | 重力 | 65.0 | 29,110 | 水資源機構 | 1958 | 農林省施工 |
一級 | 豊川 | 大島川 | 大島ダム | 水機構法 | A・W | 重力 | 69.4 | 12,300 | 水資源機構 | 2003 | 農林水産省施工 |
一級 | 豊川 | 宇連川 | 大野頭首工 | 水機構法 | A・W・I | 重力 | 26.0 | 1,096 | 水資源機構 | 1961 | |
一級 | 豊川 | 豊川用水 | 大原調整池 | 利水 | A・W | ロックフィル | 47.9 | 2,020 | 農林水産省 | 1993 | |
二級 | 西田川 | 山林川 | 蒲郡調整池 | 利水 | A・W | ロックフィル | 43.2 | 611 | 農林水産省 | 1996 | |
一級 | 矢作川 | 木瀬川 | 木瀬ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 33.0 | 644 | 愛知県 | 1999 | |
一級 | 木曽川 | 木曽川 | 木曽川大堰 | 水機構法 | A・W・I | 堰 | - | - | 水資源機構 | 1974 | |
一級 | 豊川 | 豊川用水 | 駒場調整池 | 水機構法 | A・W・I | アース | 24.6 | 900 | 水資源機構 | 1968 | |
一級 | 豊川 | 豊川 | 設楽ダム | 特定 | F・N・A・W | 重力 | 129.0 | 98,000 | 國土交通省 | 未定 | 事業見直し |
一級 | 天竜川 | 大入川 | 新豊根ダム | F・P | アーチ | 116.5 | 53,500 | 國土交通省 電源開発 |
1972 | 愛知県より移管 | |
一級 | 豊川 | 豊川用水 | 萬場調整池 | 利水 | A・W・I | ロックフィル | 28.6 | 5,390 | 農林水産省 | 1994 | 水特法指定 |
一級 | 矢作川 | 矢作川 | 矢作ダム | 特定 | F・N・A・W・I・P | アーチ | 100.0 | 80,000 | 國土交通省 | 1970 |
近畿地方
編輯三重県
編輯三重縣の多目的ダム事業は、県南部を流れる宮川より始まった。宮川の治水と県営水力発電を目的に最上流部に宮川ダムが1957年完成したのが最初である。宮川ダム下流には1967年三瀬谷ダムが完成し、宮川水系は一大電源地帯となった。1959年の伊勢灣台風では三重県內の河川はほぼ全て氾濫し、流域に被害を與えたが宮川流域だけは宮川ダムの洪水調節によって河口の高潮による被害を除いて浸水被害がほぼ皆無であった[103]。このことからダムによる治水が再認識され、雲出川水系に君ヶ野ダム(八手俁川)、櫛田川水系に蓮ダム(蓮川)が建設された。蓮ダムは松阪市や伊勢市、鳥羽市など県南部の水がめであるが、離島である神島の水源でもあり、水洗廁所普及などに役立っている。一方県北部では木曽特定地域総合開発計畫の一環で建設された三重用水の水源として中里ダム(砂子谷川)など4箇所のダムが建設され、それらを連結して安定した水供給を図ることで四日市市、鈴鹿市などの農業用水、上水道や工業用水道供給に資している。伊賀地方では淀川水系屈指の規模を有する支流・木津川流域の最大支流である名張川の総合開発が実施され、三重県內では本流に比奈知ダム、支流の青蓮寺川には青蓮寺ダムが建設され、大阪府や兵庫縣の水がめになっている。
三重県最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に宮川ダムであり、1957年の完成以來現在まで記録は破られていない。建設中のダムは木津川支流の前深瀬川に水資源機構が建設している川上ダムのみであるが、民主黨のダム事業見直しの対象になり三重県、伊賀市そして三重県選出の中井洽國家公安委員會委員長が反発。中井國家公安委員長は前原誠司國土交通大臣に直接抗議している[104]。また長良川河口堰(長良川)は公共事業と環境問題の整合性を世に問い、全國的にも話題となった。中止したダム事業としては伊勢路川ダム(伊勢路川)[105]などがある。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 鈴鹿川 | 椎山川 | 加佐登調整池 | 水機構法 | A・W・I | アース | 28.7 | 3,047 | 水資源機構 | 1982 | |
一級 | 淀川 | 前深瀬川 | 川上ダム | 水機構法 | F・N・W・P | 重力 | 91.0 | 33,000 | 水資源機構 | 2015 | 水特法指定 事業見直し |
一級 | 雲出川 | 八手俁川 | 君ヶ野ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 73.0 | 23,300 | 三重県 | 1971 | |
二級 | 三滝川 | 赤川 | 菰野調整池 | 水機構法 | A・W・I | アース | 28.4 | 1,650 | 水資源機構 | 1989 | |
一級 | 淀川 | 青蓮寺川 | 青蓮寺ダム | 水機構法 | F・N・A・W・P | アーチ | 82.0 | 27,200 | 水資源機構 | 1970 | |
一級 | 淀川 | 滝川 | 滝川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 29.8 | 282 | 三重県 | 1999 | |
二級 | 員弁川 | 砂子谷川 | 中里ダム | 水機構法 | A・W・I | アース | 46.0 | 16,400 | 水資源機構 | 1976 | |
一級 | 木曽川 | 長良川 | 長良川河口堰 | 水機構法 | F・W・I | 堰 | - | 36,700 | 水資源機構 | 1994 | |
一級 | 櫛田川 | 蓮川 | 蓮ダム | 特定 | F・N・W・P | 重力 | 78.0 | 32,600 | 國土交通省 | 1991 | 水特法指定 |
一級 | 淀川 | 名張川 | 比奈知ダム | 水機構法 | F・N・W・P | 重力 | 70.5 | 20,800 | 水資源機構 | 1998 | |
一級 | 宮川 | 宮川 | 三瀬谷ダム | 利水 | I・P | 重力 | 39.0 | 13,101 | 三重県 | 1966 | |
一級 | 宮川 | 宮川 | 宮川ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 88.5 | 70,500 | 三重県 | 1956 |
滋賀県
編輯滋賀縣の河川開発は、琵琶湖を抜きに語れない。淀川水系全流域面積の半分以上53百分比を占める琵琶湖及び流入河川の利水は明治時代の琵琶湖疏水に遡り、治水は瀬田川洗堰(淀川)建設と瀬田川浚渫より始まる。戦後爆発的に増大する近畿地方の人口に対処すべく、1962年8月水資源開発促進法による水資源開発水系に淀川水系は利根川水系と共に指定され、琵琶湖の総合開発事業が本格化する。1972年、琵琶湖総合開発特別措置法が制定され琵琶湖の治水と利水、及び流入河川の河川総合開発事業が計畫された[106]。これに伴い計畫・建設されたのが國直轄では丹生ダム(高時川)や大戸川ダム(大戸川)、県営では青土ダム(野洲川)がある。また、近江盆地は近畿地方有數の穀倉地帯であるが河川は懸河で水量も少なく、乾旱による被害は多く水爭いが多発していた。こうした用水供給を解決するため農林省は永源寺ダム(愛知川)や犬上ダム(犬上川)などの利水専用多目的ダムを建設、灌漑用水を安定供給するに至った。琵琶湖は河川法・水資源開発促進法により霞ヶ浦と同様「湖沼水位調節施設」とされ、多目的ダムの扱いを受ける。
滋賀県最大の多目的ダムは琵琶湖を除外すれば高度・総貯水容量共に永源寺ダムであるが、建設中の丹生ダムが完成すれば第一位となる。しかし嘉田由紀子滋賀県知事の登場により滋賀県內のダム事業は國営・県営問わず凍結する方針を公約として掲げており、大津市や彥根市、長濱市など自治體からの反発を招いているものの、自由民主黨 (日本)政権・民主黨政権共に丹生ダムについては建設凍結の方向に動いており[107]、多目的ダムから治水ダムへ変更された大戸川ダム[108]と共に今後の動向が注目されている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 淀川 | 犬上川 | 犬上川ダム | 利水 | A・P | 重力 | 45.0 | 3,890 | 滋賀県 | 1946 | |
一級 | 淀川 | 愛知川 | 永源寺ダム | 利水 | A・P | 複合 | 73.5 | 22,741 | 滋賀県 | 1972 | 農林省施工 |
一級 | 淀川 | 野洲川 | 青土ダム | 補助 | F・N・W・I | ロックフィル | 43.5 | 7,300 | 滋賀県 | 1987 | |
一級 | 淀川 | 高時川 | 丹生ダム | 水機構法 | F・N・W | ロックフィル | 145.0 | 150,000 | 水資源機構 | 未定 | 建設省より移管 水特法指定 事業見直し |
一級 | 淀川 | 淀川 | 琵琶湖 | 水機構法 | F・W・I | 堰 | - | 2,700,000 | 水資源機構 | 1991 | 瀬田川洗堰 |
京都府
編輯京都府は北部を由良川、南部を淀川が流れるが、特に淀川の治水・利水が重要であった。淀川本流(宇治川)に桂川と木津川、鴨川が合流する県南部は古くより水害常襲地帯であり、白河法皇をして延曆寺の僧兵、骰子賭博と共に鴨川の洪水を悩みに挙げているほどであった。淀川水系の治水が本格的に検討されたのは1953年の台風13號による淀川の大洪水であり、これに対応すべく建設省は淀川水系改修基本計畫を策定。淀川本流と木津川支流の名張川に多目的ダムを建設する計畫を立てた。これが天ヶ瀬ダム(淀川)と高山ダム(名張川)である。さらに伊勢灣台風の被害を機に桂川の河川開発が計畫され、京都市や大阪市など淀川流域の人口増加に伴い水資源開発も急務となったことから1962年淀川水系は水資源開発水系に指定。淀川水系水資源開発基本計畫策定に伴い桂川本流に多目的ダムが計畫された。これが日吉ダムである。現在天ヶ瀬・高山・日吉の三ダムは淀川の治水及び関西圏の水がめとして重要な位置を占めている。また天ヶ瀬ダムは喜撰山ダム(寒谷川)との間で抽水蓄能電站を行い、関西地方の電力需要にも資している。一方由良川では戦前より由良川の治水と舞鶴海軍工廠への電力供給を目的とした多目的ダム建設が計畫されていたが太平洋戰爭の激化により中斷。戦後相次ぐ水害を受け再度ダム建設が実施された。これが県下初の多目的ダム・大野ダムであり、反対運動は強かったが當時の蜷川虎三京都府知事が強力に事業を推進、反対派を説得する[109]などして1961年に完成する。建設省が施工したこのダムは完成後京都府に管理が移管されている。
京都府最大の多目的ダムは高度では天ヶ瀬ダム、総貯水容量では日吉ダムがそれぞれ最大であり、日吉ダムは事業者と水沒予定地、周辺市町村間で計畫的な周辺整備を行った結果京都府有數の行楽地に成長している[110]。 建設中のダムとしては國土交通省が天ヶ瀬ダムにバイパストンネル洪水吐きを建設してダム機能を強化する天ヶ瀬ダム再開発事業、京都府が由良川水系の畑川に 建設予定の畑川ダムが存在するが、前原誠司國土交通大臣のお膝元である京都ではダム事業見直し対象がない。中止したダム事業としては鴨川ダム(鴨川)[111]、南丹ダム(園部川)[112]がある。なお、天ヶ瀬ダム建設により大正時代に建設された関西電力志津川ダムが水沒、日吉ダム建設に伴い関西電力世木ダムが半分以上水沒している[113]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 淀川 | 淀川 | 天ヶ瀬ダム | 特定 | F・W・P | アーチ | 73.0 | 26,280 | 國土交通省 | 1964 | 再開発中 |
一級 | 由良川 | 由良川 | 大野ダム | F・P | 重力 | 61.4 | 28,550 | 京都府 | 1960 | 建設省施工 | |
一級 | 淀川 | 名張川 | 高山ダム | 水機構法 | F・N・W・P | 重力アーチ | 67.0 | 56,800 | 水資源機構 | 1968 | 建設省より移管 |
一級 | 由良川 | 畑川 | 畑川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 34.0 | 1,960 | 京都府 | 未定 | 工事中 |
一級 | 淀川 | 桂川 | 日吉ダム | 水機構法 | F・N・W | 重力 | 67.4 | 66,000 | 水資源機構 | 1997 | 水特法9條指定 |
大阪府
編輯大阪府は戦後人口が爆発的に増加したことで住宅地が急増し堤防建設や河道拡張に着手しづらい狀況下であったが、1967年に府北部を襲った北摂豪雨による被害を機に多目的ダムによる河川開発を検討した。當時の黒田了一大阪府知事は淀川水系神崎川の二次支流である安威川と箕面川にダムを建設して治水を強化する方針を立てた。箕面川は治水ダムの建設(箕面川ダム)であったが安威川については多目的ダムとして建設し治水のほか大阪府北部の上水道供給を行う方針とし、これにより安威川ダムが計畫された。一方府南部では大和川水系の灌漑用水補給と農地防災を強化するため支流の石川に滝畑ダムを建設し、616年に完成した日本最古のダム・狹山池(西除川)に治水機能を付加する再開発事業を計畫、2001年に完成させた。また二級河川である大川に逢帰ダムを建設する。一方建設省は淀川本流に淀川大堰を1983年完成させるが、これは直下流に建設されていた長柄可動堰を撤去する代わりに淀川大堰を建設して機能を強化。さらに水質汚濁の著しい大阪市內の道頓堀などに舊淀川経由で河川維持放流を行い水質改善を図る。
大阪府最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に滝畑ダムである。當初多目的ダムとして計畫されていた安威川ダムは水需要減少に伴い規模を縮小、工期も延長したが橋下徹大阪府知事(當時)は安威川ダムのうち上水道事業からの撤退を決定しており、今後の事業継続が焦點となっていたが最終的に2012年に治水ダムへ変更した上で事業継続となっている[114]。また淀川大堰建設に伴う湛水域拡大により長鰭鱊の生息數が減少する問題が発生している。中止したダム事業としては建設省が豬名川流域の治水及び上水道供給の強化、そして水質汚濁が深刻な豬名川の水質改善を目的とした余野川ダム(余野川)[115]がある。なお滝畑ダムは大阪府環境農林水産部が管理しており、補助多目的ダムではない[116]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 大川 | 大川 | 逢帰ダム | F・A・W | 重力 | 33.2 | 1,024 | 大阪府 | 1967 | ||
一級 | 大和川 | 石川 | 滝畑ダム | F・A・W | 重力 | 62.0 | 9,340 | 大阪府 | 1981 | 水特法指定 | |
一級 | 淀川 | 淀川 | 淀川大堰 | N・W・I | 堰 | - | - | 國土交通省 水資源機構 |
1983 |
兵庫県
編輯兵庫縣には大小様々な河川が南北を流れるが、明治時代より布引五本松ダム(生田川)などの上水道専用ダムが建設され、神戶市を中心にコンクリートダムが比較的早期より建設されていたが、河川総合開発も戦前より計畫されていた。內務省は揖保川と豬名川に多目的ダムを建設する構想を立てていた[117]が、太平洋戦爭で中止となった。戦後揖保川での総合開発が再開され、支流引原川に引原ダムが兵庫県初の多目的ダムとして1957年完成する。高度経済成長以後神戸市を中心とした播磨灘沿岸都市の人口増加と沿岸工業地帯の拡充は水道需要のひっ迫を招き、さらに農地拡大による農業用水需要も増大していった。これに対し利水に重點を置いた河川総合開発が計畫され、加古川水系では農林水產省の呑吐ダム(志染川)・大川瀬ダム(東條川)や建設省の加古川大堰(加古川)、市川水系では県営の生野ダム(市川)や奧多々良木発電所の上部調整池として建設された関西電力黒川ダム(市川)に兵庫県企業庁が利水事業者として參加し多目的ダム化、武庫川水系には県営の青野ダム(青野川)、淀川水系では淀川水系水資源開発基本計畫の一環として水資源開発公団により建設された豬名川支流一庫大路次川の一庫ダムなど、これらのダムを相互に連攜させて兵庫県南部の水需要に貢獻している[118]。また県西部の千種川や県北部の円山川、淡路島の三原川など各水系の支流にも多目的ダムを建設し治水と利水を司っている。2008年に完成した石井ダム(烏原川)は日本で三箇所しかないレクリェーション目的を持つダムの中で唯一運用されているダムである[119]。
兵庫県最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に市川最上流部に建設された黒川ダムである。現在建設中のダムは由良川水系滝の尻川に建設中の西紀ダム、円山川水系の與布土ダム(與布土川)があるが西紀ダムは事業見直し対象となった。西紀ダムはダム事業継続と決定している[4]。中止した多目的ダム事業には武庫川本流中流部に予定されていた武庫川ダムがあり、反対運動が強く武庫川流域委員會で議論された末[120]ダム事業見直しの対象となり事業中止が決定した。このほか八鹿ダム(小佐川)[121]などが事業中止となっている。なお、小堰堤ではあるが伊丹市にある昆陽池(こやいけ)は731年行基によって建設されたが、洪水調節と灌漑の目的を有しており、「日本最古の多目的ダム」である[122]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 武庫川 | 青野川 | 青野ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 29.0 | 15,100 | 兵庫県 | 1987 | 水特法指定 |
二級 | 洲本川 | 鮎屋川 | 鮎屋川ダム | F・A | 重力 | 46.2 | 1,800 | 兵庫県 | 1970 | ||
二級 | 市川 | 市川 | 生野ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 56.5 | 18,000 | 兵庫県 | 1972 | |
二級 | 新湊川 | 石井川 | 石井ダム | 補助 | F・N・R | 重力 | 66.2 | 2,200 | 兵庫県 | 2008 | |
二級 | 三原川 | 牛內川 | 牛內ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 59.0 | 2,100 | 兵庫県 | 1997 | |
一級 | 加古川 | 東條川 | 大川瀬ダム | 利水 | A・W | 重力 | 50.8 | 9,300 | 農林水産省 | 1991 | |
一級 | 円山川 | 大路川 | 大路ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 32.1 | 375 | 兵庫県 | 1998 | |
一級 | 加古川 | 加古川 | 加古川大堰 | 特定 | F・N・W | 堰 | 6.0 | 1,960 | 國土交通省 | 1988 | |
二級 | 三原川 | 北富士川 | 北富士ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 52.5 | 1,300 | 兵庫県 | 1999 | |
二級 | 市川 | 市川 | 黒川ダム | 利水 | W・I・P | ロックフィル | 98.0 | 33,390 | 関西電力 | 1974 | |
一級 | 加古川 | 仕出原川 | 糀屋ダム | 利水 | A・I | ロックフィル | 44.1 | 13,500 | 農林水産省 | 1989 | |
二級 | 武庫川 | 天神川 | 昆陽池 | F・A | アース | - | - | 伊丹市 | 731 | 日本最古の 多目的小堰堤 | |
二級 | 三原川 | 大日川 | 大日ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 36.0 | 1,050 | 兵庫県 | 1997 | |
一級 | 円山川 | 橫谷川 | 但東ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 25.7 | 450 | 兵庫県 | 2006 | |
一級 | 加古川 | 志染川 | 呑吐ダム | 利水 | A・W | 重力 | 71.5 | 18,860 | 農林水産省 | 1987 | 水特法指定 |
二級 | 三原川 | 成相川 | 成相ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 61.0 | 4,050 | 兵庫県 | 1999 | |
一級 | 由良川 | 滝の尻川 | 西紀ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 26.7 | 383 | 兵庫県 | 2013 | 工事中 |
一級 | 揖保川 | 引原川 | 引原ダム | 補助 | F・N・I・P | 重力 | 66.0 | 21,950 | 兵庫県 | 1957 | |
一級 | 淀川 | 一庫大路次川 | 一庫ダム | 水機構法 | F・N・W | 重力 | 75.0 | 30,800 | 水資源機構 | 1983 | 水特法指定 |
二級 | 本庄川 | 本庄川 | 本庄川ダム | F・A・W | 重力 | 47.7 | 1,720 | 兵庫県 | 2004 | ||
一級 | 加古川 | 三熊川 | みくまりダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 27.0 | 380 | 兵庫県 | 2008 | |
一級 | 由良川 | 三井莊川 | 三寶ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 35.1 | 271 | 兵庫県 | 1994 | |
二級 | 千種川 | 安室川 | 安室ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 50.0 | 4,300 | 兵庫県 | 1991 | |
二級 | 武庫川 | 山田川 | 山田ダム | 利水 | A・W | 重力 | 15.8 | 174 | 三田市 | 1968 | |
一級 | 円山川 | 與布土川 | 與布土ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 54.4 | 1,080 | 兵庫県 | 2013 | 工事中 |
奈良県
編輯奈良縣は奈良市など県北部の奈良盆地に人口と農地が集中するが、古來より慢性的な水不足に悩まされており「大和豊年米食わず」と揶揄されるほど旱魃被害が頻発していた。唯一の大河川である大和川も水量は決して多くなく、農民達は県南部の紀之川から取水することが江戸時代よりの300年來の悲願であった。しかし紀の川下流の和歌山縣は奈良県北部への分水を斷じて容認せず、明治以降四度にわたる水利権紛爭をひき起こした[123]。戦後TVA方式の河川総合開発が導入されたことでにわかに紀の川分水の開発機運が高まり、1949年農林省は十津川紀の川総合開発計畫を策定する。さらに1951年には國土総合開発法の制定に伴い紀の川・熊野川流域は吉野熊野特定地域総合開発計畫の対象地域となり、熊野川(十津川)から紀の川に分水し、さらに紀の川から大和盆地へ分水する計畫が立案された。この計畫で熊野川からの分水を図る猿谷ダム(熊野川)が建設省により、大和盆地に水を供給する水源として大迫ダム(紀の川)と津風呂ダム(津風呂川)が農林省によって建設され、悲願であった紀の川の水が大和盆地に供給された。また淀川水系水資源開発基本計畫に基づき名張川支流の宇陀川に室生ダムが建設され、室生ダムより大和川へ宇陀川分水が供給され、淀川水系の水も利用可能となった。さらに大和川水系の開発も行われ、初瀬ダム(大和川)や天理ダム(布留川)が完成し奈良市、橿原市、天理市など県北部の都市は以前より格段に水需要が改善した。一方紀の川は伊勢灣台風により壊滅的な被害を受け、これを機に利水優先だった紀の川の開発は治水重點となり、洪水調節と上水道供給、水力発電を目的とした特定多目的ダムの建設が重要視され、本流に大滝ダムが建設される。
奈良県最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に大滝ダムである。1962年の計畫発表以來地元である川上村は水沒戸數が399戸487世帯と極めて多いことから猛烈な反対運動を繰り広げ、本體着工まで29年を費やし群馬県の八ッ場ダム(吾妻川)に比肩する補償交渉の難航を見せた。さらにダム完成直前に至り山崩が発生、対策が完了しない限り貯水が不可能であることから地すべり対策を実施。2012年に治水・利水目的の本格運用が開始されたが[124]、計畫発表から完成まで50年を費やす長期化ダム事業となった。中止したダム事業としては建設省による熊野川総合開発計畫に基づき計畫された風屋・鹿測(熊野川)、前鬼口・北山・大沼・小松(北山川)、大瀬(東ノ川)のダム群がある[125]。治水と灌漑を主目的とした計畫だったが費用対効果が得られず1953年一斉に中止となった。しかし計畫自體は熊野川開発全體計畫として電源開発の水力発電計畫に継承され、風屋・二津野(熊野川)、池原・七色・小森(北山川)、坂本(東ノ川)の各ダムとして完成している[126]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 熊野川 | 池津川 | 池津川取水ダム | N・P | 重力 | 16.8 | - | 國土交通省 | 1956 | ||
一級 | 紀之川 | 紀の川 | 大迫ダム | 利水 | A・W・P | アーチ | 70.5 | 27,750 | 農林水産省 | 1973 | |
一級 | 紀の川 | 紀の川 | 大滝ダム | 特定 | F・N・W・I・P | 重力 | 100.0 | 84,000 | 國土交通省 | 2012 | 水特法9條指定 |
一級 | 淀川 | 遅瀬川 | 上津ダム | 利水 | A・W | 重力 | 63.5 | 5,600 | 農林水産省 | 2000 | |
一級 | 熊野川 | 熊野川 | 猿谷ダム | N・P | 重力 | 74.0 | 23,300 | 國土交通省 | 1957 | ||
一級 | 紀の川 | 津風呂川 | 津風呂ダム | 利水 | A・W | 重力 | 54.3 | 24,650 | 農林水産省 | 1962 | |
一級 | 大和川 | 布留川 | 天理ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 60.5 | 2,500 | 奈良県 | 1978 | |
一級 | 淀川 | 布目川 | 布目ダム | 水機構法 | F・N・W | 重力 | 72.0 | 17,300 | 水資源機構 | 1991 | 水特法指定 |
一級 | 大和川 | 大和川 | 初瀬ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 55.0 | 4,390 | 奈良県 | 1987 | |
一級 | 淀川 | 宇陀川 | 宮奧ダム | 利水 | A・W | 重力 | 36.5 | 580 | 奈良県 | 1998 | |
一級 | 淀川 | 宇陀川 | 室生ダム | 水機構法 | F・N・W | 重力 | 63.5 | 16,900 | 水資源機構 | 1973 | 建設省より移管 |
和歌山県
編輯和歌山県において多目的ダムが建設される契機となったのは、1953年7月17日から7月18日に掛けて県全域を襲った紀州大水害(7.18大水害、南紀豪雨とも呼ばれる)である。一日雨量500ミリを超える猛烈な豪雨を記録し、和歌山県內で死者・行方不明者1,046名を記録[127]する日本の戦後に発生した集中豪雨では最悪の被害を出した。この災害では和歌山県內を流れる紀の川を始め有田川、日高川、日置川、古座川、熊野川など全ての河川が過去に例を見ない大洪水をひき起こし、日高川流域だけでも死者298名・負傷者1,470名を出している[128]。この大災害を機に和歌山県では県內を流れる主要な二級河川に多目的ダムを建設する計畫を立案。その第一號として1956年古座川本流に七川ダムが完成する。続いて有田川本流に二川ダムが1966年完成し、日高川に椿山ダムが1988年(昭和63年)完成する。一方紀の川では和歌山市の工業地帯拡充、さらに關西國際機場建設により人口増加が見込まれることから水資源開発が課題となり、大滝ダムと連攜した治水・利水を図るため河口より約6キロメートル上流に紀の川大堰を建設。和歌山市や大阪府泉南地域への上水道・工業用水道供給を図ろうとした。
和歌山県最大の多目的ダムは高度では二川ダム、総貯水容量では椿山ダムがそれぞれ最大。現在建設中のダムは切目川ダム(切目川)がある。民主黨政権によるダム事業見直しの餘波を受ける切目川ダムであるが和歌山県は國庫補助が凍結されても建設を進める方針を示し[129]、最終的には事業継続となった[4]。椿山ダムは水沒予定地住民の反対運動が激烈で計畫から完成まで22年を費やし、補助多目的ダムとしては初となる水源地域対策特別措置法第 9條等指定ダムとなった。紀の川大堰では受益者である大阪府の橋下徹知事が水余りを理由に水利権を返上している。中止した多目的ダム事業としては建設省に よる熊野川総合開発計畫に基づき計畫された檜杖ダム(熊野川)がある。仮に完成すれば和歌山県最大の貯水容量を有するダムとなっていたが、費用対効果が見 込めず1953年中止されている[130]。また、紀の川支流の紀伊丹生川に國土交通省が計畫していた紀伊丹生川ダムは、完成すれば近畿地方で最も高いダムとなる予定であったがダム地點の地質が悪く、掘削による工事費が増大し通常の河川改修のほうが割安になることから費用対効果の面で中止されている[131]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 紀の川 | 紀の川 | 紀の川大堰 | 特定 | F・N・W | 堰 | 7.1 | 2,900 | 國土交通省 | 2009 | |
二級 | 切目川 | 切目川 | 切目川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 44.5 | 3,960 | 和歌山県 | 2014 | 工事中 |
二級 | 古座川 | 古座川 | 七川ダム | 補助 | F・P | 重力 | 58.5 | 30,800 | 和歌山県 | 1956 | |
二級 | 日高川 | 日高川 | 椿山ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 56.5 | 49,000 | 和歌山県 | 1988 | 水特法9條指定 |
二級 | 有田川 | 有田川 | 二川ダム | 補助 | F・P | 重力 | 67.4 | 30,100 | 和歌山県 | 1966 |
中國地方
編輯鳥取県
編輯200px 千代川、天神川、日野川と三本の一級河川が流れる鳥取縣では、日野川において最初の河川総合開発計畫が実施された。1951年の國土総合開発法を機に日野川水系および中海は大山出雲特定地域総合開発計畫の対象となり、中海乾拓事業に加えて水力発電と米子市などへの工業用水道供給を主體とした日野川流域の河川開発を実施すべく県によって中海・日野川総合開発調査局が設置され[132]調査が行われた。その後日野川が1961年國直轄の河川改修対象に指定される[133]に及び建設省によって特定多目的ダムによる河川開発が計畫された。日野川本流にはダム建設の適地がなく、支流の印賀川に1968年菅沢ダムが 鳥取県初の多目的ダムとして完成する。その後は県による補助多目的ダム事業が進められ、日野川支流の法勝寺川に賀祥ダムが建設されたほか、千代川水系初の 多目的ダムとして支流の佐治川に佐治川ダム、二級河川の宇坪谷川に東郷ダムが完成。また鳥取市內を流れる千代川支流・袋川の治水と利水を目的に、千代川水 系唯一の特定多目的ダムである殿ダムが2011年(平成23年)に完成した。
鳥取県下最大の多目的ダムは総貯水容量では菅沢ダムが、ダムの高度では殿ダムが最大である。建設・計畫中の多目的ダム事業はない。また中止したダム事業としては天神川支流の加茂川に計畫されていた中部ダムがある。この中部ダムでは當時の片山善博鳥取県知事が水沒予定地の住民に中止を謝罪、住民本位の地域活性化策をダム中止後も進めると表明[134]。 知事を會長とした「舊中部ダム予定地地域振興協議會」が設置された。ダム事業の中止後水沒予定地をどう再生するかについて、一つの試金石となっている。な お先の日野川をはじめ千代川、天神川何れにも本流にはダムが存在せず、天神川水系には多目的ダムが全く建設されていない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 日野川 | 法勝寺川 | 賀祥ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 46.4 | 7,450 | 鳥取県 | 1988 | 水特法指定 |
一級 | 千代川 | 佐治川 | 佐治川ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 46.5 | 2,310 | 鳥取県 | 1981 | |
一級 | 日野川 | 印賀川 | 菅沢ダム | 特定 | F・A・I・P | 重力 | 73.5 | 19,800 | 國土交通省 | 1967 | |
二級 | 橋津川 | 宇坪谷川 | 東郷ダム | 補助 | F・N・A | 重力 | 39.5 | 720 | 鳥取県 | 2003 | |
一級 | 千代川 | 袋川 | 殿ダム | 特定 | F・N・W・I・P | ロックフィル | 75.0 | 12,400 | 國土交通省 | 2011 | 水特法指定 |
島根県
編輯200px 島根縣では中國地方最大の河川・江の川に おいて総合開発計畫が計畫された。1947年経済安定本部が総合開発調査の対象河川として指定されたのを機に、治水と灌漑、及び日本発送電による水力発電 計畫と連攜した水力発電を目的とした河川開発が計畫されたが、最終的には島根県內でのダム計畫はなくなり、県営事業として二級河川の浜田川本流に浜田ダムが県內初の多目的ダムとして建設され、斐伊川支流の飯梨川にも布部ダムが建設された。しかし1965年7月梅雨前線豪雨と1972年7月梅雨前線豪雨、さらに1983年の山陰豪雨によって県內全域の河川が氾濫し大きな被害を受けたため、斐伊川・江の川だけでなく二級河川である周布川、三隅川、靜間川水系の河川開発が検討され、本流や支流に多目的ダムが建設されている。また慢性的な水不足と水害に悩まされていた隱岐群島にも美田(美田川)・銚子(銚子川)の多目的ダムが建設されている。
県都・松江市を流れる斐伊川水系では1972年梅雨前線豪雨で斐伊川・宍道湖や隣接する神戸川が氾濫し松江市內が7日間浸水する大きな被害を機に、斐伊川と神戸川を一體化した治水対策が1976年より計畫された。この斐伊川・神戸川総合開発事業は上流に尾原ダム(斐伊川)と志津見ダム(神戸川)、中流に斐伊川放水路を建設し下流部では大橋川河道拡張による宍道湖の排水能力増強を柱としており、斐伊川放水路で斐伊川と連結したことで2008年には二級河川だった神戸川水系が斐伊川水系に編入されて一級河川となった。志津見ダムは2011年、尾原ダムは2012年に完成したが大橋川の河道拡張計畫は沿岸住民や中海を擁する下流の鳥取県が反対し、計畫は下流部のみ停滯している[135]。
島根県最大の多目的ダムは高度では江の川支流の八戸(やと)川に建設された八戸ダム、総貯水容量では斐伊川本流に建設された尾原ダムで ある。現在施工中のダム事業は島根県が事業主體である浜田ダム再開発事業と同ダム下流の第二浜田ダムがあり、完成すれば第二浜田ダムが高度で県內一位とな る。この事業は民主黨政権によるダム事業見直しの対象には入っていない。中止したダム事業としては先述の江の川総合開発計畫で計畫された都賀行ダム・段原 ダム(江の川)があり、特に都賀行ダムは総貯水容量が5億8,010萬立方メートルと、完成すれば広島県の三次盆地の大半が水沒する巨大ダム計畫であった[136]。斐伊川水系でも川手ダム(斐伊川)と掛合ダム(三刀屋川)が立ち消え[137]となっている。なお県西部を流れる一級河川・高津川水系には多目的ダムは全く建設されていない。また八戸ダム建設に伴い直上流に建設されていた発電専用の舊・八戸ダムが水沒している[138]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 周布川 | 周布川 | 大長見ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 71.5 | 19,270 | 島根県 | 2003 | |
一級 | 斐伊川 | 斐伊川 | 尾原ダム | 特定 | F・N・W | 重力 | 90.0 | 60,800 | 國土交通省 | 2012 | 水特法指定 |
二級 | 三隅川 | 三隅川 | 御部ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 63.0 | 16,800 | 島根県 | 1990 | |
二級 | 靜間川 | 三瓶川 | 三瓶ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 54.5 | 7,120 | 島根県 | 1996 | |
一級 | 斐伊川 | 神戸川 | 志津見ダム | 特定 | F・N・I・P | 重力 | 85.5 | 50,600 | 國土交通省 | 2011 | 水特法指定 |
二級 | 浜田川 | 浜田川 | 第二浜田ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 97.8 | 15,470 | 島根県 | 未定 | 工事中 |
二級 | 八尾川 | 銚子川 | 銚子ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 39.7 | 2,530 | 島根県 | 1999 | 隱岐群島 |
二級 | 浜田川 | 浜田川 | 浜田ダム | 補助 | F・P | 重力 | 58.0 | 5,000 | 島根県 | 1962 | 再開発中 |
一級 | 斐伊川 | 飯梨川 | 布部ダム | 補助 | F・W・I・P | 重力 | 55.9 | 7,100 | 島根県 | 1967 | |
二級 | 美田川 | 美田川 | 美田ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 26.8 | 539 | 島根県 | 1978 | 隠岐島 2002年再開発 |
一級 | 江の川 | 八戸川 | 八戸ダム | 補助 | F・N・W・I・P | 重力 | 72.0 | 26,800 | 島根県 | 1976 | |
一級 | 斐伊川 | 山佐川 | 山佐ダム | 補助 | F・W | 重力 | 56.0 | 5,050 | 島根県 | 1980 |
岡山県
編輯東から吉井川、旭川、高梁川と三本の大河川が流れる岡山縣では、旭川から河川開発が開始された。旭川は宇喜多秀家や熊沢蕃山による河川改修が行われていたが洪水被害が後を絶たず、かつ県都・岡山市を貫流することから治水対策の必要性が早くから論じられていた。戦後旭川水系の総合開発計畫が県営で進められ、本流上流部に湯原ダム、中流部に旭川ダムが 建設された。その後1972年7月梅雨前線豪雨による計畫高水流量を上回る洪水被害と岡山市の人口増加による水不足を機に旭川ダムの機能強化が検討され、 1983年には旭川ダム再開発事業が実施され治水・上水道供給機能が強化された。続いて開発されたのが高梁川水系で、農林省により小阪部川ダム(小阪部川)が利水専用多目的ダムとして建設されたが高度経済成長に伴う水島臨海工業地帯や笠岡臨海工業地帯などの拡大で工業用水道と電力需要が急増。県は中國電力 (日本)が施工していた新成羽川ダム(成羽川)に水道事業者として參加すると共に河本(西川)、高瀬川(高瀬川)、千屋(高梁川)などのダムを建設して工業用水と電力供給、並びに高梁川水系の治水対策を強化した。最後に着手された吉井川水系では1981年本流中流部に坂根堰が完成し岡山市の水がめとして利用され、2004年には本流上流部に苫田ダムが完成し岡山市のほか津山市など県東部の水がめとして利用されている。また県でも各河川の支流に補助多目的ダムのほか、黒木ダム(倉見川)など補助事業ではない土地改良関連の多目的ダムを建設している。。なお瀨戶內海沿岸で養殖されているノリの色落ち防止のため、苫田ダムなどでは県の要請による河川維持放流が行われる[139]。
県內最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に新成羽川ダムであり、重力式アーチダムとして日本一の高度を有する。建設・計畫中のダムは存在しない。苫田ダムは水沒戸數470戸と中國地方では大規模な移転戸數となり1972年の計畫発表以來舊奧津町官民一體の反対運動が起こり、事業取消訴訟も起こるなど完成まで32年を費やす長期化事業となった[140]。また新成羽川ダムではダム放流被害訴訟が起こっている。中止したダム事業としては吉井川本流の吉岡ダム[141]や高梁川本流の方谷ダム[142]と支流小田川の柳井原堰[143]などがある。なお湯原ダムは岡山県と中國電力が共同管理を行うダムであり、新成羽川ダムや小阪部川ダム、西原ダムは利水専用の多目的ダムである。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 旭川 | 旭川 | 旭川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 45.0 | 57,383 | 岡山県 | 1954 | 1983年再開発 |
一級 | 高梁川 | 小阪部川 | 大佐ダム | F・A・P | 重力 | 43.7 | 3,505 | 岡山県 | 1981 | ||
一級 | 高梁川 | 小阪部川 | 小阪部川ダム | 利水 | A・P | 重力 | 67.2 | 15,625 | 土地改良區 | 1954 | 農林省施工 |
一級 | 高梁川 | 美山川 | 鬼ヶ岳ダム | F・A | 重力 | 39.0 | 1,414 | 岡山県 | 1969 | ||
一級 | 吉井川 | 香々美川 | 香々美ダム | F・A・P | 重力 | 39.0 | 1,853 | 岡山県 | 1974 | ||
一級 | 吉井川 | 山家川 | 柿ヶ原ダム | F・A | アース | 16.0 | 129 | 岡山県 | 1970 | ||
一級 | 旭川 | 日山谷川 | 河平ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 38.5 | 769 | 岡山県 | 2005 | |
一級 | 吉井川 | 梶並川 | 久賀ダム | F・A・P | 重力 | 36.5 | 4,400 | 岡山県 | 1973 | ||
一級 | 吉井川 | 倉見川 | 黒木ダム | F・A・W・P | 重力 | 53.5 | 6,000 | 岡山県 | 1966 | ||
二級 | 笹ヶ瀬川 | 足守川 | 黒谷ダム | F・A | ロックフィル | 43.6 | 1,334 | 岡山県 | 1931 | 1989年再開発 | |
一級 | 高梁川 | 西川 | 河本ダム | 補助 | F・I・P | 中空重力 | 60.0 | 17,350 | 岡山県 | 1964 | |
一級 | 吉井川 | 吉井川 | 坂根堰 | F・N・A・W・I | 堰 | 4.9 | 2,200 | 國土交通省 | 1982 | ||
一級 | 高梁川 | 成羽川 | 新成羽川ダム | 利水 | I・P | 重力アーチ | 103.0 | 127,500 | 中國電力 (日本) | 1968 | |
一級 | 高梁川 | 高瀬川 | 高瀬川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 67.0 | 4,530 | 岡山県 | 1982 | |
一級 | 旭川 | 竹谷川 | 竹谷ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 38.0 | 498 | 岡山県 | 2003 | |
一級 | 高梁川 | 高梁川 | 千屋ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 97.5 | 28,000 | 岡山県 | 1998 | |
一級 | 吉井川 | 津川川 | 津川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 76.0 | 5,990 | 岡山県 | 1995 | |
一級 | 吉井川 | 吉井川 | 苫田ダム | 特定 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 74.0 | 84,100 | 國土交通省 | 2004 | 水特法9條指定 |
一級 | 高梁川 | 右の谷川 | 楢井ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 38.2 | 470 | 岡山県 | 1996 | |
一級 | 旭川 | 加茂川 | 鳴滝ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 34.0 | 1,680 | 岡山県 | 1981 | |
一級 | 吉井川 | 長谷川 | 西原ダム | 利水 | A・W・I | ロックフィル | 46.1 | 2,003 | 土地改良區 | 1976 | 農林省施工 |
一級 | 吉井川 | 八塔寺川 | 八塔寺川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 44.0 | 5,700 | 岡山県 | 1989 | |
一級 | 吉井川 | 日笠川 | 日笠ダム | F・A | 重力 | 39.0 | 1,239 | 岡山県 | 1983 | ||
一級 | 吉井川 | 落合川 | 槙谷ダム | F・A | 重力 | 45.0 | 2,190 | 岡山県 | 1988 | ||
一級 | 高梁川 | 三室川 | 三室川ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 74.5 | 8,200 | 岡山県 | 2005 | [144] |
一級 | 旭川 | 大成川 | 山手ダム | 利水 | A・W | アース | 24.0 | 333 | 岡山県 | 1984 | |
一級 | 旭川 | 旭川 | 湯原ダム | 補助 | F・P | 重力 | 73.5 | 99,600 | 岡山県 中國電力 |
1954 |
広島県
編輯廣島縣において最初に建設された多目的ダムは利水専用では1917年(大正6年)に舊海軍によって建設された本庄ダム(二河川)、河水統制事業としては1942年(昭和17年)に完成した二級ダム(黒瀬川)であるが、これらは吳鎮守府や吳海軍工廠への利水を目的として建設されており、広島県の多目的ダム事業は軍事都市であった吳市を舞台に始まった。戦後河川総合開発事業による多目的ダム計畫がまず江の川水系で始まり、土師ダム(江の川)など4ダムが計畫され1973年土師ダムが完成。2006年には灰塚ダム(上下川)も完成する。一方県都・廣島市を流れる太田川では太田川放水路が既に建設されていたが1972年7月梅雨前線豪雨による被害を機に太田川水系工事実施基本計畫が1974年に建設省によって策定され、支流の滝山川に溫井ダムが2001年完成する。治水事業の一方で中國地方最大の都市として急成長する広島市の水需要がひっ迫したことから、江の川の土師ダムより中國電力可部発電所を経て太田川に導水、高瀬堰(太田川)より広島市などに上水道や工業用水道を供給する太田川総合開発事業が建設省によって実施された。県東部の蘆田川水系では福山市など備後工業整備特別地域への工業用水・上水道供給を目的に1959年三川ダム、1980年蘆田川河口堰、1997年八田原ダムが本流に完成する。県西部の山口県境を流れる小瀬川では1964年に小瀬川ダム、1990年に彌栄ダムが完成。沼田川などの二級河川では1968年の椋梨ダム(椋梨川)を皮切りに多くの多目的ダムが建設され、芸予諸島では江田島に海軍が建設した三高ダム(木下川)を再開発して多目的ダムとしている。
県內最大の多目的ダムは高度では溫井ダム、総貯水容量では彌栄ダムがそれぞれ最大。このうち溫井ダムは西日本で最も高く、補償交渉における地域活性化策の成功により50萬人の観光客を集める一大観光地に成長した[145]。本庄ダムは「本庄水源地堰堤水道施設」として國の重要文化財に指定されている。一方強固な反対運動により灰塚ダムでは計畫発表から完成まで32年、八田原ダムでは24年と事業が長期化している。また高瀬堰では太田川を遡上する香魚への影響が太田川漁業協同組合などより指摘され、改善策が行われている[146]。建設中のダムは莊原ダム(大戸川)のみである。中止したダム事業としては江の川総合開発計畫の一環であった木屋原ダム(西城川)[147]があり、溫井ダムと共に計畫されていた吉和郷ダム(太田川)は事実上立ち消えとなっている[148]。
なお小瀬川ダムは隣接する山口県との間で水利権調整が付かず、建設省に施工を委託し完成後は山口県との共同管理體制を採っている[149]。また八田原ダム建設に伴い中國電力宇津戸川ダムが水沒している[150]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 蘆田川 | 蘆田川 | 蘆田川河口堰 | 特定 | F・I | 堰 | 6.0 | 5,460 | 國土交通省 | 1981 | |
二級 | 八幡川 | 八幡川 | 魚切ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 79.8 | 8,460 | 広島県 | 1981 | |
一級 | 小瀬川 | 小瀬川 | 小瀬川ダム | 補助 | F・I | 重力 | 49.0 | 11,400 | 広島県 山口県 |
1964 | 建設省施工 |
一級 | 江の川 | 大戸川 | 莊原ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 42.0 | 701 | 広島県 | 未定 | 工事中 |
一級 | 太田川 | 太田川 | 高瀬堰 | 特定 | F・W・P | 堰 | 5.5 | 1,980 | 國土交通省 | 1975 | |
二級 | 黒瀬川 | 黒瀬川 | 二級ダム | W・I・P | 重力 | 32.0 | 1,295 | 広島県 中國電力 |
1942 | ||
一級 | 太田川 | 滝山川 | 溫井ダム | 特定 | F・N・W・P | アーチ | 156.0 | 82,000 | 國土交通省 | 2001 | 高度西日本一 |
一級 | 江の川 | 上下川 | 灰塚ダム | 特定 | F・N・W | 重力 | 50.0 | 52,100 | 國土交通省 | 2006 | 水特法9條指定 |
一級 | 江の川 | 江の川 | 土師ダム | 特定 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 50.0 | 47,300 | 國土交通省 | 1973 | |
一級 | 蘆田川 | 蘆田川 | 八田原ダム | 特定 | F・N・W・I | 重力 | 84.9 | 60,000 | 國土交通省 | 1997 | 水特法指定 |
二級 | 沼田川 | 沼田川 | 福富ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 58.0 | 10,900 | 広島県 | 2009 | 水特法指定 |
一級 | 蘆田川 | 父尾川 | 藤尾ダム | F・A | ロックフィル | 32.5 | 870 | 広島県 | 1974 | ||
二級 | 二河川 | 二河川 | 本庄ダム | 利水 | W・I | 重力 | 25.4 | 2,000 | 吳市 | 1917 | 舊海軍施工 國の重要文化財 |
一級 | 蘆田川 | 蘆田川 | 三川ダム | 利水 | A・W・I | 重力 | 53.0 | 12,698 | 広島県 | 1959 | 農林省施工 |
二級 | 木下川 | 木下川 | 三高ダム | 利水 | A・W | 重力 | 44.0 | 584 | 広島県 | 1944 | 江田島 舊海軍施工 2004年再開発 |
二級 | 沼田川 | 椋梨川 | 椋梨ダム | 補助 | F・N・W・I・P | 重力 | 39.5 | 7,540 | 広島県 | 1968 | |
一級 | 小瀬川 | 小瀬川 | 彌栄ダム | 特定 | F・N・W・I・P | 重力 | 120.0 | 112,000 | 國土交通省 | 1990 | 水特法指定 |
一級 | 蘆田川 | 山田川 | 山田川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 32.1 | 700 | 広島県 | 2005 | |
二級 | 藤井川 | 木門田川 | 竜泉寺ダム | 利水 | A・W | 重力 | 35.0 | 1,016 | 土地改良區 | 1965 |
山口県
編輯山口縣は青森県と同様に日本で最初に河川総合開発事業に着手した都道府県である。1940年(昭和15年)県下最大の河川である錦川上流に向道ダムが河川総合開発に基づく多目的ダムとしては日本で最初に完成、また木屋川、厚東川でも多目的ダムの建設が開始された。戦後キジア台風により錦帶橋が流失するなど深刻な被害を受けた錦川は治水、および周防灘沿岸の工業地帯に工業用水や電力を供給する重要な水源に位置づけられ、1951年の國土総合開発法による錦川特定地域総合開発計畫の対象となった。この計畫に沿い本流に菅野ダムと逆調整池として水越ダム、支流の生見川(いきみがわ)に生見川ダムが建設される。以後県営事業として阿武川、椹野川、島田川、末武川など二級河川に多目的ダムが多數建設された。一方一級河川である佐波川には1955年に佐波川ダム、小瀬川には1964年に小瀬川ダムが県営事業として完成するが両河川が河川法による一級河川に指定され、また岩國市などの工業地帯の発展による治水安全度低下や水道需要増大を機に國直轄の総合開発計畫が立てられ、これに伴い島地川ダム(島地川)、彌栄ダム(小瀬川)が建設された。
県下最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に阿武川ダム(阿武川)であり、阿武川ダムは補助多目的ダムとして日本屈指の規模を有する。現在建設中のダムとしては平瀬ダム(錦川)、大河內川ダム(大河內川)と木屋川ダム(木 屋川)再開発事業があるが、民主黨政権によるダム事業見直しの影響を受けている。特に平瀬ダムは1973年の計畫発表以來37年経過してようやく本體工事 に取り掛かろうとしており、見直し検討の結果事業は継続となったものの、長期化ダム事業の一つである。また小瀬川ダムは小瀬川の水利権を巡り隣県である広 島県と鋭く対立。交渉が不調に終わりダム建設が暗礁に乗り上げたことから國に裁定を求め、結果建設省中國地方建設局が受託施工を行うという異例の事態に なった。完成後は山口・広島両県が共同管理する形態を採っており、多目的ダムとしては日本唯一である。中止したダム事業としては錦川特定地域総合開発計畫 の一環で支流宇佐川に計畫された深須ダム[151]や西萬倉ダム(小河內川)[152]、竹尾ダム(田布施川)[153]がある。
なお山口県內の多目的ダムには日本で最初に完成した向道ダムやダムの合理化工法であるRCD工法(Roller Compacted Dam Concrete Method)を世界で最初に採用・施工した島地川ダム、日本屈指のダム本體16.5メートルかさ上げを行った川上ダム(冨田川)といった日本のダムの歴史に記されるダムが存在している。また阿武川ダム建設に伴い阿武川溫泉が発見されている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 阿武川 | 阿武川 | 阿武川ダム | 補助 | F・N・P | 重力アーチ | 95.0 | 153,500 | 山口県 | 1974 | |
二級 | 椹野川 | 椹野川 | 荒谷ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 56.0 | 5,200 | 山口県 | 1987 | |
二級 | 錦川 | 生見川 | 生見川ダム | 補助 | F・N・I・P | 重力 | 90.0 | 30,800 | 山口県 | 1984 | 水特法指定 |
二級 | 柳井川 | 柳井川 | 石井ダム | 利水 | A・W | アース | 36.3 | 1,160 | 山口県 | 1992 | |
二級 | 木屋川 | 歌野川 | 歌野川ダム | F・A | 重力 | 44.0 | 1,614 | 山口県 | 1980 | ||
二級 | 厚東川 | 薬師川 | 宇部丸山ダム | 利水 | W・I | 重力 | 32.0 | 4,500 | 山口県 | 1978 | |
二級 | 深川川 | 大河內川 | 大河內川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 64.0 | 4,330 | 山口県 | 2011 | 事業見直し |
一級 | 小瀬川 | 小瀬川 | 小瀬川ダム | 補助 | F・I | 重力 | 49.0 | 11,400 | 山口県 広島県 |
1964 | 建設省施工 |
二級 | 富田川 | 富田川 | 川上ダム | 補助 | F・W・I | 重力 | 63.0 | 13,720 | 山口県 | 1962 | 1979年再開発 |
二級 | 錦川 | 錦川 | 向道ダム | F・W・I・P | 重力 | 43.3 | 7,030 | 山口県 | 1940 | 河川総合開発 では日本初 | |
二級 | 厚東川 | 厚東川 | 厚東川ダム | 補助 | F・N・W・I・P | 重力 | 38.8 | 23,788 | 山口県 | 1948 | |
二級 | 木屋川 | 木屋川 | 木屋川ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 41.0 | 21,750 | 山口県 | 1955 | 再開発中 事業見直し |
一級 | 佐波川 | 佐波川 | 佐波川ダム | 補助 | F・N・A・I・P | 重力 | 54.0 | 24,600 | 山口県 | 1955 | 建設省施工 |
一級 | 佐波川 | 島地川 | 島地川ダム | 特定 | F・N・W・I | 重力 | 89.0 | 20,600 | 國土交通省 | 1981 | |
二級 | 末武川 | 末武川 | 末武川ダム | 補助 | F・N・W・I・P | ロックフィル | 89.5 | 19,570 | 山口県 | 1991 | 水特法指定 |
二級 | 錦川 | 錦川 | 菅野ダム | 補助 | F・W・I・P | 重力 | 87.0 | 95,000 | 山口県 | 1965 | |
二級 | 島田川 | 中山川 | 中山川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 37.0 | 7,500 | 山口県 | 1995 | 水特法指定 |
二級 | 末武川 | 末武川 | 溫見ダム | 利水 | A・W・I | 重力 | 36.0 | 4,520 | 山口県 | 1960 | |
二級 | 椹野川 | 四十八瀬川 | 羽根越ダム | 利水 | A・W | 重力 | 18.0 | 105 | 山口市 | 1928 | |
二級 | 錦川 | 錦川 | 平瀬ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 73.0 | 29,500 | 山口県 | 未定 | 水特法指定 |
二級 | 大谷川 | 大谷川 | 見島ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 31.0 | 125 | 山口県 | 2001 | 見島 |
二級 | 木屋川 | 木屋川 | 湯の原ダム | 利水 | W・I | 重力 | 18.5 | 2,930 | 山口県 | 1990 | 水特法指定 |
二級 | 三隅川 | 辻並川 | 湯免ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 46.0 | 740 | 山口県 | 2006 |
四國地方
編輯徳島県
編輯德島縣の河川開発は、四國最大の吉野川水系と県內最大の那賀川水系でほぼ同時に進められた。吉野川では吉野川総合開発計畫に沿って多目的ダム計畫が進められたが吉野川の慣行水利権を巡り徳島県當局が他県への分水に難色を示し、計畫は迷走を続けた[154]。最終的に吉野川水系水資源開発基本計畫に従い中流部の舊池田町に池田ダム(吉野川)が建設され、香川用水と吉野川北岸用水の水源として重要な役割を擔っている。また県北部の阿讃山脈を水源とする吉野川支流は下流で伏流となるため用水の確保に難渋していたが、宮川內谷川などに多目的ダムが建設され治水のほか灌漑に供されている。那賀川水系では1951年の國土総合開発法により那賀川特定地域総合開発計畫の対象となり、TVAをモデルとした河川開発が県當局により計畫。その中心事業として県內初の多目的ダムとして長安口ダムが本流に完成した。また德島市、小松島市などの工業地帯発展に伴う工業用水道需要の増大に対処するため、舊吉野川河口堰(舊吉野川)・今切川河口堰(今切川)や二級河川である勝浦川に正木ダムが建設されている。
県內最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に長安口ダムである。那賀川流域は現在でも深刻な水不足と極端な集中豪雨に悩まされており、これに対処するため長安口ダムは2006年より県営ダムから國土交通省に管理が移管され、現在放流機能の強化を中心としたダム再開発事業が行われている。このほか施工中のダムとして柴川ダム(柴川谷川)がある。中止したダム事業としては吉野川総合開発計畫の中心事業として計畫されていた小歩危ダム(吉野川)と岩戸ダム(銅山川)、及び両ダム計畫を統合した大佐古ダム(吉野川)があり何れも巨大な貯水容量を有するダム計畫であった[155]。また那賀川水系では本流最上流部に計畫されていた細川內ダム[156]があり、藤田恵村長(當時)を中心とした舊木頭村の強固な反対運動により計畫が長期化、1996年第2次橋本內閣の龜井靜香建設大臣(當時)が建設凍結を発表し2000年中止となった。この細川內ダム中止以降、日本において「聖域」でもあったダム事業の中止が相次ぐようになる。なお正木ダムは水需要低下の理由から1965年より4年間事業休止となっていた[157]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 吉野川 | 吉野川 | 池田ダム | 水機構法 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 24.0 | 12,650 | 水資源機構 | 1974 | |
一級 | 吉野川 | 今切川 | 今切川河口堰 | 水機構法 | F・W・I | 堰 | 6.0 | - | 水資源機構 | 1974 | |
一級 | 吉野川 | 舊吉野川 | 舊吉野川河口堰 | 水機構法 | F・W・I | 堰 | 7.3 | 4,930 | 水資源機構 | 1976 | |
一級 | 吉野川 | 九頭宇谷川 | 高西ダム | F・A | アーチ | 16.8 | 21 | 徳島県 | 1958 | ||
一級 | 吉野川 | 柴川谷川 | 柴川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 40.0 | 252 | 徳島県 | 未定 | 事業見直し |
一級 | 那賀川 | 那賀川 | 長安口ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 85.5 | 54,278 | 國土交通省 | 1956 | 徳島県より移管 再開発中 |
二級 | 勝浦川 | 勝浦川 | 正木ダム | 補助 | F・N・A・I・P | 重力 | 67.0 | 15,050 | 徳島県 | 1978 | |
一級 | 吉野川 | 宮川內谷川 | 宮川內ダム | 補助 | F・N・A | 重力 | 36.0 | 1,350 | 徳島県 | 1963 |
香川県
編輯香川縣には大河川がなく、瀨戶內海式氣候の要因もあって古くより深刻な水不足に悩まされており満濃池(金倉川)を始めおびただしい數のため池が建設されていた。一方で大雨が降れば鉄砲水として下流に大きな被害を與えており、治水と灌漑用水の供給が最大の課題となっていた。このような理由から香川県では青森県や山口県と時を同じくして戦前より河川総合開発に着手。1952年に四國初・県內初の多目的ダムとして內場ダム(內場川)が完成する。その後も県営事業として鴨部川や財田川など県內の中小二級河川に多目的ダムが建設され、小豆島の小河川にも多目的ダムが建設された。1975年には香川用水が完成し県下全域の上水道・灌漑用水供給が強化されたが、洪水被害が減少する一方で未だに水不足に悩まされている。
県內最大の多目的ダムは高度では小豆島に建設された吉田ダム(吉田川)、総貯水容量では內場ダムであるが、建設中の椛川ダム(椛川)が完成すると雙方で第一位となる。また小豆島にある內海ダム(別當川)は貯水容量増大を目的に第二回目の再開発計畫が施工中であるが地元の反対が強い。また五名ダム再開発(湊川)は民主黨政権によるダム事業見直し対象となっている。中止したダム事業としては國直轄で計畫されていた前の川ダム(前の川)などがある。なお日本唯一の石積み五連マルチプルアーチダムである豊稔池ダム(柞田川)は1994年の再開発によって多目的ダムとなったが、その希少性と歴史的価値が認められ2006年に國の重要文化財に指定されている[158]。
なお香川県に建設された多目的ダムは全て二級河川に建設されており、國土交通省直轄ダムは存在しない。また、水力発電を目的とするものや、完成したダムにおいて貯水容量も1,000萬立方メートルに達する多目的ダムが存在しない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 柞田川 | 粟井川 | 粟井ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 42.0 | 590 | 香川県 | 2001 | |
二級 | 安田大川 | 安田大川 | 粟地ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 46.0 | 780 | 香川県 | 1980 | 小豆島 |
二級 | 別當川 | 別當川 | 內海ダム | 補助 | F・N・W | 複合 | 21.0 | 140 | 香川県 | 1958 | 小豆島 再開発中 |
二級 | 與田川 | 様松川 | 大內ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 26.0 | 1,000 | 香川県 | 1966 | |
二級 | 伝法川 | 伝法川 | 蛙子池 | F・N・W | アース | 15.3 | 698 | 香川県 | 1960 | 小豆島 | |
二級 | 香東川 | 椛川 | 椛川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 88.5 | 10,560 | 香川県 | 未定 | 水特法指定 工事中 |
二級 | 湊川 | 湊川 | 五名ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 56.0 | 6,750 | 香川県 | 未定 | 再開発中 事業見直し |
二級 | 馬宿川 | 千足川 | 千足ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 41.4 | 1,850 | 香川県 | 1987 | |
二級 | 財田川 | 谷道川 | 戸川ダム | F・A | アース | 19.6 | 211 | 香川県 | 1957 | ||
二級 | 伝法川 | 殿川 | 殿川ダム | 補助 | F・W | 重力 | 35.6 | 690 | 香川県 | 1974 | 小豆島 |
二級 | 香東川 | 內場川 | 內場ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 50.0 | 8,175 | 香川県 | 1952 | |
二級 | 財田川 | 財田川 | 野口ダム | F・A | 重力 | 35.0 | 1,150 | 香川県 | 1966 | ||
二級 | 柞田川 | 柞田川 | 豊稔池ダム | F・A | 多連式アーチ | 30.4 | 1,643 | 香川県 | 1930 | 1994年再開発 國の重要文化財 | |
二級 | 鴨部川 | 鴨部川 | 前山ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 38.8 | 2,130 | 香川県 | 1974 | |
二級 | 津田川 | 栴檀川 | 門入ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 47.3 | 2,900 | 香川県 | 1998 | |
二級 | 吉田川 | 吉田川 | 吉田ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 74.5 | 2,360 | 香川県 | 1996 | 小豆島 |
愛媛県
編輯愛媛縣も香川県と同様に慢性的な水不足に悩まされており、肱川以外の河川は流量に乏しく水量が豊富な吉野川・仁淀川水系からの導水が求められていた。県內で手掛けられた最初の河川総合開発は銅山川の開発であり、県東部の宇摩地域(四國中央市、新居濱市)は江戸時代より銅山川からの分水を希求していた[159]。分水に反対する徳島県との協議を経て1954年柳瀬ダム(銅山川)が県內初の多目的ダムとして完成し、住民の悲願であった銅山川分水が現実化する。その後吉野川水系水資源開発基本計畫に基づき新宮・富郷(銅山川)が建設され銅山川分水は強化された。仁淀川水系からの分水では農林省の國営道前道後かんがい排水事業により仁淀川最上流部の支流・割石川に面河ダムが建設され、貯水された水は四國山地を橫斷し西條市を流れる中山川に分水され用水として利用される。肱川水系では建設省により治水と水力発電を主目的とした鹿野川ダムが1959年、治水に加え佐田岬半島・宇和地域への灌漑・上水道供給を目的とした野村ダムが1981年本流に完成。県都・松山市の水がめとして石手川ダム(石手川)が重信川水系唯一の多目的ダムとして建設省の手で完成している。県営事業でも主に中予・南予地域、大三島の二級河川で治水と水道用水供給を目的とした多目的ダムが建設されている。愛媛県の河川開発は銅山川分水のように複數の河川を連結し流路変更する分水事業が特徴的であり、ダムを介して高度な水利用が行われている。
愛媛県最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に富郷ダムである。建設中のダム事業としては鹿野川ダム再開発事業があるが、完成すると治水専用となり多目的ではなくなる。中止したダム事業としては中山川ダム(中山川)[160]などがあり、多目的ダムとして計畫されていた山鳥坂ダム(河辺川)は中予分水事業の中止で治水ダムに変更されている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 重信川 | 石手川 | 石手川ダム | 特定 | F・A・W | 重力 | 87.0 | 12,800 | 國土交通省 | 1972 | |
二級 | 台本川 | 台本川 | 台ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 42.3 | 1,410 | 愛媛県 | 1991 | 大三島 |
二級 | 僧都川 | 大久保川 | 大久保山ダム | 利水 | A・W | アース | 55.8 | 750 | 愛媛県 | 1978 | |
一級 | 仁淀川 | 割石川 | 面河ダム | 利水 | A・I・P | 重力 | 73.5 | 28,300 | 愛媛県 | 1967 | 農林省施工 |
一級 | 肱川 | 肱川 | 鹿野川ダム | 特定 | F・P | 重力 | 61.0 | 48,200 | 國土交通省 | 1958 | 再開発中 |
二級 | 加茂川 | 加茂川 | 黒瀬ダム | 補助 | F・N・I・P | 重力 | 61.7 | 36,000 | 愛媛県 | 1972 | |
二級 | 岩松川 | 御代の川 | 山財ダム | 補助 | F・N・A・W | 重力 | 64.0 | 6,500 | 愛媛県 | 1980 | |
二級 | 國領川 | 國領川 | 鹿森ダム | 補助 | F・I・P | 重力 | 57.8 | 1,590 | 愛媛県 | 1962 | |
一級 | 吉野川 | 銅山川 | 新宮ダム | 水機構法 | F・A・I・P | 重力 | 42.0 | 13,000 | 水資源機構 | 1975 | 建設省より移管 |
二級 | 須賀川 | 須賀川 | 須賀川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 40.2 | 3,050 | 愛媛県 | 1975 | |
二級 | 蒼社川 | 蒼社川 | 玉川ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 56.0 | 9,900 | 愛媛県 | 1970 | |
一級 | 吉野川 | 銅山川 | 富郷ダム | 水機構法 | F・W・I・P | 重力 | 106.0 | 52,000 | 水資源機構 | 2000 | 建設省より移管 水特法指定 |
一級 | 肱川 | 肱川 | 野村ダム | 特定 | F・A・W・P | 重力 | 60.0 | 16,000 | 國土交通省 | 1981 | 水特法指定 |
一級 | 吉野川 | 銅山川 | 別子ダム | 利水 | I・P | 重力 | 71.0 | 5,628 | 住友共同電力 | 1965 | |
一級 | 吉野川 | 銅山川 | 柳瀬ダム | 補助 | F・A・W・I・P | 重力 | 55.5 | 32,200 | 國土交通省 | 1953 | 愛媛県より移管 |
高知県
編輯高知縣は徳島・香川・愛媛の各県に比べ水不足の影響は少なく、むしろ颱風や集中豪雨による水害に対処するための治水事業が主眼となっていた。最初に手掛けられたのは物部川水系であり、県內初の多目的ダムとして永瀬ダムが本流上流部に完成する。続いて吉野川水系上流部が吉野川総合開発計畫や吉野川水系水資源開発基本計畫に基づき開発され、早明浦ダム(吉野川)が建設され四國全域の水がめとして、また高知分水事業として鏡川の鏡ダム経由で県都・高知市の上水道に利用された。その後仁淀川本流に大渡ダムが建設され仁淀川の治水、高知市への利水が強化され、最後に四萬十川水系[161]の開発が計畫された。四萬十川本流にはダム建設の適地がないため、河口付近で合流する支流・中筋川流域が開発対象とされ中筋川ダムが建設される。県営事業としては小規模な多目的ダムが二級河川に幾つか建設されている。
県內最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に早明浦ダムであり、西日本最大の貯水容量を有する多目的ダムと して四國の水需要に貢獻しているが少雨傾向による取水制限が2000年以降多発している。また県內で施工中の橫瀬川(橫瀬川)、春遠(春遠川)、和食(わ じき。和食川)の三ダム事業は全てダム事業見直し対象とされた。このうち春遠・和食ダムについては事業継続が決定している[4]。中止したダム事業としては吉野川総合開発計畫で計畫された吉野川本流の敷岩ダム[162]があり、四國電力穴內川ダム(穴內川)は當初多目的ダムとして計畫されたが発電専用ダムに変更となっている。なお永瀬ダムは建設省が施工したが完成後高知県に管理が移管されている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 仁淀川 | 仁淀川 | 大渡ダム | 特定 | F・N・W・P | 重力 | 96.0 | 66,000 | 國土交通省 | 1986 | |
二級 | 鏡川 | 鏡川 | 鏡ダム | 補助 | F・N・W・I・P | 重力 | 47.0 | 9,380 | 高知県 | 1966 | |
二級 | 香宗川 | 鎌井谷川 | 鎌井谷ダム | 補助 | F・N・A | 重力 | 27.3 | 186 | 高知県 | 1995 | |
一級 | 吉野川 | 吉野川 | 早明浦ダム | 水機構法 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 106.0 | 316,000 | 水資源機構 | 1978 | 建設省より移管 |
一級 | 四萬十川 | 中筋川 | 中筋川ダム | 特定 | F・N・A・W・I | 重力 | 73.1 | 12,600 | 國土交通省 | 1998 | |
一級 | 物部川 | 物部川 | 永瀬ダム | F・N・P | 重力 | 87.0 | 49,090 | 高知県 | 1956 | 建設省施工 | |
二級 | 貝ノ川 | 家ノ谷川 | 春遠ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 33.0 | 770 | 高知県 | 未定 | 工事中 |
一級 | 四萬十川 | 橫瀬川 | 橫瀬川ダム | 特定 | F・N・W | 重力 | 72.1 | 7,300 | 國土交通省 | 2015 | 事業見直し |
二級 | 和食川 | 和食川 | 和食ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 51.0 | 730 | 高知県 | 未定 | 工事中 |
九州地方
編輯福岡県
編輯福岡縣の河川開発は1953年6月に発生した1953年西日本水災による壊滅的な被害を機に進められた。筑後川以下県內全域の河川が氾濫し県都・福岡市をはじめ北九州市、久留米市など県全域の市町村が浸水し多數の死者と県予算二年分の被害額を出した。県はまず筑後地方を流れる矢部川上流に県內初の多目的ダムである日向神(ひゅうがみ)ダムを1961年に完成させ、続いて遠賀川・今川水系の多目的ダム建設に着手した。一方九州最大の河川・筑後川水系では筑後川水系治水基本計畫に従い本流上流部のダム群建設に加え支流でのダム計畫と分水路、大規模堤防建設を進めていたが北九州工業地帶の発展や福岡都市圏の人口増加に伴う水需要ひっ迫を機に水資源開発も重要な課題となり、筑後川水系水資源開発基本計畫が策定され筑後川、遠賀川、矢部川、嘉瀬川、菊池川を含めた広域水資源開発が計畫され筑後大堰(筑後川)、江川ダム(小石原川)、寺內ダム(佐田川)、合所ダム(隈上川)が建設された。しかし1978年の昭和53-54年福岡市渇水(福岡沙漠)で福岡市は287日間の給水制限を受けたことからさらなる水資源開発が計畫され、県営事業として多々良川水系や那珂川水系において新規のダム事業や南畑ダム再開発事業(那珂川)が行われた。
県內最大の多目的ダムは高度では寺內ダム、総貯水容量では日向神ダムであるが、現在施工中の小石原川ダム(小石原川)が高度で、五ヶ山ダム(那珂川)が総貯水容量で完成すると第一位になる。施工中のダムとしては先の小石原川・五ヶ山ダムのほか伊良原ダム(祓川)があるが、何れも民主黨政権によるダム事業見直しの対象となっており、検証の結果伊良原・五ヶ山両ダムは事業継続が決定している[4]。中止したダム事業としては真名子ダム(星野川)[163]、寒田ダム(城井川)[164]などがある。なお筑後大堰をはじめとする筑後川中下流域の治水事業と同時にミヤイリガイの生息域壊滅が行われ[165]、長年流域住民を悩ませていた日本血吸蟲病が2000年に撲滅されている[166][167]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 今川 | 今川 | 油木ダム | 補助 | F・N・W・I・P | 重力 | 54.6 | 18,200 | 福岡県 | 1971 | |
一級 | 遠賀川 | 犬鳴川 | 犬鳴ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 76.5 | 5,000 | 福岡県 | 1994 | |
二級 | 多々良川 | 豬野川 | 豬野ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 79.9 | 5,110 | 福岡県 | 2000 | |
二級 | 祓川 | 祓川 | 伊良原ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 83.0 | 28,700 | 福岡県 | 2017 | 水特法指定 工事中 |
一級 | 筑後川 | 小石原川 | 江川ダム | 水機構法 | A・W・I | 重力 | 79.2 | 25,326 | 水資源機構 | 1972 | 農林省施工 |
一級 | 遠賀川 | 遠賀川 | 遠賀川河口堰 | 特定 | F・W・I | 堰 | 6.5 | 11,140 | 國土交通省 | 1983 | |
二級 | 御笠川 | 北谷川 | 北谷ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 39.0 | 251 | 福岡県 | 1998 | |
一級 | 遠賀川 | 久保川 | 久保白ダム | 利水 | A・W・I | アース | 25.0 | 4,164 | 福岡県 | 1970 | |
一級 | 筑後川 | 小石原川 | 小石原川ダム | 水機構法 | F・N・W | ロックフィル | 129.0 | 40,000 | 水資源機構 | 2015 | 水特法指定 事業見直し |
一級 | 筑後川 | 隈上川 | 合所ダム | 利水 | A・W | ロックフィル | 60.7 | 7,660 | 福岡県 | 1990 | 農林水産省施工 |
二級 | 那珂川 | 那珂川 | 五ヶ山ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 102.5 | 40,200 | 福岡県 | 2017 | 水特法指定 工事中 |
一級 | 遠賀川 | 中元寺川 | 陣屋ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 48.5 | 2,650 | 福岡県 | 1974 | |
二級 | 瑞梅寺川 | 瑞梅寺川 | 瑞梅寺ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 64.0 | 2,420 | 福岡県 | 1977 | |
一級 | 筑後川 | 筑後川 | 筑後大堰 | 水機構法 | F・N・W | 堰 | 13.8 | 5,500 | 水資源機構 | 1984 | |
一級 | 筑後川 | 佐田川 | 寺內ダム | 水機構法 | F・N・A・W | ロックフィル | 83.0 | 18,000 | 水資源機構 | 1986 | |
一級 | 遠賀川 | 河道外 | 頓田第一ダム | 利水 | W・I | アース | 21.6 | 5,011 | 北九州市 | 1968 | |
一級 | 遠賀川 | 河道外 | 頓田第二ダム | 利水 | W・I | アース | 21.6 | 5,293 | 北九州市 | 1968 | |
二級 | 多々良川 | 鳴淵川 | 鳴淵ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 67.4 | 4,400 | 福岡県 | 2001 | |
一級 | 矢部川 | 矢部川 | 日向神ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 79.5 | 27,900 | 福岡県 | 1959 | |
一級 | 遠賀川 | 福土川 | 福智山ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 64.5 | 2,710 | 福岡県 | 2003 | |
一級 | 山國川 | 山國川 | 平成大堰 | 特定 | F・N・W | 堰 | 3.2 | 278 | 國土交通省 | 1990 | |
二級 | 紫川 | 紫川 | ます渕ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 60.0 | 13,600 | 福岡県 | 1973 | |
二級 | 那珂川 | 那珂川 | 南畑ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 63.5 | 6,000 | 福岡県 | 1965 | 1985年再開発 |
一級 | 筑後川 | 山口川 | 山神ダム | 補助 | F・N・W | 複合 | 59.0 | 2,980 | 福岡県 | 1979 | |
一級 | 遠賀川 | 八木山川 | 力丸ダム | 補助 | F・W・I | 重力 | 49.5 | 13,200 | 福岡県 | 1965 | 建設省より移管 |
佐賀県
編輯佐賀縣初の多目的ダムは嘉瀬川に1956年完成した北山ダムである。農林省による國営嘉瀬川農業水利事業の根幹施設として建設されたものであるが、治水機能は有していない。治水を主目的とした河川総合開発事業は昭和28年西日本水害を機にまず県北部を流れる有田川で実施され、支流に有田(白川)・竜門(広瀬川)の両ダムが建設された。その後県営事業として松浦川水系、六角川水系や県內の二級河川で補助多目的ダムが建設されている。一方國直轄の特定多目的ダムとしては松浦川支流の厳木(きゅうらぎ)川に1986年に完成した厳木ダムが最初である。
佐賀県最大の多目的ダムは高度では厳木ダム、総貯水容量は北山ダム下流に2012年完成した嘉瀬川ダム(嘉瀬川)である。現在建設中のダムとしては猿川ダム(猿川)があるが、2005年の段階で補助事業としての予算計上が見送られており[168]事実上凍結され、現在は事業見直し対象ダムに指定されている。嘉瀬川ダムについてはダム事業見直し當時より見直し対象にはされていない。城原川ダム(城原川)については當初計畫では多目的ダムであったが、治水ダムに変更されている。なお松浦川支流の狩立川・日ノ峯川に建設されている狩立ダムと日ノ峯ダムについては、二つの河川をダムでせき止め貯水池を導水路で連結する珍しいダムであり[169]、「夫婦ダム」とも呼ばれている。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 有田川 | 白川 | 有田ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 27.5 | 1,880 | 佐賀県 | 1961 | |
一級 | 松浦川 | 左伊岐佐川 | 伊岐佐ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 58.5 | 1,940 | 佐賀県 | 1979 | |
一級 | 松浦川 | 井手口川 | 井手口川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 43.7 | 2,180 | 佐賀県 | 2012 | |
一級 | 嘉瀬川 | 嘉瀬川 | 嘉瀬川ダム | 特定 | F・N・A・W・I・P | 重力 | 97.0 | 71,000 | 國土交通省 | 2012 | 水特法9條指定 |
一級 | 松浦川 | 狩立川 | 狩立ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 28.4 | 1,330 | 佐賀県 | 2001 | |
一級 | 筑後川 | 安良川 | 河內防災ダム | F・A | アース | 35.0 | 1,195 | 佐賀県 | 1970 | ||
一級 | 松浦川 | 厳木川 | 厳木ダム | 特定 | F・N・W・I・P | 重力 | 117.0 | 13,600 | 國土交通省 | 1986 | |
二級 | 有田川 | 猿川 | 猿川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 29.9 | 1,170 | 佐賀県 | 未定 | 事業見直し |
二級 | 鹿島川 | 中川 | 中木庭ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 69.5 | 6,800 | 佐賀県 | 2006 | |
一級 | 松浦川 | 日ノ峯川 | 日ノ峯ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 28.4 | 460 | 佐賀県 | 2001 | |
一級 | 松浦川 | 町田川 | 平木場ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 29.5 | 1,080 | 佐賀県 | 1983 | |
二級 | 有田川 | 有田川 | 古木場ダム | 利水 | A・W | アース | 26.8 | 1,172 | 佐賀県 | 1998 | |
一級 | 嘉瀬川 | 嘉瀬川 | 北山ダム | 利水 | A・P | 重力 | 59.3 | 22,250 | 土地改良區 | 1956 | 農林省施工 |
二級 | 伊萬里川 | 都川內川 | 都川內ダム | 補助 | F・N・I | 重力 | 31.5 | 1,130 | 佐賀県 | 2002 | |
一級 | 松浦川 | 本部川 | 本部ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 42.1 | 1,140 | 佐賀県 | 1988 | |
一級 | 六角川 | 六角川 | 矢筈ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 32.5 | 1,290 | 佐賀県 | 1993 | |
二級 | 有田川 | 広瀬川 | 竜門ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 42.2 | 2,350 | 佐賀県 | 1975 |
長崎県
編輯長崎縣の河川は流路延長・流域面積が小さい河川がほとんどであり、豪雨による洪水と旱魃による水不足が極端に現れる。河川開発の契機になったのは1957年7月25日の諫早豪雨であり、記録的集中豪雨により県下で甚大な被害が発生したことから長崎県では郡川に萱瀬ダムを建設したのを皮切りに雪浦川、神浦川、東大川などで補助多目的ダムが建設された。一方長崎市は日本初の上水道専用ダムである本河內高部ダム(本河內川)など明治時代より上水道整備を実施していたが、河川流量が乏しく人口増加による水不足が慢性化していた。このため鹿尾川の鹿尾ダムなど新規の水資源開発を進めていたところ1982年7月23日に長崎大水害が発生。長崎市は時間雨量187ミリという記録的豪雨になり死者・行方不明者299名、被害額約3,000億円という壊滅的被害を受けた。この大水害を機に長崎県では長崎水害緊急ダム事業[170][171]を計畫、特に被害の大きかった中島川水 系にある本河內高部・本河內低部ダム(中島川)、西山ダム(西山川)、浦上ダム(大井手川)の上水道専用ダムに治水機能を有する多目的ダムとして再開発 し、雪浦川と中尾川には治水に加え再開発4ダムの利水機能を補填するための多目的ダムを建設する方針を立てた。緊急ダム事業のうち本河內高部、西山、中尾 ダムは完成したが本河內高部と西山ダムについては舊ダムが土木學會選奨土木遺産であることから解體・水沒させず、新ダムの機能を維持しながら舊ダムを保存する方法を採っている。このほか壹岐島、對馬島、五島列島の小河川にも多目的ダムが建設されている。長崎県の多目的ダムの特徴としては、治水・利水問わず全てのダムに上水道目的が付與されていることであり、水不足に悩む長崎県の水需要が垣間見える。一方水力発電目的は全く有していない。
長崎県最大の多目的ダムは高度では萱瀬ダム、総貯水容量では神浦ダム(神浦川)であるが、長崎県內の多目的ダムについては総貯水容量が1,000萬立方メートルを超えるものが無く、小規模なダムが多い。建設中のダムとしては県內唯一の特定多目的ダムである本明川ダム(本明川)、 県営事業では石木ダム(石木川)と長崎水害緊急ダム事業の浦上・本河內低部ダム再開発事業があるが、本河內低部ダム以外は何れも民主黨政権によるダム事業 見直しの対象とされた。特に石木ダムについては治水と佐世保市への利水を目的に1973年より計畫されたが地元の反対運動が熾烈であり現在本體工事にも着 手できない狀態となっているが、長崎県はダム事業再検証の末事業継続を決めている[172]。中止したダム事業としては轟ダム(境川)[173]や長崎水害緊急ダム事業の一つであった雪浦第二ダム(雪浦川)[174]などがある。なお、海軍第三海軍區佐世保鎮守府が施工した相當ダム(牟田川)では太平洋戦爭中捕虜となった美國軍事捕虜が強制労働に従事させられ、200名中31名が死亡した負の歴史を持つ[175]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 伊木力川 | 山川內川 | 伊木力ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 41.7 | 880 | 長崎県 | 2007 | |
二級 | 川棚川 | 石木川 | 石木ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 55.4 | 5,580 | 長崎県 | 未定 | 水特法指定 工事中 |
二級 | 浦上川 | 大井手川 | 浦上ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 21.0 | 1,895 | 長崎県 | 1945 | 再開発中 事業見直し |
一級 | 本明川 | 小ヶ倉川 | 小ヶ倉ダム | 利水 | A・W | アース | 22.6 | 2,200 | 長崎県 | 1975 | |
二級 | 鹿尾川 | 鹿尾川 | 鹿尾ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 34.6 | 1,140 | 長崎県 | 1987 | |
二級 | 郡川 | 郡川 | 萱瀬ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 65.5 | 6,810 | 長崎県 | 1961 | 2000年再開発 |
二級 | 相浦川 | 相浦川 | 川谷ダム | 利水 | A・W | 重力 | 46.0 | 1,721 | 佐世保市 | 1954 | |
二級 | 神浦川 | 神浦川 | 神浦ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 51.0 | 6,840 | 長崎県 | 1969 | |
二級 | 小浦川 | 樫塚川 | 小浦ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 29.5 | 400 | 長崎県 | 2004 | 對馬島 |
二級 | 相浦川 | 小川內川 | 菰田ダム | 利水 | A・W | 重力 | 40.0 | 1,475 | 佐世保市 | 1939 | 海軍施工 土木遺産 |
二級 | 相浦川 | 転石川 | 転石ダム | 利水 | A・W | 重力 | 22.7 | 233 | 佐世保市 | 1926 | 海軍施工 土木遺産 |
二級 | 式見川 | 式見川 | 式見ダム | 補助 | F・W | 重力 | 45.5 | 2,150 | 長崎県 | 1980 | |
二級 | 相浦川 | 牟田川 | 相當ダム | 利水 | A・W | 重力 | 34.0 | 400 | 長崎県 | 1944 | 海軍施工 |
二級 | 江川 | 江川 | 高浜ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 35.0 | 187 | 長崎県 | 2007 | |
二級 | 小佐々川 | つづら川 | つづらダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 21.6 | 315 | 長崎県 | 2003 | |
二級 | 八郎川 | 中尾川 | 中尾ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 40.0 | 1,580 | 長崎県 | 2000 | |
二級 | 子々川川 | 子々川川 | 中山ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 24.5 | 530 | 長崎県 | 1984 | |
二級 | 長與川 | 長與川 | 長與ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 36.0 | 600 | 長崎県 | 1985 | |
二級 | 多以良川 | 二股川 | 鳴見ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 53.5 | 2,250 | 長崎県 | 1991 | |
二級 | 中島川 | 西山川 | 西山ダム | 補助 | F・W | 重力 | 40.0 | 1,580 | 長崎県 | 1904 | 1999年再開発 |
二級 | 東大川 | 楠原川 | 土師野尾ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 31.5 | 1,090 | 長崎県 | 1986 | |
二級 | 志佐川 | 笛吹川 | 笛吹ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 59.8 | 2,010 | 長崎県 | 2006 | |
二級 | 船津川 | 船津川 | 船津ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 30.0 | 370 | 長崎県 | 2000 | |
二級 | 千々石川 | 加持川 | 別所ダム | 利水 | A・W | 重力 | 23.8 | 1,923 | 長崎県 | 1968 | |
二級 | 中島川 | 中島川 | 本河內高部ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 28.2 | 496 | 長崎県 | 1891 | 2009年再開発 |
二級 | 中島川 | 中島川 | 本河內低部ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 27.8 | 616 | 長崎県 | 1903 | 再開発中 |
一級 | 本明川 | 本明川 | 本明川ダム | 特定 | F・N・W | 台形CSG | 64.0 | 8,600 | 國土交通省 | 未定 | 事業見直し |
二級 | 宮ノ川 | 宮ノ川 | 宮ノ川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 32.0 | 194 | 長崎県 | 2000 | 五島列島(中通島) |
二級 | 谷江川 | 角川 | 男女岳ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 20.3 | 103 | 長崎県 | 1997 | 壹岐島 |
二級 | 雪浦川 | 雪浦川 | 雪浦ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 44.0 | 3,900 | 長崎県 | 1976 |
熊本県
編輯熊本縣は北から菊池川、白河、緑川、球磨川と一級河川が四河川流れ、筑後川水系も一部流れている。治水事業は加藤清正による白川の改修が知られているが、台風や梅雨前線による水害は一再ではなく、特に昭和28年西日本水害では県都・熊本市を中心に死者339名、行方不明者198名、被害額約850億円と九州では最悪の被害を出した。このため河川総合開発事業も戦後早期より推進され、1960年球磨川上流に市房ダムが県下最初の多目的ダムとして完成する。続いて筑後川支流の津江川に下筌(しもうけ)ダムが建設され筑後川水系治水基本計畫の一翼をなし、さらに福岡都市圏の利水を視野に入れた筑後川水系水資源開発基本計畫の一環として菊池川支流の迫間川に竜門ダムが建設され、下筌ダムとの間で水を融通している。県中央部の緑川では緑川ダムが本流に建設され、緑川の治水と八代平野への灌漑に供されている。県営事業としては県內の二級河川、特に水不足に悩まされている天草群島へのダム建設が行われた。
熊本県最大のダムは高度では竜門ダム、総貯水容量では緑川ダムであり、竜門ダムはコンバインダム(複合ダム)として、清願寺ダム(免田川)はアースダムとしてダムの高度が日本最高である。施工中のダムは路木ダム(路木川)がある。中止したダム事業としては特定多目的ダム初の地下ダムであった高遊原地下浸透ダム(加勢川)[176]、ダム事業見直しの末に中止が決定された七滝ダム(御船川)[4]と県営の釈迦堂ダム(釈迦堂川)[177]、高浜ダム(大河內川)[178]などがある。また熊本県におけるダム事業は反対運動が激烈なものが多く、多目的ダムとして計畫されていた川辺川ダム(川辺川)[179]は1967年より続く反対闘爭や流域外からのダム建設の是非が問われ、民主黨のマニフェストにも掲げられた。竜門ダムでは計畫発表から完成まで31年を費やす長期化ダム事業となっている。
なお宇城市にある石打ダム(八柳川)近傍にはJR九州三角線 (JR九州)・石打壩車站があるが、JRの駅名でダム名が付くのは石打ダム駅が日本唯一である[180]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 波多川 | 八柳川 | 石打ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 38.5 | 1,200 | 熊本県 | 1992 | |
一級 | 球磨川 | 球磨川 | 市房ダム | F・N・A・P | 重力 | 78.5 | 40,200 | 熊本県 | 1959 | 建設省施工 | |
二級 | 亀川 | 亀川 | 亀川ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 37.0 | 2,650 | 熊本県 | 1982 | 天草下島 |
二級 | 教良木川 | 祝口川 | 教良木ダム | 利水 | A・W | ロックフィル | 29.3 | 1,691 | 熊本県 | 1976 | 天草上島 |
二級 | 方原川 | 方原川 | 楠浦ダム | 利水 | A・W | アース | 32.0 | 1,068 | 熊本県 | 1966 | 天草下島 |
二級 | 上津浦川 | 上津浦川 | 上津浦ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 54.0 | 467 | 熊本県 | 2004 | 天草上島 |
一級 | 球磨川 | 球磨川 | 幸野ダム | 利水 | A・P | 重力 | 21.2 | 326 | 熊本県 | 1959 | |
一級 | 球磨川 | 免田川 | 清願寺ダム | F・A | 重力 | 60.5 | 3,301 | 熊本県 | 1978 | ||
二級 | 都呂々川 | 都呂々川 | 都呂々ダム | 利水 | A・W・I | 重力 | 41.8 | 1,360 | 熊本県 | 1990 | 天草下島 |
二級 | 氷川 | 氷川 | 氷川ダム | 補助 | F・N・A・W | 重力 | 58.5 | 7,100 | 熊本県 | 1973 | 2010年再開発 |
一級 | 緑川 | 緑川 | 緑川ダム | 特定 | F・N・A・P | 重力 | 76.5 | 46,000 | 國土交通省 | 1970 | |
一級 | 菊池川 | 迫間川 | 竜門ダム | 特定 | F・N・A・I | 重力 | 99.5 | 42,500 | 國土交通省 | 2001 | 水特法9條指定 |
二級 | 路木川 | 路木川 | 路木ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 53.0 | 2,290 | 熊本県 | 2013 | 天草下島 工事中 |
大分県
編輯大分縣の河川総合開発事業は九州 (日本)で宮崎県に次いで二番目に早く、県下最大の河川である大野川本流に灌漑と水力発電を目的にした百枝ダムが1951年に完成している[181]。その後県內に大きな被害を出した昭和28年西日本水害を契機に大分川水系で河川総合開発が進められ、支流の芹川に芹川ダムが建設され、県南部の五ヶ瀬川水系でも支流の北川に北川ダムが建設された。一方県西部を流れる筑後川水系では筑後川水系治水基本計畫や筑後川水系水資源開発基本計畫によって筑後川本流と支流に多目的ダムの建設計畫が進められ、検討の結果松原ダム(筑後川)と下筌ダム(津江川)が建設された。両ダムは1986年にダム再開発事業が行われ、日田市への上水道目的が追加されたほか有明海のノリ養殖において色落ちを防止するための河川維持放流が行われる[182]。県北部、耶馬溪で知られる山國川では北九州市への上水道供給と山國川の治水を目的に本流に平成大堰、支流の山移川に耶馬渓ダムが建設されている。
大分県最大の多目的ダムは高度・総貯水容量共に下筌ダムであるが、筑後川支流の赤石川に建設中の大山ダムが完成すれば高度では大分県一になる。建設中のダムとしては大山ダムのほか大分川支流の七瀬川に建設されている大分川ダムがある。このうち大分川ダムは民主黨政権によるダム事業見直しの対象になったが2012年に事業継続が決定、また大山ダムは対象から除外されている。中止したダム事業は筑後川水系では筑後川本流の久世畑[183]・杖立[184]、支流玖珠川の豬牟田[185]・玖珠川[186]、大野川水系の大野川(大野川)と矢田(平井川)[187]・知原(緒方川)[188]などのダムがある。松原・下筌ダムでは日本最大のダム反対闘爭である蜂の巣城紛爭が室原知幸らにより13年間続けられ、流血闘爭や法廷闘爭を通じ公共事業と人權の整合性を問うた[189][190]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 大分川 | 七瀬川 | 大分川ダム | 特定 | F・N・W | ロックフィル | 91.6 | 24,000 | 國土交通省 | 2017 | 水特法指定 工事中 |
一級 | 筑後川 | 赤石川 | 大山ダム | 水機構法 | F・N・W | 重力 | 99.0 | 19,600 | 水資源機構 | 2012 | 工事中 水特法指定 |
二級 | 臼杵川 | 臼杵川 | 乙見ダム | F・A | 重力 | 39.9 | 1,880 | 大分県 | 1970 | ||
一級 | 五ヶ瀬川 | 北川 | 北川ダム | 補助 | F・P | アーチ | 82.0 | 41,000 | 大分県 | 1962 | |
一級 | 番匠川 | 木立川 | 小中尾ダム | F・A | アース | 22.3 | 188 | 大分県 | 1966 | ||
一級 | 筑後川 | 津江川 | 下筌ダム | 特定 | F・N・P | アーチ | 98.0 | 59,300 | 國土交通省 | 1972 | 1986年再開発 |
二級 | 志生木川 | 志生木川 | 志生木ダム | F・A | アース | 22.9 | 400 | 大分県 | 1965 | ||
二級 | 末広川 | 末広川 | 末広ダム | F・A | 重力 | 45.5 | 2,098 | 大分県 | 1991 | ||
一級 | 大分川 | 芹川 | 芹川ダム | 補助 | F・A・P | 重力 | 52.2 | 27,500 | 大分県 | 1956 | |
一級 | 番匠川 | 道の內川 | 直川ダム | F・A | 重力 | 24.9 | 740 | 大分県 | 1970 | ||
二級 | 末広川 | 中の川 | 中の川ダム | F・A | 重力 | 37.3 | 881 | 大分県 | 1987 | ||
二級 | 臼杵川 | 田井ヶ迫川 | 野田ダム | F・A | 重力 | 38.7 | 452 | 大分県 | 1991 | ||
一級 | 大野川 | 垣河內川 | 野津ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 34.9 | 331 | 大分県 | 2000 | |
一級 | 筑後川 | 筑後川 | 松原ダム | 特定 | F・N・W・P | 重力 | 83.0 | 54,600 | 國土交通省 | 1972 | 1986年再開発 |
一級 | 大野川 | 大野川 | 百枝ダム | N・P | 重力 | 8.9 | 520 | 大分県 | 1951 | ||
一級 | 山國川 | 山移川 | 耶馬溪ダム | 特定 | F・N・W・I・P | 重力 | 62.0 | 23,300 | 國土交通省 | 1984 | 水特法指定 |
一級 | 大分川 | 白滝川 | 若杉防災ダム | F・A | 重力 | 33.5 | 750 | 大分県 | 1965 |
宮崎県
編輯200px 宮崎縣における多目的ダム事業は九州地方で最も早く行われ、県中部を流れる小丸川で実施された。本流に松尾ダム、支流の渡川に渡川ダムが戦爭による中斷を挾んで建設され松尾ダムは1951年県內で最初に完成した。続いて県都・宮崎市を流れる大淀川水系で多目的ダムが計畫され、大淀川水系最大の支流である本庄川がその対象にまず挙げられた。本庄川本流に綾南ダム、支流の綾北川に綾北ダムと古賀根橋ダムが建設され、綾北ダム上流には田代八重ダムが1999年完成する。本庄川に続いて岩瀬川が対象になり、1967年に岩瀬ダムが完成した。五ヶ瀬川水系では延岡市の治水と旭化成工場への工業用水道供給を目的とした祝子(ほうり)ダム・浜砂ダム(祝子川)が、一ツ瀬川水系では支流の三納川流域に立花ダム(三財川)が建設された。
宮崎県最大の多目的ダムは高度では綾北ダム、総貯水容量では岩瀬ダムがそれぞれ最大。建設中、また中止した多目的ダム事業は存在しない。宮崎県の河川は水力発電事業が先行しており小丸川以外の主要河川である耳川、五ヶ瀬川、一ツ瀬川、大淀川では本流に発電用ダムが多數建設されているため多目的ダムは存在しない。このため建設省河川局長通達・建河発第一七八號により上椎葉ダム(耳川)と一ツ瀬ダム(一ツ瀬川)は第一類ダムに指定され、発電専用ダムではあるが治水の責務を有する。また宮崎県の多目的ダムは全て県営の補助多目的ダムであり、國土交通省直轄ダムは存在しない。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一級 | 大淀川 | 綾北川 | 綾北ダム | 補助 | F・P | アーチ | 75.3 | 21,300 | 宮崎県 | 1960 | |
一級 | 大淀川 | 本庄川 | 綾南ダム | 補助 | F・P | 重力 | 64.0 | 38,000 | 宮崎県 | 1958 | |
一級 | 大淀川 | 岩瀬川 | 岩瀬ダム | 補助 | F・P | 重力 | 55.5 | 57,000 | 宮崎県 | 1967 | |
一級 | 大淀川 | 綾北川 | 古賀根橋ダム | 利水 | A・P | 重力 | 32.0 | 1,381 | 宮崎県 | 1958 | |
一級 | 大淀川 | 綾北川 | 田代八重ダム | 補助 | F・N・W・P | 重力 | 64.6 | 19,270 | 宮崎県 | 1999 | |
一級 | 一ツ瀬川 | 三財川 | 立花ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 71.3 | 10,000 | 宮崎県 | 1963 | |
一級 | 小丸川 | 渡川 | 渡川ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 62.5 | 33,900 | 宮崎県 | 1955 | |
一級 | 五ヶ瀬川 | 祝子川 | 浜砂ダム | 利水 | I・P | 重力 | 42.7 | 2,430 | 宮崎県 | 1991 | |
一級 | 五ヶ瀬川 | 祝子川 | 祝子ダム | 補助 | F・N・I・P | 重力 | 60.0 | 5,774 | 宮崎県 | 1972 | |
一級 | 小丸川 | 小丸川 | 松尾ダム | 補助 | F・N・P | 重力 | 68.0 | 45,202 | 宮崎県 | 1951 |
鹿児島県
編輯鹿兒島縣では県內最大の一級河川である川內川で 河川総合開発が最初に手掛けられた。下流に比べ上流部の流域面積が広い川內川は台風や集中豪雨が上流域を襲うと、膨大な洪水は下流へ一気に押し寄せ、度重 なる被害をもたらしていた。建設省は川內川の治水対策として中流の狹窄部に多目的ダムを建設して上流からの洪水を抑え、あわせて豊富な水量を利用した水力 発電事業を目的に九州地方初の特定多目的ダムを建設する。これが鶴田ダムであり、九州最大の重力式コンクリートダムとして、また一般水力発電所として九州最大級の出力を有する多目的ダムが1966年に完成した。一方鹿児島県営のダム事業は他県に比べて余り実施されておらず、萬之瀬川本流の川辺ダムなど數は多くない。その中でも慢性的な水不足に悩む奄美大島や德之島など離島での利水を主とした多目的ダム事業が目に付く。
県內最大の多目的ダムは鶴田ダムであるが、2006年の平成18年7月豪雨において川內川上流は多いところで総雨量が1,000ミリを超え、予想を大幅に超えた洪水が鶴田ダムに流入し洪水調節機能を喪失。下流の薩摩川內市、薩摩町などが浸水被害を受けたことから被害住民より鶴田ダムの治水ダム化が要望され、國土交通省は住民との対話集會を経て2007年より鶴田ダム再開発事業に着手。利水容量を治水容量に振り替え洪水調節機能を増強することになった[191]。建設中のダムや中止した多目的ダム事業は存在しない。なお鶴田ダムの人造湖である大鶴湖では、渇水期になると水沒した舊曽木発電所の遺構を期間限定で見ることができる。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 鹿浦川 | 鹿浦川 | 伊仙中部ダム | 利水 | A・W | アース | 29.0 | 1,220 | 鹿児島県 | 1987 | 德之島 |
二級 | 大川 | 大川 | 大川ダム | 利水 | A・W | ロックフィル | 49.2 | 2,320 | 奄美市 | 1980 | 奄美大島 1988年再開発 |
二級 | 萬之瀬川 | 萬之瀬川 | 川辺ダム | 補助 | F・N・W・I | 重力 | 53.5 | 2,920 | 鹿児島県 | 2002 | |
二級 | 西京川 | 又延川 | 西京ダム | 利水 | A・W | ロックフィル | 29.7 | 2,301 | 鹿児島県 | 1987 | 種子島 |
二級 | 亀徳川 | 亀徳川 | 神嶺ダム | 利水 | A・W | アース | 33.8 | 808 | 鹿児島県 | 1981 | 徳之島 |
二級 | 須野川 | 須野川 | 須野ダム | 利水 | A・W | アース | 27.5 | 990 | 鹿児島県 | 1998 | 奄美大島 |
一級 | 川內川 | 川內川 | 鶴田ダム | 特定 | F・P | 重力 | 117.5 | 123,000 | 國土交通省 | 1965 | 再開発中 |
二級 | 面縄川 | 面縄川 | 東部ダム | 利水 | A・W | アース | 19.0 | 153 | 鹿児島県 | 1970 | 徳之島 |
二級 | 永吉川 | 二俁川 | 永吉ダム | F・A | ロックフィル | 37.0 | 1,174 | 鹿児島県 | 1979 | ||
二級 | 秋利神川 | 麥野川 | 南部ダム | 利水 | A・W | アース | 25.2 | 374 | 鹿児島県 | 1969 | |
二級 | 大和川 | 三田川 | 大和ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 45.0 | 784 | 鹿児島県 | 2006 | 奄美大島 |
沖縄県
編輯沖繩縣の多目的ダム事業は、1972年の沖繩返還で沖縄開発庁と沖縄総合事務局が設置された時より始まる。従って47都道府県の中では比較的新しい時期より河川総合開発事業に着手されたが、その萌芽は琉球列島美國民政府統治時代の1963年に遡る。美國陸軍工程兵團は沖繩島北部を流れる新川川などの河川にダムを建設するマスタープランに着手[192]。さらに琉球水道公社による上水道用ダム計畫が合併し多目的ダム事業として進められた[193]。その第一號が福地ダム(福地川) と新川ダム(新川川)であり、沖縄返還によりそれらのダム事業は日本政府に継承されたが発足間もない沖縄県は財政事情が芳しくなく、大規模な河川開発を行 う餘裕はなかった。既に建設省は沖縄返還以前に調査団を1970年に派遣し、翌1971年に積極的な水資源開発財政措置の必要性を報告していた[194]。
このため沖縄振興特別措置法第107條に基づき、沖縄県の河川は二級河川であっても必要がある場合は河川法第10條の例外規定として建設大臣(現在は國土交通大臣)が河川改修を実施できると定め、多目的ダムについても重要な事業については同法第107條第7項・第8項の規定で二級河川に國直轄で建設・管理される多目的ダムは特定多目的ダム法の規定を援用できると定めた[195]。これにより琉球列島米國民政府より承継された福地ダム、新川ダムと普久川(ふんがわ)ダム(普久川)は特定多目的ダムとして施工され、後に完成した安波ダム(安波川)・辺野喜ダム(辺野喜川)と共に沖縄北部河川総合開発事業として進められ、沖縄本島の重要な水がめとなった。しかし慢性的な水不足が起こる沖縄本島では取水制限が五ダムの完成後も頻発。このため建設省は沖縄北西部河川総合開発事業を計畫し倉敷ダム(與那原川)、漢那ダム(漢那福地川)、羽地ダム(羽地大川)を建設する。このうち沖縄県に管理が移管された倉敷ダムを除いた7ダムは統合管理され、県都・那霸市などの水需要に応えている。なお、沖縄県は九州地方整備局の管轄外であり、國が管理する特定多目的ダムについては沖縄総合事務局が國土交通省より権限委譲をされ管理実務を行う[196]。以上のことから福地ダムなど7ダムは沖縄総合事務局の上部機関である內閣府直轄ダムではなく、國土交通省直轄ダムである。一方沖縄県でも座間味ダム(內川)を皮切りに補助多目的ダムを建設したほか、恩納村と宜野座村は村営の利水専用多目的ダムを建設している。
沖縄県最大のダムは高度・総貯水容量共に福地ダムである。施工中のダムは國直轄事業では沖縄北西部河川総合開発事業に基づく億首ダム(億首川)がある。中止したダム事業には白水ダム(名蔵川)[197]、座津武(ざつん)ダム(座津武川)[198]などがある。なお倉敷ダムと、日本最南端の多目的ダムである石垣島の琉球列島美國民政府(宮良川)は建設省・農林水産省が施工し、完成後沖縄県へ管理が移管されている[199]。
河川等級 |
水系 |
河川 |
ダム |
種別 |
目的 |
型式 |
高度 |
総貯水容量 |
事業者 |
完成年 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
二級 | 安波川 | 安波川 | 安波ダム | 特定 | F・N・W・I | 重力 | 86.0 | 18,600 | 國土交通省 | 1982 | |
二級 | 新川川 | 新川川 | 新川ダム | 特定 | F・N・W・I | 重力 | 44.5 | 1,650 | 國土交通省 | 1976 | |
二級 | 億首川 | 億首川 | 億首ダム | 特定 | F・N・A・W | 台形CSG | 39.0 | 8,560 | 國土交通省 | 2013 | 工事中 |
二級 | 新川 | 新川 | 恩納ダム | N・A | 重力 | 28.5 | 370 | 恩納村 | 1985 | ||
二級 | 中の川 | シチフ川 | 我喜屋ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 33.0 | 273 | 沖縄県 | 2004 | 伊平屋島 |
二級 | 慶武原川 | 慶武原川 | 潟原ダム | 利水 | A・W | 重力 | 32.5 | 267 | 宜野座村 | 1985 | |
二級 | 漢那川 | 漢那福地川 | 漢那ダム | 特定 | F・N・A・W | 重力 | 45.0 | 8,200 | 國土交通省 | 1993 | |
二級 | 大川 | 宜野座福地川 | 宜野座大川ダム | 利水 | A・W | 重力 | 21.7 | 355 | 宜野座村 | 1993 | |
二級 | 儀間川 | 儀間川 | 儀間ダム | 補助 | F・N・W | アース | 24.5 | 575 | 沖縄県 | 未定 | 久米島 工事中 |
二級 | 比謝川 | 與那原川 | 倉敷ダム | 特定 | F・N・W | ロックフィル | 33.5 | 7,100 | 沖縄県 | 1994 | 建設省施工 |
二級 | 內川 | 內川 | 座間味ダム | 補助 | F・N・W | 重力 | 30.0 | 66 | 沖縄県 | 1989 | 座間味島 |
二級 | 大保川 | 大保川 | 大保ダム | 特定 | F・N・W | 重力 | 77.5 | 20,050 | 國土交通省 | 2010 | |
二級 | 新川 | 當袋川 | 當袋川ダム | F・A | アース | 31.0 | 423 | 恩納村 | 1980 | ||
二級 | 羽地大川 | 羽地大川 | 羽地ダム | 特定 | F・N・A・W | ロックフィル | 66.5 | 19,800 | 國土交通省 | 2004 | |
二級 | 福地川 | 福地川 | 福地ダム | 特定 | F・N・W・I・P | 重力 | 91.7 | 55,000 | 國土交通省 | 1974 | 1990年再開発 |
二級 | 安波川 | 普久川 | 普久川ダム | 特定 | F・N・W・I | 重力 | 41.5 | 3,050 | 國土交通省 | 1982 | |
二級 | 辺野喜川 | 辺野喜川 | 辺野喜ダム | 特定 | F・N・W・I | 複合 | 42.0 | 4,500 | 國土交通省 | 1987 | |
二級 | 宮良川 | 宮良川 | 琉球列島美國民政府 | F・N・A | アース | 27.0 | 2,300 | 沖縄県 | 1982 | 石垣島 建設省・農林 水産省施工 |
腳註
編輯- ^ ただし小瀬川ダムについては、複數県(広島県・山口県)が共同管理を行っているため、例外として両県に記載する。
- ^ 『北海道のダム 1986』p57。
- ^ 『北海道のダム 1986』p82。
- ^ 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 財団法人日本ダム協會『ダム便覧』國交省検証ダム一覧2012年1月8日閲覧
- ^ 『占冠村史』p279-285。
- ^ 『日本の多目的ダム 1963年版』p194-195。
- ^ 『日本の多目的ダム 1963年版』p68-69。
- ^ 『ダム便覧』青森県のダム(上)
- ^ 『ダム便覧』青森県のダム(中)
- ^ 『ダム便覧』青森県のダム(下)
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p176-177。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p36-37。
- ^ 『ダム便覧』磯崎ダム
- ^ 『北上川上流改訂改修計畫』p3。
- ^ 日本で最初に完成したのは岐阜県の久々利川に建設された小渕ダムである。詳細は同項目を參照。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p46-47。
- ^ 『日本の多目的ダム 1963年版』p100-101。
- ^ 『河川総合開発調査実績概要』第八巻p1-43。
- ^ 宮城県登米土木事務所 長沼ダム建設事業
- ^ 『ダム便覧』田川第二ダム。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p68-69。
- ^ 『多目的ダム全集』p38-39。
- ^ 『多目的ダム全集』p82-83。
- ^ 秋田県建設交通部河川砂防課『県が管理しているダム』
- ^ 秋田県建設交通部河川砂防課『秋田県のダムの歴史』
- ^ 國土交通省東北地方整備局玉川ダム管理所『中和処理施設の概要』
- ^ 『多目的ダム全集』p38-39。
- ^ 『ダム便覧』真木ダム
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p154-159、p162-165。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p160-161。
- ^ 『水資源開発公団30年史』p13。
- ^ 『ダム便覧』文獻に見る補償の精神【48】緒川ダム
- ^ 『ダム便覧』大谷原川ダム
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p220-221。
- ^ 『日本の多目的ダム 1963年版』p124-125。
- ^ 『電発30年史』p298-308。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p178-179。
- ^ 『水資源開発公団30年史』p109。
- ^ 『ダム便覧』行川ダム
- ^ 『ダム便覧』大室川ダム
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p176-177。
- ^ 國土交通省関東地方整備局下館河川事務所『鬼怒川・小貝川の歴史(2)』佐貫頭首工も同じ出典。
- ^ 『河川総合開発調査実績概要』第一巻p47-55。
- ^ 『沼田市史』第五巻近代現代編。
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p452-453。
- ^ 國土交通省関東地方整備局品木ダム水質管理所『中和物語』
- ^ 『水資源開発公団30年史』p110-113。
- ^ 國土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所 荒川上流ダム再開発事業
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p246-247。
- ^ 『ダム便覧』玉淀ダム
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p252-253。
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p254-255。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p204-205。
- ^ 『ダム便覧』大多喜ダム
- ^ 東京都交通局『発電事業のあらまし』
- ^ 『ダム便覧』文獻にみる補償の精神【54】小河內ダム
- ^ 『ダム便覧』文獻にみる補償の精神【4】小河內ダム
- ^ 『日本の多目的ダム 1963年版』p381-383。
- ^ 『ダム便覧』文獻に見る補償の精神【11】相模ダム
- ^ 『ダム便覧』神奈川県のダム
- ^ 國土交通省河川局河川管理課『一級水系における河川・ダム湖空間利用実態調査結果の概要2003年
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p222。非常用洪水吐きを1本から2本に増設した。
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p262-263。
- ^ 『ダム便覧』佐梨川ダム
- ^ 『河川総合開発調査実績概要』第一巻p113-116。
- ^ 富山県土木部河川課『富山県のダム事業』
- ^ 富山県農業水産部耕地課『農業用施設あれこれ』
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p312-313。
- ^ 『ダム便覧』湯道丸ダム
- ^ 『ダム便覧』黒川ダム
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p330-331。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p332-333。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p334-335。
- ^ 石川県土木部河川課ダム建設室『いしかわのダム』
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p348。當初の計畫高水流量は毎秒470立方メートルであったが、豪雨時は1,002.3立方メートルの洪水量であった。
- ^ 國土交通省近畿地方整備局九頭竜川ダム統合管理事務所『ダムの治水効果』
- ^ 大津呂ダム建設工事 福井県 県土の整備・防災/河川・砂防・港灣/河川整備 2013/09/07 便覧
- ^ 河內川ダム建設工事 福井県 県土の整備・防災/河川・砂防・港灣/河川整備 2013/09/07 便覧
- ^ 山梨県內では桂川と呼ばれる。
- ^ 『河川総合開発調査実績概要』第三巻p59-65。
- ^ 『河川総合開発調査実績概要』第八巻p191-227。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p258-259。
- ^ 『ダム便覧』笹子ダム
- ^ 中止した角瀬・大渡の両ダムは建設省が計畫していた。
- ^ 『ダム便覧』文獻にみる補償の精神【23】美和ダム
- ^ 味噌川ダム建設當時は水資源開発公団、牧尾ダム建設當時は愛知用水公団が施工。
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p280-281。
- ^ 信濃毎日新聞2002年2月28日付朝刊。
- ^ 『ダム便覧』戸草ダム
- ^ 國土交通省中部地方整備局三峰川総合開発工事事務所 事業概要
- ^ 『ダム便覧』小渋ダム
- ^ 『ダム便覧』松川ダム(再)
- ^ 『ダム便覧』牧尾ダム(再)
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- ^ 『天竜川 治水と利水』p239-248。
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- ^ 『ダム便覧』佐久間ダム(再)
- ^ 『ダム便覧』設楽ダム
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p290-291。
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- ^ 共同通訊社2009年10月17日記事及び『ダム便覧』川上ダム
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- ^ 河川法上の正式な名稱は渡川(わたりがわ)水系であるが、ここでは便宜上四萬十川と表記する。
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- ^ 『ダム便覧』高浜ダム
- ^ 利水事業撤退により現在は治水ダムとして計畫されている。詳細は川辺川ダムを參照。
- ^ 私鐵では大井川鐵道の長島ダム駅や野岩鐵道會津鬼怒川線の大川ダム公園駅などがある。
- ^ 『日本の多目的ダム 1963年版』p424-425。
- ^ 『ダム便覧』ダムの書誌あれこれ(13)筑後川水系の水資源開発ダム
- ^ 『河川総合開発調査実績概要』第二巻p101-112。
- ^ 『筑後川五十年史』p581-582。
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- ^ 『ダム便覧』ダムの書誌あれこれ(3)松原・下筌ダム
- ^ 『ダム便覧』文獻に見みる補償の精神【3】松原・下筌ダム
- ^ 『ダム便覧』鶴田ダム(再)
- ^ 『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』p418。
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- ^ 內閣府沖縄総合事務局北部ダム統合管理事務所『やんばるのダム』沖縄のダム事業の経緯
- ^ 沖縄振興特別措置法
- ^ 內閣府沖縄総合事務局開発建設部
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p632-633。
- ^ 『ダム便覧』座津武ダム
- ^ 『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』p628-629。
參考文獻・出典
編輯- 建設省河川局『太田川水系工事実施基本計畫』、1974年
- 建設省河川局編『日本における多目的ダムの概要』全國河川総合開発促進期成同盟會、1954年
- 建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第一巻、1955年
- 建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第二巻、1955年
- 建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第三巻、1957年
- 建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第四巻、1959年
- 建設省河川局開発課『河川総合開発調査実績概要』第八巻、1964年
- 建設省河川局監修『多目的ダム全集』國土開発調査會、1957年
- 建設省河川局監修・基金會ダム技術センター編『日本の多目的ダム 直轄編 1990年版』山海堂、1990年
- 建設省河川局監修・財団法人ダム技術センター編『日本の多目的ダム 補助編 1990年版』山海堂、1990年
- 建設省河川局監修・全國河川総合開発促進期成同盟會編『日本の多目的ダム 1963年版』山海堂、1963年
- 建設省九州地方建設局筑後川工事事務所編『筑後川五十年史』、1976年
- 建設省治水調査會編『北上川上流改訂改修計畫』、1949年
- 建設省治水調査會編『利根川改訂改修計畫』、1949年
- 國土交通省中國地方整備局中國地方ダム等管理フォローアップ委員會編『高瀬堰定期報告書』、2006年
- 財団法人日本ダム協會『ダム年鑑 1991』、1991年
- 30年史編集委員會編『電発30年史』電源開発、1984年
- 占冠村役場編『占冠村史』、1963年
- 社団法人中部建設協會編『天竜川 治水と利水』建設省中部地方建設局浜松工事事務所、1990年
- 社団法人日本河川協會監修『河川便覧 2004』國土開発調査會、2004年
- 高崎哲郎『湖水を拓く 日本のダム建設史』鹿島出版會、2006年 ISBN4-306-09381-6
- 電源開発企畫部編『10年史』電源開発、1962年
- 沼田市編『沼田市史』第五巻近代現代編、2005年
- 「北海道のダム」編集委員會編『北海道のダム 1986』北海道広域利水調査會、1986年
- 水資源開発公団編『水資源開発公団30年史』財団法人水資源協會、1992年
相關條目
編輯外部連結
編輯- 財団法人日本ダム協會『ダム便覧』 (基本データの出典元)
- 國土交通省河川局 (ダム事業見直し関連)
- 國土交通省告示・通達データベース (建設省河川局長通達・建河発第一七八號関連)
- 獨立行政法人水資源機構
- 河川法
- 特定多目的ダム法
- 水源地域対策特別措置法